今日の江戸小話 福娘童話集
 


福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 9月の江戸小話 > 方角

9月25日の小話

方角

方角

♪おはなしをよんでもらう(html5)
朗読 : 青のぷよの世界♪

 徳川幕府(とくがわばくふ)の頃は、どの大名(だいみょう→各地を治めるお殿様)もみんな自分の国を出て、江戸に行かなくてはならない決まりがありました。

 ある時、あるお大名がころりと死んでしまったので、その若君(わかぎみ→殿さまのむすこ)があとをついで殿さまになりました。
 この殿さまが、初めてのお国入りをする時の事です。
「下にー。下にー」
 殿さまが自分の領地(りょうち→お殿様が治める土地)に入ってくると、道ばたには百姓や町人たちが土下座(どげざ→手足を地面についてひれふすこと)をして出迎えました。
 すると若殿がかごから出てきて、あたりをきょろきょろながめると、南の方角を指さして、付きそいの侍にたずねました。
「ここでは、こちらが西にあたるかな?」
「えっ、いや、その・・・」
 さあ、大変です。
 相手は殿さまなので、うっかり返事をしくじると首が飛んでしまいます。
 侍は返答に困ってしまい、おろおろしていました。
 すると一人の百姓じいさんが地面にこすりつけた頭の上に指を突き出すと、大きな声で言いました。
「おそれながら、お父上さまの御代(みよ→国を治めていたとき)には、こちらが東、こちらが西、こちらが南、そしてこちらが北でごさりました」
 そして両手をつくと、
「おそれながら、若殿さまの御代におかせられましても、そちらの方角は、お慈悲(じひ→おなさけ)をもちまして、大殿さまの御代どおり西ではなく南にしてくださりますれば、ありがたき幸せにござりまする」
と、言ったそうです。

♪ちゃんちゃん
(おしまい)

前のページへ戻る

     9月25日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
藤ノ木古墳記念日
きょうの誕生花
蓼(たで)
きょうの誕生日・出来事
1986年 あばれる君 (タレント)
恋の誕生日占い
上品でシンプルなおしゃれを好む
なぞなぞ小学校
いつも目の色を変えながら、車や人を見ている物は?
あこがれの職業紹介
ステノキャプショナー
恋の魔法とおまじない 269
再婚がうまくいくおまじない
  9月25日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
人の嫁になったネコ
きょうの世界昔話
翼をもらった月
きょうの日本民話
クジラ長者
きょうのイソップ童話
鈴を付けたイヌ
きょうの江戸小話
方角
きょうの百物語
七色の灯光

福娘のサイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日などを紹介
福娘童話集
日本最大の童話・昔話集
さくら SAKURA
女の子向け職業紹介など
なぞなぞ小学校
小学生向けなぞなぞ