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6月11日の日本の昔話
絵から抜け出した子馬
對圖畫走出來个細馬
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、ある村のお寺に、絵をかくのが何よりも好きな小僧さんがいました。
頭擺頭擺,在某個村莊寺廟,有一個最好畫圖个細沙彌。
お経も覚えずに、ひまさえあれば絵ばかりかいていました。
毋去背經書,有時間總係在該畫圖。
「仏さまに仕える者が、そんな事でどうする。絵をやめないのなら、寺を追い出してしまうぞ」
「拜佛个人做該種事仰結煞。若係毋停止畫圖,愛摎你逐出廟去。」
和尚さんからきびしくしかられても、やっぱり絵をやめる事が出来ません。
雖然和尚罵到恁厲害,乜毋停止畫圖。
そこで夜中にこっそり起きて、絵をかくことにしました。
所以在半夜偷偷䟘床,畫圖。
ある日の事、小僧さんは子馬の絵をかきあげました。
有一日,細沙彌畫好一張細馬个圖。
まるで生きているみたいで、自分でも見とれるほどです。
看起來就像形生个樣,連自家都看到當入文。
小僧さんはうれしくなって、和尚さんに見つからないように自分の部屋にかくしておきました。
細沙彌當歡喜,囥在自家間肚,毋分和尚看著。
ところがしばらくたってこの村に、困った事が起きました。
毋過,過無幾久,這隻村莊發生麻煩个事。
すっかり黄色くなった麦の穂(ほ)を、食い荒らすものが現れたのです。
完全轉黃个麥穗,分人食到襛蓬蓬。
豊作だと喜んでいたお百姓さんたちは、とてもくやしがりました。
農民想著會豐收當歡喜,這下嗄完全失望了。
「こんな悪さをする奴は、とっ捕まえて殺してやる」
「做出這種孤盲事个人愛捉著來㓾分佢死。」
お百姓さんたちは田に小屋をつくって、一日中見張る事にしました。
農民在麥田搭間寮仔,歸日掌等。
するとその晩、どこからともなく一頭の子馬が現れて麦田の中へ消えていくではありませんか。
該日暗晡,毋知哪位出來个細馬,行到麥田裡肚一下仔消失忒。
「さては、あの子馬が麦を食べているんだな」
「敢怕,該隻細馬在該食小麥。」
見張りのお百姓さんたちは、こっそり子馬のあとをつけました。
負責掌个農民偷偷跟在細馬後背。
そんな事とは知らない子馬は、うれしそうに麦田を駆け回ると、立ち止まってはおいしそうに麦の穂を食べました。
毋知有人跟个細馬,在麥田裡肚走上走下、停下來食麥穗,像形非常快樂樣。
「やっぱり、あいつだ」
「就係佢哪。」
「もう、ゆるせない」
「做毋得放佢恁樣。」
お百姓さんたちは飛び出して、子馬を取り囲みました。
農民跳出來,圍等細馬。
「逃がすんじゃないぞ」
「毋好分佢逃走哦。」
「それ、追うんだ」
「噯,追著來。」
お百姓さんたちが必死で追いかけて行くと、馬はお寺の中にかけ込んでいきました。
農民拼命追个時節,細馬舂落廟肚。
「なんだ?お寺で馬を飼うわけないし、あずかったという話も聞いていないが」
「麼个?廟裡肚無畜馬,也無聽講有人搭馬。」
不思議に思いながらも、お寺に行ってみるとどうでしょう。
越想越毋解,行落去廟裡肚去看,又係仰般形呢?
馬の足あとが、てんてんと小僧さんの部屋まで続いているのです。
馬腳跡一隻接一隻直直到細沙彌个房間。
「まさか」
「敢會係?」
お百姓さんたちから話を聞いて、和尚さんが急いで小僧さんの部屋に行ってみました。
聽著農民个聲音後,和尚煞煞去到細沙彌房間。
するとそこには、子馬の絵を抱いた小僧さんがすわっていました。
細沙彌坐在該,揇等頂背畫有細馬个圖。
子馬は今にも絵から飛び出そうと、じっとこっちを見ています。
細馬這下還想跳出圖樣,緊看等這片。
「こ、こ、この馬です」
「這,這,係這條馬。」
あとからやってきたお百姓さんたちも、その絵を見て思わず息を飲みました。
後背跟來个農民看著該圖,敨下大氣。
泣き出しそうになっている小僧さんを見て、和尚さんが言いました。
看著強強會噭出來个細沙彌,和尚講:
「絵の馬が抜け出すとは、大した腕前だ。これからは、自由に絵をかいてもいいぞ」
「畫个馬會在圖頂走出來,畫圖个人係當有本等。從今以後,佢做得自由畫圖了。」
そんな事があってから、小僧さんは仏さまの絵をたくさんかいて村人たちにわけてあげました。
自該擺以後,細沙彌畫當多佛祖个圖,送分村民。
村人たちはその絵を家宝にして、大切にしたということです。
村民摎圖準做傳家寶樣,收藏起來。
おしまい
煞咧
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