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9月24日の日本民話 2
毒キノコと大根おろし
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むかしむかし、あるお寺の二人の小僧が和尚さんに頼みました。
「和尚さま、仏さまにお供えする花を取りに行かせてください」
仏さまの花と言われては、断るわけにはいきません。
「よしよし、それはよい心がけじゃ。
しかし、野原には花に姿を変えた化け物がいると言うぞ。
よく気をつけて、日が暮れないうちに戻って来なさい。
そしてもし道に迷ったら、このお札を投げて『道を教えてくれ』と言いなさい」
「はい! ありがとうございます」
和尚さんは喜ぶ二人の小僧に、ありがたいお札を一枚ずつ渡しました。
二人の小僧は大喜びで山へ行き、仏さまに供える花を探しました。
でも、花はなかなか見つかりません。
夢中で探しているうちに、二人は別々になってしまいました。
やがて一人の小僧が、花のたくさん咲いている場所を見つけました。
「これはすごい!」
小僧は夢中で花をつみ、かごはたちまち花で一杯になりました。
その時始めて、もう一人の小僧がいない事に気づいたのです。
「おや? あいつ、どこへ行ったのかな? もう、帰ってしまったんだろうか?」
小僧は近くを探しましたが、もう一人の小僧が見つからないので、そのままお寺に帰って行きました。
さて、もう一人の小僧ですが、お寺に帰ったのではなく別の場所でやっと一本の花を見つけたのです。
ところが不思議な事に、その花は小僧が取ろうとすると、スーッと動いて逃げてしまうのです。
「おかしな花だな? まるで生きているみたいだ」
小僧はその花を、必死になって追いかけました。
そして気がつくと谷間にいて、もう暗くなりかけていました。
「大変だ。日が暮れる前に、早く戻らないと」
小僧が戻ろうとすると、どこからか話し声が聞こえてきました。
『あの寺には、ごちそうがいっぱいある。和尚を殺せば、何でも食い放題だ』
『それでは、お供えの花に化けて行くか? それとも、このままキノコの姿で行くか?』
『キノコで行こう。あの和尚は、キノコが大好物だからな』
『しかしキノコの姿では、大根おろしをかけられたらお終いだ。気をつけないとな』
それを聞いた小僧がびっくりして声のする方を見ると、なんと毒キノコが話し合っていたのです。
(大変だ! 早く和尚さんに知らせないと)
小僧はお札を取り出すと、
「お寺への道を教えてくれ!」
と、言って投げました。
すると、お札は小僧を案内する様に、ヒラヒラと飛んで行きます。
小僧はその後をついて行き、無事にお寺へ戻る事が出来ました。
「和尚さま、大変です!」
小僧から毒キノコの話を聞いた和尚さんは、
「なるほど。いい事を教えてくれた」
と、礼を言うと、注意深く庭を見つめました。
すると庭のすみに、突然大きなキノコが生えたのです。
(ははーん。これが毒キノコじゃな)
和尚さんは小僧に大根おろしをたくさん作らせると、それをキノコにかけました。
するとキノコは苦しそうに暴れて、やがてタヌキの姿を現したのです。
「このイタズラタヌキめ! 今度悪さをすると、承知せんぞ!」
和尚さんが叱り付けると、タヌキはあわてて逃げて行きました。
それからこの地方では、キノコを食べる時は大根おろしをかけてから食べるようになったそうです。
おしまい
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