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10月13日の日本の昔話
話し好きの殿さ
好聽古个城主
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、あるところに、とても話し好きな殿さまがいました。
頭擺頭擺,某隻位所戴一個好聽古个城主。
そこで家来たちは、次々と順番に殿さまのところへ行っては、色々な話しをしました。
所以,該兜家臣一擺過一擺,輪流去城主該位講各種故事。
でもそのうちに、話す話しがなくなってしまいました。
過無幾久,會講个古講淨淨了。
近頃は誰も話しをしてくれないので、殿さまはとてもたいくつそうです。
最尾嗄無人去講古,城主試著盡無搭碓。
「ああ、わたしがいやになるまで、話しをしてくれる者はいないのだろうか」
「啊,像無人會講古分𠊎聽到𠊎無愛聽為止敢?」
殿さまは話しをしてくれる者を探そうと、国中にこんなおふれを出しました。
城主為著尋講古分佢聽个人,全城貼出一隻下背該告示:
《殿さまがいやになるまで話しをしてくれた者には、ほうびにお姫さまをお嫁にやる》
《講古分城主聽到無愛聽个人,獎賞係𠊎妹仔嫁分佢做餔娘。》
それから数日後、一人の若者がお城へやって来ました。
幾日以後,有一個後生人來到城肚。
「お殿さまに、お話しをしにまいりました。お殿さまにお話しをして、お姫さまをお嫁さんにいただぎます」
「𠊎係來講古分城主聽个,講古分城主聽,想愛討城主个妹仔。」
すると家来たちが、心配そうに言いました。
過後,該兜家臣當愁慮講:
「殿さまは、いくら話しをお聞きになってもあきないお方だ。大丈夫か?」
「城主大人係無論聽幾多古乜毋會懶个人,你有把握無?」
「はい。大丈夫です。話しは得意です」
「無問題,講古𠊎係專家。」
「そうか、では来なさい」
「恁樣係無?跈𠊎來。」
家来が若者をお殿さまのところへ連れて行くと、若者はさっそく話しを始めました。
家臣渡等後生人去到城主該位以後,後生人黏時開始講古。
「むかしむかし、あるところに、大きな大きなかしの木があったとさ」
「頭擺頭擺,有隻位所種有當大叢个狗讚樹。」
「うんうん。大きなかしの木があったのだね。なるほど、それで」
「m11,當大叢个狗讚樹呢,係恁樣,過後呢?」
「はい」
「過後」
若者は、エヘンと一つせきをすると、話しを続けました。
後生人ehem一聲假嗽,繼續講古。
「その大きなかしの木には、ドングリがいっぱいなっていました。空の星の数よりも、ずっとたくさんです」
該叢狗讚樹打子打著淰淰,比天頂个星仔還較多。
「そうか。かしの木にドングリがなったのか。なるほどなるほど。それで」
「恁樣哦?狗讚樹打子,有影,過後呢?」
「かしの木は、池のはたにありました。池には、石がありました。大きな石で、カメのせなかのように、水にポッカリういていました」
「狗讚樹生在陂塘脣,陂塘肚有大石牯,像形龜仔背囊樣在水竇肚浮浮冇冇。」
「ほう、かしの木は、池のはたにあったのだね。池には石があって、カメのせなかのように水の上に出ていたのだね。なるほどなるほど。それからどうした」
「ho11,狗讚樹生在陂塘脣呢,陂塘肚有大石牯,像形龜仔背囊樣在水竇肚浮出來,係唷,係唷,過後呢?」
「はい。ここからが、おもしろいところです」
「自這位開始係正經生趣个位所。」
若者はまたせきを一つすると、話しを続けました。
後生人還係ehen一聲假嗽,續等講古。
「ドングリが、ポロンと石におちたとさ。
「狗讚樹樹子跌下去碰聲打著大石牯。
コロコロころんで、池へジャボン。
korokoro、輪落陂塘。
しばらくすると、また一つ。
過無幾久,又一隻。
ドングリが、ポロンと石におちたとさ。
「狗讚樹樹子跌下去碰聲打著大石牯。
コロコロころんで、池へジャボン。
korokoro、輪落陂塘。
しばらくすると、また一つ。
過無幾久又一隻。
ドングリが、ボロンと石におちたとさ。
「狗讚樹樹子跌下去碰聲打著大石牯。
コロコロころんで、池へジャボン。
korokoro、輪落陂塘。
しばらくすると、また一つ。
過無幾久又一隻。
ドングリが、ボロンと石におちたとさ。
「狗讚樹樹子跌下去碰聲打著大石牯。
コロコロころんで、池へジャボン。
korokoro、輪落陂塘。
しばらくすると、また一つ。
過無幾久又一隻。
ドングリが、ボロンと石におちたとさ。
「狗讚樹樹子跌下去碰聲打著大石牯。
コロコロころんで、池へジャボン。
korokoro、輪落陂塘。
しばらくすると・・・」
過無幾久‧‧‧‧‧‧。」
「まてまて」
「等一下,等一下。」
殿さまは、若者の話をとめました。
城主打斷後生人講古。
「それからドングリが一つ、ボロンと石におちたのだろう?」
「過後,狗讚樹樹子跌下去碰聲打著大石牯係無?」
「はい、その通りでございます」
「係,你講著了。」
「コロコロころんで、池へジャボン。そうだろう?」
「korokoro、輪落陂塘。係恁仰無?」
「はい、その通りでございます」
「係,你講著了。」
「そこまではわかった。その先を話せ」
「到這𠊎了解,繼續講。」
「はい」
「好。」
若者はおじぎをすると、話を続けました。
後生人行下禮,繼續講古。
「しばらくすると、また一つ。
「過無幾久,又一隻。
ドングリが、ポロンと石におちたとさ。
狗讚樹樹子跌下去碰聲打著大石牯。
コロコロころんで、池へジャボン。
korokoro、輪落陂塘。
しばらくすると、また一つ。
過無幾久,又一隻。
ドングリが、ポロンと石におちたとさ。
狗讚樹樹子跌下去碰聲打著大石牯。
コロコロころんで、池へジャボン。
korokoro、輪落陂塘。
しばらくすると、また一つ。
過無幾久,又一隻。
ドングリが、ボロンと石におちたとさ。
狗讚樹樹子跌下去碰聲打著大石牯。
コロコロころんで、池へジャボン。
korokoro、輪落陂塘。
しばらくすると、また一つ。
過無幾久,又一隻。
ドングリが、ボロンと石におちたとさ。
狗讚樹樹子跌下去碰聲打著大石牯。
コロコロころんで、池へジャボン。
korokoro、輪落陂塘。
しばらくすると・・・」
過無幾久‧‧‧‧‧‧。」
「ちょっとまて」
「等一下。」
殿さまは、むずかしい顔で若者に言いました。
城主面臭臭摎後生人講:
「そんなにおちたのなら、ドングリはもう、みんなおちてしまったろうな」
「像恁樣狗讚樹樹子早斯全部跌淨淨了。」
「いいえ、まだまだでございます」
「毋會,還有當多。」
若者は、両手を大きく広げました。
後生人兩隻手伸著開開。
「大きな、大きな、かしの木でございます。ドングリの数も、空の星よりもたくさんあるのでございます。お話しは、まだまだ続きます。
「當大叢,當大叢个狗讚樹,狗讚樹樹子比天頂个星仔還較多,狗讚樹樹子跌到無半隻以前這故事愛繼續講。
しばらくすると、また一つ。
過無幾久,又一隻。
コロコロころんで、池へジャボン。
korokoro、輪落陂塘。
しばらくすると、また一つ。
過無幾久,又一隻。
ドングリが、ボロンと石におちたとさ。
狗讚樹樹子跌下去碰聲打著大石牯。
コロコロころんで、池へジャボン。
korokoro、輪落陂塘。
しばらくすると、また一つ。
過無幾久,又一隻。
ドングリが、ボロンと石におちたとさ。
狗讚樹樹子跌下去碰聲打著大石牯。
コロコロころんで、池へジャボン。
korokoro、輪落陂塘。
しばらくすると・・・」
過無幾久,又一隻。
若者の話しは、いつまでもいつまでも同じでした。
後生人講个古,一直共樣共樣。
「まてまて。もうよい。その話し、いつまで続くのかね」
「等下等下,好了,該古永久共樣共樣連續連續呢。」
「はい。まだまだでございます。こんな大きなかしの木です。ドングリは、空の星よりもたくさんあるのでございます。そのドングリが一つものこらずおちるまで、このお話しは続くのでございます。
「係,當大叢,當大叢个狗讚樹,狗讚樹樹子比天頂个星仔還較多,狗讚樹樹子跌到無半隻以前這故事愛繼續講。
しばらくすると、また一つ。
過無幾久,又一隻。
ドングリが、ボロンと石におちたとさ。
狗讚樹樹子跌下去碰聲打著大石牯。
コロコロころんで・・・」
korokoro‧‧‧‧‧‧。」
「やめてくれ。もうたくさんだ」
「好了好了,講忒多了。」
殿さまは、とうとう話しにあきてしまいました。
城主漸漸對這古感覺畏了。
こうして若者は約束通り、お姫さまをお嫁にもらったということです。
斯恁樣後生人討著城主个妹仔。
おしまい
煞咧
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