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5月8日の日本の昔話

牛池

牛池
牛池

翻訳者 広東省恵州学院  黄昕欣

にほんご(日语)  ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文

♪音声配信(html5)
音声 花水木 運営ブログ : 朗読の翼  運営サイト : すまいるカフェ

 むかしむかし、ある山の中に、美しい水をたたえた深い池がありました。
 很久很久以前,有一座山里面有一个注满了清澈的池水的深水池塘。

 その池からさほど遠くない小さな山里に、欲の深いおばあさんと心やさしい娘が住んでいました。
 离这个池塘不远处的有一座小山,这山里面住着一个贪得无厌的老奶奶和一个善良的小姑娘。

 娘が家の窓から顔をのぞかせると、外は白い雪が降り続いていました。
 小姑娘从自家的窗户向外瞧,窗外在下着雪。

「ああ、烏や牛に生まれた方が、どれほどよかったか」
“啊!牛和小鸟的生活真自在啊!”

 娘はそう言って、小さなため息をつきました。
 小姑娘轻轻地叹息道。

「こらっ、また機(はた)をさぼっておるな! この役立たずが!」
“看,又在偷懒,你就像个废人,!”

 おばあさんが恐ろしい声でそう言うと、娘の顔をぴしゃりと叩きました。
 老奶奶一边大声地斥责,一边扇了她一巴掌。

 この娘は、毎日毎日休むことなく機をおらされているのでした。
 小姑娘每天被老奶奶逼着,不停地织布。

「早く機おりをせんか! よその娘は一冬に四反もおりあげるというのに、このグズ娘がっ!」
“还不织快点,其他家的女孩一个冬天能织出四匹呢,你这个慢吞吞的家伙!”

 おばあさんが部屋を出て行くと、娘はそっと涙を流しました。
 老奶奶一走出房间,小姑娘边想边无声地哭了起来。

「四反なんて、どう頑張ってもおれるわけねえ。でも、少しでもおらないと、ご飯を食べさせてもらえないし」
“四匹!怎么努力都织不出来啊!但是,如果少织了一点点,奶奶就不让我吃饭了!”

 娘は寒さにふるえながら、また機おりを始めました。
 小姑娘虽然冷得发抖还是开始织起了布。

♪わたしの機は、誰が着る?
♪おしろい塗って、紅をさし
♪かんざしつけた娘かな?
♪どんな娘か、見てみたいな
“究竟是谁在穿我织的布呢,
 是上了粉,抹了口红戴着
 簪子的姑娘吗?
 究竟是怎样的姑娘呢,真想看一看啊!”

 娘が悲しく歌いながら機をおっている隣の部屋では、おばあさんが反物を売って何を買おうかと考えていました。
 小姑娘伤心的唱着。放织布机隔壁的房间的老奶奶想着:卖掉布匹买什么好呢?

 こうしているうちに、春が来ました。
 不久,春天来了。

 家から一歩も出してもらえない娘も、春が来るとうれしいものです。
 不被允许出过家门的小姑娘,看到春天来了,十分高兴。

 そんなある日、一羽の白い小鳥が舞い込んできました。
 有一天,一只白色的小鸟飞进房间来了。

「ああ、きれいな小鳥」
“啊,好漂亮的小鸟呀。”

 娘は小鳥に見とれて、思わず機をおる手足の調子を乱して機の縦糸をバッサリ切ってしまいました。
 小姑娘看小鸟看得入迷了,一不小心手忙脚乱起来,一下子就把丝线弄断了。

「あっ!」
“啊!”

 その縦糸が切れた音に気づいたおばあさんは、部屋に飛び込んで来ると狂った様に叫びました。
 听到丝线断掉声音的老奶奶,急忙地来到房间生气地骂起来了。

「このグズ娘がっ! 早くなおせ! なおらんうちは、一粒の飯も食わさんからな!」
“你这个笨手笨脚的人,快点给我弄好,弄不好的话,就不给饭你吃了。”


 その真夜中、ようやく縦糸をなおした娘は、眠っているおばあさんに気づかれないように家を抜け出しました。
 深夜里,小姑娘终于把丝线弄好了,趁着老奶奶睡着不注意溜出了家门。

 娘が家の外に出たのは、何年ぶりでしょう。
 她已经有多少年没出过家门了啊!

「娘は夜空に浮かぶ月を見上げると、つぶやきました。
 她抬头看夜空中的月亮,自言自语地说:

「きれい。外はこんなにきれいだったの? でもわたしは、いつも家の中。・・・どこかへ行きたい」
“好美啊!外面的世界原来这么美,只可惜我一直呆在家里.......真想到别的地方走走。”

 娘は悲しくなって、そのまま泣き崩れてしまいました。
 小姑娘十分伤心,便痛苦地哭起来了。

 その時ふと、何かが娘のそばに近寄って来ました。
 突然,有什么东西向小姑娘靠近。

(おばあさん?!)
(奶奶?!)

 娘がびっくりして顔を上げると、そこにいたのはおばあさんではなく、おばあさんが飼っている牛でした。
 小姑娘吃惊地抬起头,在那里的并不是奶奶,而是奶奶养的牛。

 牛はやさしい目で娘を見つめると、自分の背中に乗るように合図をしました。
 那头牛用温柔的目光看着小姑娘,暗示她骑到它背上。

「まあ、あなた、わたしをどこかへ連れて行ってくれるの? お願い、どこでもいいから連れて行って」
“啊,你要带我去哪里呀?请把我带到别的什么地方去吧.”

 娘の言葉がわかったのか、娘を背中に乗せた牛は、月光の中をゆっくりゆっくりと歩き出し、そのままどこかへ行ってしまいました。
 它似乎听明白了小姑娘的话,牛在月下慢慢地走,就这样不知道去哪里了。


 その後、山の池は牛池という名がつけられました。
 之后,山里面的池塘被命名为牛池。

 不思議な事に牛池では月の明るい晩になると、『トンカラリ、トンカラリ』と、機をおる音が聞こえてくるということです。
 不可思议的是,每当有月亮照到牛池的晚上,人们就能听到织布机织布的声音。

おしまい
結束

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