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1月6日の日本民話 2
おたつ女郎
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むかしむかし、神島(かみじま)におたつ女郎(じょろう)と呼ばれる、美しいお姫さまが流れついて来ました。
漁夫たちは、おどろいて、
「あなたのような美しいお姫さまが、どうしてこんな島に流れて来られたのじゃ?」
と、聞きました。
すると、
「私はおたつ女郎という姫で、遠い国から流れて来たのです」
と、いうだけで、その遠い国がどこの国ともいわないのです。
みんなが不思議に思っていると、ある日、お姫さまが、
「じつは、この神島とは神さまが住まわれている島だと思ってやって来たのです。金でつくった丈夫な舟に乗り、大波小波を乗り越えてやって来たのです。私はみんなに知られるのがいやで、金の舟は神島の近くの海辺にうめてしまいました」
と、いいました。
それからというもの、漁夫たちはお姫さまの美しい顔を見ようと、毎日のようにお姫さまのところへたずねて行きました。
お姫さまは見られるのがいやで、あちらこちらと姿をかくしますが、小さな島なので、どこにかくれてもすぐに見つかってしまいます。
お姫さまが神島の岩屋(いわや)の中にかくれていますと、夜中ごろに庄屋(しょうや)がやって来て、
「私の家が空いていますから、ぜひ来て下さい」
と、いいました。
そこでお姫さまは、庄屋の家に泊めてもらうことになりました。
ある日、お姫さまがカガミを立ててお化粧(けしょう)をしていると、一人の若者が自分のカガミでしきりにお姫さまをてらしているのです。
お姫さまは、
「どうして、私をてらすのです?」
と、聞くと、若者は、
「お姫さまが、とても美しいからです」
と、答えました。
するとお姫さまは怒って、
「私のような者をてらしてもらっては、おてんとうさまに申しわけありません。どうか私をてらさないでください」
と、いいました。
若者はそれでも、
「お姫さまは、とっても美しいかたです。おてんとうさまも、きっとそう思っています」
と、いうと、お姫さまはまた怒って、庄屋の井戸の中へカガミを投げこんでしまいました。
それ以来、庄屋の井戸はもちろんのこと、島中の井戸の水は赤サビ色になってしまったということです。
お姫さまが持って来たと伝えられる、掛け軸と守り刀が神島の波切不動(なみきりふどう)さんにまつられてあり、毎年、大晦日(おおみそか)の夜中にだけ、戸を少しだけ開けて見せてくれるそうです。
おしまい
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