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3月26日の小話
入りにくい
ある真夜中、店に窓から忍び込もうとしていた泥棒が店の若者たちに見つかって、簡単に捕まってしまいました。
「この泥棒め! 店に忍び込むとはとんでもない奴だ!」
「ぐるぐる巻きにして、お役人に引き渡してしまえ!」
若者たちが興奮して大騒ぎしていると、その騒ぎを聞きつけた店の旦那がやって来ました。
「これは旦那さま。ただいま泥棒を捕まえたところです」
「なに、泥棒とな」
ところがこの旦那は大変心のやさしい人で、泥棒を番所(ばんしょ→今でいう交番)に突き出すどころか、
「この寒空の中、泥棒をしなければならないとはよほどの事情があっての事でしょう。さあ、今日の所はこれを持ってお帰りなさい」
と、銭三百文(1万円ほど)を握らせて、そのまま泥棒を逃げしてやろうとしたのです。
すると泥棒は、すっかり感激(かんげき)して言いました。
「旦那さま。こんなにご親切にされますと、わたしはこの後、この家には入りにくうございます」
感激はしても、泥棒をやめるつもりはないようですね。
♪ちゃんちゃん
(おしまい)
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