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5月11日の日本の昔話
ホラふき和尚
嗙雞胲个和尚
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、あるお寺に、村人たちから『ホラふき和尚』と呼ばれているお坊さんがいました。
頭擺頭擺,有一間廟个和尚師父,村民喊佢『嗙雞胲个和尚』。
この和尚さん、あんまりホラばかりふいているので、村人たちは和尚さんの言う事を全く信用していません。
因為這個和尚師父當會嗙雞胲,村民對厥話完全毋信。
ある日の事、和尚さんは村人たちをおどろかせてやろうと思い、お寺の門前にある大きな池のほとりに、こっそりとこんな立て札をたてました。
有一日,和尚師父想愛分村民歡喜一下,佢在廟前大陂塘脣偷偷插一支告示牌。
《明日のお昼、この池から竜が天に登るであろう。池の主の竜より》
《韶早當晝,有一條龍會對這陂塘躍到天頂。係陂塘肚个主該條龍》
さあ、この立て札を見た村人たちはびっくりです。
看著這隻告示牌个村民嗄著驚。
むかしからこの池には竜が住んでいると言われているので、みんなはこの立て札を信じました。
傳說這陂塘自古以來斯有龍,逐個人都相信這支告示牌。
ですから次の日の朝には、池のまわりは黒山の人だかりです。
所以,第二日朝晨,陂塘周圍烏麻戰笪、擠到淰淰个人。
それを見て、和尚さんはうれしそうに笑いました。
看著該,師父歡頭喜面當歡喜樣大笑。
「あっはははは。村の者たちめ、わしのいたずらに、まんまとひっかかったわい。さて、お昼になったら出ていって、わしの仕業だと話してやろう。みんなのあきれた顔が、見ものじゃわい」
「啊哈哈哈哈,戇村民,大家分𠊎落著了還毋知。等當晝𠊎會出去說明係𠊎做个事情。定著看得著大家驚著會死个面。」
やがて、お昼が近づいてきました。
無幾久,晝斯到了。
「よし、そろそろ行くとするか」
「好啦,好出門了。」
和尚さんが出かけようとすると、空がにわかに曇って暗くなってきました。
和尚師父愛出門時節,天頂忽然間天烏地暗。
そして目の前の池から、なんと本物の竜が姿を現して、銀色のうろこを光らせながら黒い雲の中へ消えていったのです。
續等在面前个陂塘肚,一條正經个龍出現,銀色个鱗會皓光,一下仔在烏雲肚消失。
村人たちは驚きましたが、もっと驚いたのはいたずらをした和尚さんです。
村民大家感覺著當得人驚,還較驚个係變鬼變怪个和尚師父。
「なっ、なんと!まさか本当に竜がいるとは・・・」
「仰,仰會!像正經个龍...」
しばらく呆然としていた和尚さんですが、すぐに村人たちの前に駆け出すと大声で言いました。
呆忒个和尚師父,黏時走到村民面,大聲講:
「おーい、よく聞け!あの立て札はな、実はわしが立てたんじゃ。わしが立てたおかげで、竜が現れたんじゃ!」
「噯,聽好哦!該隻告示牌,係𠊎插个。龍乜既經出現了哦!」
けれども、村人たちは、
但係該兜村民講:
「ほれ、またいつもの和尚のホラが始まった。竜が現れたのを、自分の手柄にしよるぞ」
「你看,和尚又開始摎平常共樣嗙雞胲。摎龍出現搶做自家个功勞。」
「ほんに、しようのない和尚じゃ」
「實在無款無調个和尚。」
と、誰も信じなかったという事です。
無人會相信佢。
おしまい
煞咧
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