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7月31日の日本の昔話
幽霊の酒盛り
幽靈个酒宴
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、あるところに、一軒(けん)のこっとう屋がありました。
頭擺頭擺,某隻地方,有一坎古董店。
今日はあいにく主人夫婦が留守なので、おいっ子の忠兵衛(ちゅうべえ)が留守番をしています。
堵好,今晡日頭家兩公婆無在,外甥仔忠兵衛掌店。
そこへ、金持ちそうなお客がやってきました。
一個像當發个人客行過來。
「ふむ、山水(さんすい)か。
「m11,山水畫係無?
図柄が、ちと平凡じゃな。
圖案平凡哪。
ふむ、書か。これはまた、下手くそな字じゃ。
fumu,字,這還較差。
・・・ああ、どいつもこいつも、ありきたりでつまらん」
...啊,該乜係,這乜係,無麼个價值。」
その時、お客の目が光り輝きました。
該量時,人客个目珠金起來。
「むむっ、こいつは珍しい!気に入ったぞ。主人、この掛け軸はいくらだ?」
「mumu,這當珍貴!中意哦。頭家,這幅畫幾多錢?」
それは、女の幽霊が描かれた掛け軸でした。
該係一幅有細妹仔幽霊个畫。
おじさんがただ同然で買ってきたガラクタだったので、二十文(→六百円ほど)ももらえば十分だと思って、忠兵衛はお客に指を二本出して見せました。
因為阿伯係用當便宜買个東西,出二十文錢就好(約600日元),忠兵衛比兩支手指分人客看。
するとお客は、「なに、二十両(→百四十万円)?そいつは安い!」
と、大喜びです。
所以人客講:「麼个,二十兩(一百四十萬日元)?還便宜!」
非常歡喜。
えっ?両?いや、あの、その・・・」
「e24?兩?毋係,這、該、...」
目をパチクリさせている忠兵衛に、お客は財布を渡して言いました。
人客摎錢包交分嚇著目金金个忠兵衛,講:
「今はあいにくと、持ち合わせがない。だから手つけ(→契約金)だけを、払っておこう。
「今晡日堵好無帶恁多,這兜先分你做訂金。
残りの金は明日持って来るから、誰にも売らないでくださいよ」
毋罅个錢韶早拿來分你,你絕對毋好賣分別人哦。」
「へい、もちろんです!」
「hei,當然!」
忠兵衛はお客を見送ると、受け取った財布の中身を見てびっくりです。
忠兵衛送走人客後,打開錢包來看,看著裡肚个東西著下驚。
「うひゃあ、すごい大金が入っているぞ!あのお客、本当に二十両で買うつもりだ!」
「唉哦,裡肚恁多錢!該個人客斷真愛用二十兩來買!」
おじさん夫婦の留守の間に思わぬ大金を手にした忠兵衛は、すっかりうれしくなって幽霊の掛け軸を相手に一人で酒盛りを始めました。
在阿伯、伯姆無在時節無想著會賺著恁多錢个忠兵衛非常歡喜,開始一儕人對等幽靈畫啉酒。
「いや、ゆかいゆかい。ちょっと店番をして、二十両か。笑いが止まらねえとは、この事だ。
「好,還快樂。掌一下店,賺二十兩係無?人講暢到會死斯係這種。
・・・しかし二十両だと思って見てみると、この幽霊はなかなかの美人だな」
...但係想著佢值得二十兩,這個幽靈係相當靚个美女哪。」
そして忠兵衛は、掛け軸の幽霊にむかって言いました。
忠兵衛斯向等畫頂个幽靈,講:
「お前さんのお陰で大金をかせがせてもらうのに、おれ一人で飲んでちゃ申し訳ねえな。
「打幫你正賺恁多錢,𠊎自家一儕人啉酒,還失禮哪。
おい、お前さん。ちょっと出て来て、おしゃく(→お酒をつぐこと)でもしてくれや」
噯,你出來一下,摎𠊎渟一下酒乜好。」
するとそのとたん、夏だというのに辺りがスウーッと冷たくなり、風もないのに明かりがパッと消えて、ふと気づくと目の前に見知らぬ女の人が立っていたのです。
過後,該下雖然係熱天,這個位所siu一下,忽然間變冷,無風、光線忽然消失,𠊎看到一個生份个細妹仔企在𠊎面前。
「ん?ま、まさか、その顔は」
「ng24?敢、敢會係,該面容。」
忠兵衛が掛け軸を見ると、掛け軸はもぬけの空で、まっ白です。
忠兵衛看畫時節,吊等个畫頂有一搭仔空空、白白。
「ぎゃあーー!で、出たあーー!」
「gyaa!走,走出來了!」
掛け軸の幽霊は美人とほめられたのがうれしくて、本当におしゃくをしに出てきたのです。
畫頂个幽靈分你稱讚佢係美人當歡喜,這下正經出來摎你渟酒。
初めは怖がっていた忠兵衛も、相手が美人の幽霊なので、そのうちにすっかりいい気分になりました。
起先感覺得人驚个忠兵衛,因為對方係恁靚个幽靈,所以氣氛感覺盡好。
おまけにこの幽霊の、お酒の強い事。
還過,幽靈个酒量當好。
忠兵衛が歌えば、それに合わせて幽霊が踊ります。
忠兵衛若係唱歌仔,幽靈斯跳舞配合。
二人は夜通し、飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎをしました。
佢兩儕透夜唱歌仔,跳舞,鬧熱煎煎。
次の朝、目を覚ました忠兵衛は、ふと幽霊の掛け軸を見てびっくり。
第二朝晨,忠兵衛睡醒以後,等佢看著幽靈畫嗄著驚。
何と掛け軸の絵の幽霊が、酒に酔って寝ているではありませんか。
仰會畫肚个幽靈,醉到橫忒、睡到毋知人事呢?
「ね、寝てる!」
「睡,睡忒!」
忠兵衛は寝ている幽霊を見ながら、泣きそうな顔でつぶやきました。
忠兵衛一片看等睡忒个幽靈,一片愛噭愛噭在該噥噥噥噥。
「う~ん、困ったなあ。早く起きてもらわないと、二十両がパーになっちまうよう」
「m11,無結煞哪。係你無早兜醒,該二十兩錢就變無半滴囉。」
おしまい
煞咧
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