福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 11月の日本昔話 > サケのおじいさん
11月4日の日本の昔話
サケのおじいさん
鮭魚个老阿伯
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、ある北国の川に、太助(たすけ)とよばれる大きなサケが住んでいました。
頭擺頭擺,一尾安到太助个鮭魚,戴在一條北國个河壩。
毎年、冬が近づくと、太助がたくさんのサケを道案内して、川上の卵を産む場所へサケたちを連れて行くのでした。
逐年,會到冬下个時節,太助帶等一大群鮭魚,順等河壩泅到上游生卵个位所。
「おお、今年もたくさんのサケが来たな」
「唉哦,今年乜來當多鮭魚哪。」
「間違っても、大助だけはアミにかけるでないぞ」
「較毋著乜做毋得網著大助。」
「そうそう、毎年たくさんのサケが来るのは、太助のおかげだからな」
「有影,有影,逐年來恁多鮭魚,都係打幫太助。」
漁師たちはそう言って、道案内の太助が通り過ぎてからサケをとりはじめるのです。
該兜打魚郎恁樣講,等帶路个太助通過後正開始捉魚仔。
太助は、とても大事にされていました。
大家特別照顧太助。
ところがこの川の近くにサケ好きの長者(ちょうじゃ)がいて、以前からサケの太助を食べたいと思っていたのです。
毋過,戴在河壩就近當好食鮭魚个有錢人,一溜仔來想愛食太助鮭魚。
ある日の事、この長者が、長者の家で働いている大勢の人たちに言いました。
某一日个事情,這個有錢人摎厥屋下一大陣做事个工人講︰
「サケの大助を、食ってみたい。そこでみなの衆、大きなアミを作れ。よいか、川幅いっぱいの大アミを作るのじゃ」
「想愛捉太助鮭魚來食看,所以大家去結隻大網,好無?做張摎河壩恁闊个網。」
「えっ、あの太助をとるのですか?」
「ed,愛摎太助鮭魚捉著來係無?」
「そうじゃ。さあ、はやくアミを作れ」
「係啊,噯,煞兜結網!」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
長者の言いつけなので、みんなは仕方なく長い長い大アミを作りました。
因為有錢人交代个,大家無法度斯結一張長長个大網。
さていよいよ、大アミが出来上がった晩の事です。
總算,網仔結好該暗晡。
長者が眠っていると、まくらもとに白いひげの仙人(せんにん)のようなおじいさんが現れました。
有錢人睡目時節,枕頭脣出現一個生白鬚、像仙樣个老阿伯。
「これ、長者よ。明日の朝、大助がサケを連れて川をのぼる。サケは、いくらでもとるがよい。ただし大助だけは、アミにかけないでくれ。たのんだぞ」
「噯,有錢人啊,韶朝晨,太助會渡歸大群鮭魚,跈河壩上,鮭魚由在你捉,毋過斯太助毋好網著,拜託。」
そう言い残して、おじいさんは消えました。
講煞,老阿伯斯毋見忒了。
次の朝、長者は夜が明けないうちから、家の者をたたき起こして川に行きました。
第二朝晨,有錢人天吂光,打早就喊屋下个人䟘床,去河壩。
やがて海から波をたてて、数え切れないほどたくさんのサケがのぼってきました。
無幾久,海水起一隻大湧,烏麻戰笪个鮭魚泅上來。
サケのむれの一番先頭には、特別大きい大助の姿が見えます。
在鮭魚陣最頭前,看得著特別大尾个太助。
それを見た長者は、大声でさけびました。
看著該个有錢人,大聲喊。
「それ、今だ!アミをはれ!大助を逃がすなでないぞ!」
「噯,這下,張網!毋好分太助走忒哦!」
川幅いっぱいに大アミがはられて、たくさんのサケがアミにひっかかりました。
大網張到河壩恁闊,當多鮭魚分網張著。
サケのうろこが朝日をあびて、キラキラと輝いています。
鮭魚个鱗分朝晨頭个日頭晟著,金析析。
今日は、今までにない大漁でした。
今晡日,從來毋識捉過恁多个魚仔。
でもその中に、大助の姿はありませんでした。
毋過,裡背肚無看著太助。
「太助はどうした?!太助を探し出すんじゃ!」
「太助發生麼个事?!來去摎太助尋著來!」
大声を上げる長者の前に、昨日のおじいさんが姿を現しました。
在大聲喊个有錢人面頭前,出現昨晡日該老阿伯。
おじいさんは長者に、悲しそうな顔で頼みました。
老阿伯在盡傷心樣拜託有錢人。
「長者よ、大助をとってしまったら、たくさんのサケたちの道案内がなくなってしまう。道案内がなくなれば、サケたちは川をのぼる事が出来ん。どうか太助を、見逃してやってくれ」
「大頭家哦,若係太助分你捉走,該兜鮭魚尋無人好帶路,若無人帶路該兜鮭魚就無法度轉去上游,仰般都愛放太助走好無?」
しかし長者は、首を横に振っておじいさんに怒鳴りつけました。
毋過,有錢人搖頭,對老阿伯大聲講︰
「いやじゃ!わしは太助を食うんじゃ!ほかのサケがどうなろうが、わしは知らん!」
「做毋得!𠊎斯愛食太助!其他鮭魚仰般𠊎毋知!」
するとおじいさんの姿がスーッと消えて、気がつくと長者の足下に特別大きなサケが一匹、横たわっていました。
過後,老阿伯su~d聲斯毋見忒,等佢注意著个時節,有錢人个腳下背,一尾特別大个鮭魚橫在該。
そのサケこそが、太助です。
該尾鮭魚斷真係太助。
「やったぞ!ついに太助を手入れたぞ」
「成功了,捉著太助了。」
長者は手をたたいて喜びましたが、その日から長者は不運続きで、やがてひどい貧乏になってしまいました。
有錢人拍手,歡喜到會死,自該日開始,連連續續時運毋好,無幾久變到當窮苦。
そして次の年から、この川にはサケが一匹も来なくなったそうです。
第二年開始,聽講無半尾鮭魚泅來這條河壩。
おしまい
煞咧
|