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9月7日の日本の昔話
福の神になった貧乏神
變做福神个窮苦神
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 「久瑠璃桜華」 久瑠璃桜華
むかしむかし、働き者なのに、とても貧乏な夫婦がいました。
頭擺頭擺,有一對煞猛做事,毋過還係非常窮苦个兩公婆。
ある年のくれ、二人が大掃除をしていると、やせたネズミのような物が神棚(かみだな)から出てきました。
一年年下,兩儕大拚掃時節,一隻瘦到像老鼠樣个東西對神龕走出來。
「わしは、貧乏神(びんぼうがみ)だ、お前たちがあんまりまじめに働くから、わしはこの家を出て行くよ。たっしゃでな」
「𠊎係窮苦神,因為你兩儕恁認真做事,𠊎還係離開屋下較好,祝你健康。」
そう言って貧乏神は、ヨタヨタと歩き出しました。
恁樣講後,踜踜蹭蹭行出去。
すると夫婦は、
這兩公婆講:
「貧乏神と言っても、神さまにはかわりありません。どうか、この家にいて下さい」
「雖然講係窮苦神,乜共樣係神明,仰般,請留在這屋下。」
「うん?わしは、貧乏神だぞ」
「e24?𠊎係窮苦神哦。」
「はい、貧乏神さま。大切にしますので、どうかお願いいたします。」
「係,窮苦神。𠊎會好好奉待你,拜託你留下來好無?」
と、言って、無理矢理(むりやり)に貧乏神を神棚に押し戻しました。
講煞後,強強摎佢𢱤轉神龕。
それから夫婦は毎日神棚に食べ物を供えて、コツコツとまじめに働き続けました。
過後,這兩公婆逐日都在神龕供奉食物,並繼續煞猛打拚。
やがて気がつくと、いつの間にか夫婦はお金持ちになっていました。
無幾久,等佢注意著个時節,無多知這兩公婆變到大有錢人了。
そこで倉(くら)のある、大きな家をたてました。
過後起一座有倉庫个大座屋。
今日は、引っ越しの日です。
今晡日係徙屋个日仔。
夫婦は、神棚に向かって言いました。
這兩公婆面向神龕講:
「さあ、貧乏神さま。一緒に新しい家に参りましょう」
「這下,窮苦神,共下徙去新屋。」
すると神棚からは、きれいな着物を着た神さまが出てきたのです。
過後,一個著等當萋頭个神明對神龕走出來。
「お前たちのおかげで、これこの通り。礼を言うぞ。これからもよろしくな」
「好得你兜,𠊎正會有這下个樣仔,這愛承蒙你兜,以後請多照顧。」
夫婦に大切にされた貧乏神は、いつのまにか福の神になっていたのです。
受著這兩公婆恁相惜个窮苦神,毋知哪量時變做福神了。
おしまい
煞咧
註: 貧乏神とは、人を貧乏にさせると信じられている神で、小さく、痩せこけて色青ざめ、手に破れた渋団扇を持ち、悲しそうに立つといいます。
註:窮苦神分人認為會使人變貧窮,聽講生著盡矮細,瘦夾夾,面色白白,手擎爛扇,看起來當衰過。
昔話に登場する貧乏神は、あいきょうがあり、とてもしたたかな存在です。
在古老傳說故事肚出現个窮苦神,非常得人惜、當堅強。
※ 北海道大学 外国語教育センターのオンライン学習で、「福の神になった貧乏神」のお話しと朗読が使用される事になりました。
担当 北海道大学 外国語教育センター 「河合 剛 准教授」
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