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3月19日の日本民話 2
酔っ払いタヌキ
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むかしむかし、北海道の函館(はこだて)に、大きな料理屋がありました。
このお店へ、一人の小太りの男が入ってきました。
足元がフラフラしているところを見ると、もう、かなりお酒を飲んでいるのでしょう。
男は履き物を脱ぐと、二階の座敷(ざしき)へ行こうと階段を上がって行きました。
履き物を片付けていた店の老人が、男の後ろ姿を下から見上げていました。
「だいぶ酔っておるな。大丈夫かのう。ほれほれ、足元が。・・・うん? あれはなんじゃ?」
老人は、びっくりです。
階段を登って行く男の足は、まるでけだものの様に細い足で、ビッシリと灰色の毛が生えているのです。
とても、人間の足には見えません。
「あっ、あれは、タ、タ、タヌキだー!」
老人は、思わず叫びました。
その声に驚いた男は階段から足を踏み外して、
ゴロゴロゴロー!
と、下まで落ちてくると、タヌキの正体を現してしまいました。
タヌキは慌てふためいて、そのまま外へ飛び出して行ったのです。
「そう言えばあのタヌキは、酒のにおいをプンプンさせておったな。よっぽど酒が好きなんだろう」
酔っ払いタヌキの酒の匂いは腐った渋柿(しぶがき)の様な匂いで、三日も四日も消えなかったという事です。
おしまい
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