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5月27日の日本の昔話
鬼がつくった鬼の面
鬼做个鬼面殼
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、丹後(たんご→京都府北部)の国分寺(こくぶんじ)というお寺に、夫婦が住み込みで働いていました。
頭擺頭擺,有一對夫妻戴在丹後(京都府北部)个國分寺,做事。
この夫婦はとてもまじめに働くのですが、ただ一つだけ不思議なことがありました。
兩公婆逐日煞猛做事,毋過,斯有一隻奇怪个事情。
それはこの寺の和尚さんが留守のときに限って、お米やまきの減る量がとても多いのです。
若係這個寺廟个和尚無在時節,米摎樵就會減少特別多。
「二人が食べるには多すぎる量だ。もしかして、米やまきを売っているのでは?」
「兩儕食昶多了,驚怕會係拿出去賣無?」
ある日、和尚さんは出かけるふりをして台所のすみに隠れると、この夫婦の様子をこっそり見ることにしたのです。
有一日,和尚詐意出去,囥在灶下角,偷看佢兩公婆做麼个事。
和尚さんが出かけたと思った夫婦は、
話著和尚出去了个兩公婆。
「やれやれ、やっと和尚さんも出かけてくれたぞ。ではいつもの様に、たっぷり飯を食べることにしよう」
「好了,好了,和尚先生總算出去了。該俚做得像往擺樣食當多飯。」
と、台所の大釜にお米を一斗(いっと→十八リットル)あまりも炊いて、それをペロリとたいらげると、今度はいろりに薪(まき)を次々とくべて、気持ち良さそうに寝ころんだではありませんか。
講煞後,在廚房煮一大斗(一斗大約十八公升)米个飯,一下仔食淨淨。又在地爐盡命放樵燒火,這下心情當好橫等睡覺目。
「なんと言う夫婦だ。大食らいな上に、大切なまきをあんなにむだづかいするとは」
「仰有恁樣个兩公婆,毋單淨大食,又浪費恁貴个樵。」
大きないびきをかいて昼寝をする二人に腹を立てた和尚さんが、どなりつけてやろうと思って夫婦に近づくと、眠っていた夫婦の姿が急に変わり始めました。
看著在該牽覺睡當晝个兩公婆當火著个和尚,想大聲駡時節,睡忒个兩公婆姿勢忽然間開始改變。
婦の顔はみるみるまっ赤になり、口は耳までさけて、頭から二本の角が生えてきたではありませんか。
這兩公婆个面變紅,嘴裂到耳空,頭那頂生兩支角。
和尚さんは驚きのあまり、思わず叫び声をあげました。
和尚先生著驚,大聲喊:
「鬼じゃ!」
「鬼!」
この声に目を覚ました夫婦は、台所にあった太いまきに鋭いツメをたてると、自分たちの鬼の顔をあっという間に彫り上げたのです。
分這聲音吵醒个兩公婆摎放在灶下个樵,釘了當利个爪後,並盡遽摎自家个鬼面形投刻上去。
そして和尚さんに一礼すると、そのまま姿を消してしまいました。
向和尚先生行禮,過後就消失忒。
「あの鬼、もしや人間になりたくて、ここで働いていたのでは」
「該個鬼,若係想愛變做人,你就留在這做事。」
和尚さんが鬼の彫り上げた面を拾ってみると、その鬼の顔は何ともやさしい顔をしていたそうです。
和尚先生拿拈鬼刻自家个鬼面形投个鬼面殼來看,該隻鬼个面看起來仰恁慈祥。
おしまい
煞咧
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