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7月7日の日本の昔話

イヌ飼い七夕
イラスト sai-sai  運営サイト sai-sai「イラスト」「コミック」

犬飼い七夕
畜狗人个七娘生

福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)

♪音声配信(html5)
音声 スタヂオせんむ

むかしむかし、あるところに、一人の犬飼いがいました。
頭擺頭擺,在某處有一個畜狗个人。


犬飼いとは、狩りで使う猟犬を育てる仕事です。

畜狗係講畜打獵个狗。

イヌ飼い七夕

ある日の事、犬飼いがお気に入りの犬を連れて池のそばを通ると、犬が急に吠え出したのです。
有一日,畜獵狗个人渡等最愛个狗經過陂塘脣時節,忽然間狗緊吠。


「こら、いったいどうした?・・・あっ!」

「噯,到底麼个事情?...啊!」

イヌ飼い七夕

見ると、美しい娘が池で水浴びをしているではありませんか。
查看後,發現該毋係有一個盡靚个細妹仔在陂塘肚洗身仔嘎?

イヌ飼い七夕

「こんな美しい娘、今まで見たことがない。
「該恁靚个細妹仔𠊎從生人毋識看過。


あれはきっと、うわさに聞いた
天女(てんにょ)だな。
該絕對係傳說个仙女哪。


天女なら、きっとどこかに
羽衣(はごろも)を脱いでいるはず」
若係仙女,該一定毋知哪位有佢脫下來个仙女衫(羽衣(Hagoromo))。」


犬飼いは、犬に命じました。

畜狗人命令狗:

イヌ飼い七夕

「早く、あの天女の羽衣を探し出せ」
「煞煞去尋出該個仙女个仙女衫。」

イヌ飼い七夕

さて、しばらくして天女が池からあがってきましたが、どうした事か大切な羽衣がどこにも見当たりません。
過一下仔,仙女對陂塘肚企䟘起來,但係仰會恁重要个仙女衫會尋毋著。


犬飼いが、羽衣を隠してしまったからです。

因為畜狗人摎仙女衫囥起來。


羽衣がなければ、天女は天へ戻れません。

若無仙女衫,仙女就無法度倒轉天頂。

「どうしよう・・・」

「仰結煞哪...」


天女が困っていると、犬飼いが現れて言いました。

仙女當當無結無煞時節,蓄狗人出現,講:

イヌ飼い七夕

「お困りの様だが、どうしました?」
「像有麼个麻煩樣,發生麼个事情?」


「はい、実は・・・」

「係,實際上...」

天女が事情を話すと、犬飼いが言いました。

仙女摎事情講分畜狗人聽後,畜狗人講:


「それなら羽衣が見つかるまで、わしの家にいればいい」

「若係恁樣形,尋著仙女衫前,做得去𠊎屋下戴。」


こうなれば、仕方ありません。

變恁樣形,實在無法度。

イヌ飼い七夕

行くところのない天女は、犬飼いの家に行きました。
無位好去个仙女,高不將去畜狗人屋下。

イヌ飼い七夕

そして、犬飼いのお嫁さんになったのです。
過後嫁分畜狗人做餔娘。


二人
仲良らして、数年がたちました
兩儕感情當好共下生活,經過幾下年。

イヌ飼い七夕

ところがある日、嫁になった天女が隠してあった羽衣を見つけてしまったのです。
毋過有一日,餔娘發現分人囥忒个仙女衫。


「ひどい!あんまりだわ!」

「還壞哦!昶過份!」

イヌ飼い七夕

天女はすぐに羽衣を身につけると、空高く舞い上がって行きました。
黏時著好厥仙女衫,飛上高高个天頂。


それに気づいた犬飼いは、

發現个畜狗人,

イヌ飼い七夕

「待っておくれ!行かないでおくれ!」と、声を張り上げましたが、
大聲喊:「請等一下!毋好走!」


天女はそのまま空の向こうへ消えてしまいました。

但係,仙女無搭佢,直直飛到天頂去。


お嫁さんの天女がいなくなってから、犬飼いは毎日毎日、天女の事を考えていました。

自仙女餔娘飛走以後,畜狗人逐日在該思念仙女。

イヌ飼い七夕

「どうすれば、妻を連れ戻せるだろうか?どうすれば・・・」
「愛仰般做,正渡得轉𠊎个餔娘?愛仰般做...」


そこで犬飼いは、占い師のおばあさんのところへ相談に行きました。

所以,畜狗人去問算命老阿婆。


すると占い師は、こう言いました。

算命老阿婆恁樣講:

イヌ飼い七夕

「連れ戻す事は出来ないよ。だが、お前の方から訪ねて行けばいい」
「無法度渡轉來哦,但係你做得去尋佢會面。」


「訪ねて行けと言っても、どうやって天に行けば良いのだ?」

「你講去尋佢會面,毋知愛仰般去天頂?」


「それは簡単さ。天女の所へ行くには、一晩で百足の
わらじを作れば良い。
その百足のわらじを土に埋めて、その上にヘチマの種をまいてごらん」
「該簡單,行去仙女該位,斯愛一暗晡做好一百雙禾稈鞋一百雙就罅。
摎該一百雙禾稈鞋埋在地泥下,該位點兜菜瓜仁試看。

イヌ飼い七夕

それを聞いた犬飼いは、さっそく家に帰るとわらじを作り始めました。
畜狗人聽著後,煞煞轉去屋下開始編禾稈鞋。

(妻よ、待っていろよ。必ず迎えに行くからな)
(餔娘姐,等下哦,𠊎定著會去接你。)


百足のわらじを作る事は、とても大変な事です。

紮一百雙禾稈鞋非常困難。


犬飼いは休む事なく、わらじを作り続けました。

畜狗人無停跎在該紮禾稈鞋。

イヌ飼い七夕

でも夜が明けた時には、九十九足しか出来上がっていませんでした。
但係,到了臨天光,斯紮好九十九雙。


「九十九足しかないが、百足とは、あまり変わるまい」

「斯九十九雙定,毋過摎一百雙差毋多。」


そして占い師の言葉通りに、わらじを土に埋めてヘチマの種をまくとどうでしょう。

就照算命老阿婆講个,摎禾稈鞋埋在泥下,點菜瓜仁落去又會變仰般?

イヌ飼い七夕

ヘチマのつるがドンドンドンドン伸びて、今にも天に届きそうになりました。
菜瓜藤一日比一日長,递會到天頂。


「よし、お前も付いて来い」

「好,你乜跈等來。」

イヌ飼い七夕

犬飼いは犬と一緒に、ヘチマのつるを登って行きました。
畜狗人摎厥狗去蹶菜瓜藤。


「もう少しだ。もう少しで妻に会えるぞ」

「會到了,等一下就看得著𠊎餔娘囉。

イヌ飼い七夕

けれどもうしでくところでヘチマのつるはびるのをめてしまったのです
但係,等佢會到天頂時節,菜瓜藤嗄毋過递了。

イヌ飼い七夕

「何という事だ。わらじが一足、たりないばかりに!」
「仰會恁樣?斯因為少一雙禾稈鞋!」

イヌ飼い七夕

犬飼いがくやしがっていると、後から付いて来た犬が犬飼いの頭をピョンと飛び越えて、天へ飛び上がったのです。
就在畜狗人後悔時節,跟在後背个狗輕輕在畜狗人个頭那頂跳過去,跳到天頂去。


そして犬は、犬飼いにお尻を向けると、

狗屎就轉向畜狗人,


「それ、だんなさま」

講:「噯,主人!」


と、長い尻尾をたらしてくれました。

伸出一條長長个尾。

イヌ飼い七夕

「ありがたい」
「承蒙你!」


犬飼いは犬の尻尾をつかむと、何とか天にたどり着きました。

畜狗人抓等狗个尾,總算到天頂了。

イヌ飼い七夕

その後、犬飼いは彦星に、お嫁さんの天女は織姫になったという事です。

後來,畜狗人變成牛郎星,仙女餔娘變成織女星。

イヌ飼い七夕

註:羽衣(はごろも)とは、鳥の羽で作った薄く軽い衣の事で、天人はこれを着て自由に空中を飛行するといいます。
註:仙女衫(羽衣(はごろも))係一領,用鳥仔絨毛做成又輕又薄个衫褲,聽講天頂个仙人著等做得在天頂飛來飛去。

昔話では、天女が羽衣を着て地上に遊びに来ますが、その羽衣を人間に盗まれてしまい、天上の世界に帰れなくなるのが基本のストーリーです。

在傳說故事肚,天頂个仙女著等仙女衫走來人間尞,仙女衫分人類偷走,無法度倒轉天頂,這係基本个故事型式。


註:わらじとは、わらで足形に編み、爪先にある
2本のわらおを左右の縁に通し、足に結びつける履物のことで、わらじ作りは、農民が仕事の少ない冬の間に行う、主な内職でした。

註:禾稈鞋係用禾稈照腳形紮个鞋,腳趾該位有兩條稈索向左右兩片穿過,摎腳綯在鞋頂背。紮禾稈鞋係係農民冬下農事少時節主要副業。


註:天女
(てんにょ))とは、天界に住む女性、または女神をさす言葉です。
天女伝説は世界中にあり、なにかを身につけることで空を飛ぶことができ、それを人間に盗まれて、自分の世界に帰れなくなるのが、だいたいのパターンです。

註:仙女,係講生活在天頂个細妹仔抑係女神。
仙女傳說滿世界,毋知著等某種東西在天頂飛來飛去,分人偷走嗄無法度倒轉去,這係大體採用个型式。

おしまい

煞咧

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