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9月24日の日本の昔話

殿さまをおそったネコ

土仏観音(どぶつかんのん)
福井県の民話福井県情報

 むかしむかし、越前(えちぜん→福井県)の坪江村(つぼえむら)にある滝沢寺(たきざわてら)の和尚が、京都で修行していた時の事です。

 道ばたに十八人の子どもたちが集まって、泥ダンゴで二十三体の観音さまを作っていました。
 その観音さまの出来があまりにも良いので和尚が感心していると、子どもたちはその中でも一番出来のいい観音さまをくれると言うのです。
「ありがとう。きっと大切に・・・」
と、和尚がおじぎをして頭を上げてみると、そこには誰もいません。
「・・・そうか、これはきっと、仏さまが私にくだされた物に違いない」
 そう考えた和尚は、その観音さまを肌身離さず持っていました。

 さて、ある日の事、旅に出た和尚は、山の中で道に迷ってしまいました。
 ほとほと困りはてていると、一軒の家が見つかりました。
 和尚が一晩泊めてくれるように頼んでみると、中にいたひげづらの男とその女房は気持ちよく迎えてくれました。
 ほっとした和尚は、すぐにぐっすり眠ってしまいました。
 それを見た二人は、ニヤリと笑い、
「へっへへへ。久しぶりの獲物じゃ。今のうちに殺してしまおう」
と、顔を見合せました。
 なんとそこは、山賊の住み家だったのです。
 男は刀を抜くと、眠っている和尚の首を切り落としました。
「よしよし。後の始末は明日にしよう」
と、言って、その晩はそのまま寝てしまいました。

 さて次の日の朝、二人がまだ眠っていると、お経を読む声が聞こえてきます。
「何だ? まさか!」
 びっくりして目を覚ました二人が和尚さんを殺した部屋に行ってみると、なんと殺したはずの和尚が座ってお経を読んでいるではありませんか。
「ゆ、ゆ、幽霊、幽霊だ! 勘弁、勘弁してくれ!」
 二人がガタガタふるえていると、和尚が言いました。、
「二人とも、何を寝ぼけているのじゃ? いくら坊主でも、幽霊とはひどい話だ」
「しかし、わしはゆうべ、確かにお前の首をこの刀ではねたんじゃぞ」、
「それなら、どうしてわしは生きておるのだ? ・・・そうか、もしかして、観音さまが助けてくださったのかもしれん」
 そう言いながら、和尚さんはふところから取り出した観音さまを見てびっくり。
 なんと観音さまの首すじに刀の傷跡があり、今にも首が落ちそうになっていたのでした。
「やはり、観音さまが私の身替りになってくださったのか」
 和尚は、観音さまに深く頭を下げました。
 それを見ていた山賊の夫婦は心から改心して、それからは仏につかえて一生をすごしたのです。

 今でも滝沢寺には、その土仏観音がまつられているということです。

おしまい

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