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9月20日の日本民話 2
生類憐みの令「ツバメを殺した罰」
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むかし、徳川幕府の五代将軍綱吉が、
《生き物の命を、あわれんでやらねばならない。むやみに殺した者は、重く罰する》
と、いう内容の『生類憐(しょうるいあわれ)みの礼』という、ひどい法律を作った事がありました。
この法律のおかげで、犬やネコをいじめるのはもちろんの事、魚を食べても虫を殺しても罪になったのです。
さて、江戸城につとめる役人の家来に、只越甚太夫(ただこしじんだゆう)という男がいました。
この甚太夫には五歳になる男の子がいるのですが、かわいそうな事に生まれた時からの病気で体が弱く、どんな医者に診せても治らないのです。
ある日の事、甚太夫は知り合いから、こんな話を聞きました。
「その病は、ツバメの肝(きも)を食べれば、すぐによくなるだろう」
喜んだ甚太夫は、さっそく仲間の兵衛(ひょうえ)をさそって吹き矢を作り、家の前に飛んで来るツバメを吹き落としました。
ところが運悪く、ツバメを殺すところを見られてしまった甚太夫は、生類憐みの令の為に罪人として役人に捕らえられ、死刑になってしまったのです。
そして仲間の兵衛は、八丈島(はちじょうじま)へと島流しにされました。
「ツバメを殺しただけで、死刑と島流しとは」
「全くだ。しかもそれは、病気の子どもを助ける為だったのに」
「しっ! ・・・へたな事を言うと、わしらまで捕まるぞ!」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
いつもなら、いくらなんでも死刑になる事はなかったのですが、甚太夫の場合は運の悪い事に、ツバメを殺した日が前の将軍が亡くなった月の命日だったのです。
「月命日に殺生をするとは、重ね重ねの悪事である」
そんな理由で、かわいそうにも死刑にされたのです。
ほかにも江戸の町では、
・子どもを襲った野良犬を追い払う時に、うっかり野良犬を叩いてしまった罪。
・ボウフラ(→蚊の幼虫)の入った桶の水で水まきをして、ボウフラを殺した罪。
など、普通では考えられないような罪で、毎日誰かが役人に連れて行かれたという事です。
おしまい
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