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1月24日の世界の昔話
なくした指輪
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むかしむかし、ある町に、犬とネコを飼っているお金持ちがいました。
ところが犬はもうすっかり年をとっていて、歯が一本もありません。
ある日、お金持ちは隣の町にいる娘に指輪をプレゼントしようと思って、犬とネコを呼びました。
「おい、ネコ。この指輪を、娘のところに届けてくれ。犬は、ネコの道案内をするんだ」
犬とネコは、さっそく隣の町へ出かけました。
町へ行く途中に、大きな川がありました。
川には橋がないので、泳いで渡るしかありません。
そこで犬が、ネコに言いました。
「お前はうまく泳げないから、わしが指輪を持って行こう」
「だめだよ。だんなさまは、おいらに持って行けと言ったんだ。それにあんたは歯がないから、うまく指輪をくわえられないだろ」
でも犬は、こんな時ぐらいは自分の方が役に立ちたいと思いました。
「いや、わしが持っていく。歯がなくても、大丈夫だ」
犬は指輪をくわえると、いきおいよく川へ飛び込みました。
ところが川は広くて流れも早いため、なかなか向こう岸へ泳ぎ着くことが出来ません。
そのために元気なネコの方が、犬よりも先に向こう岸へ泳ぎ着きました。
犬はすっかり疲れてしまい、もう少しで向こう岸へつくという時に指輪を川の中へ落としてしまったのです。
「ほら! だから、言わんこっちゃない」
ネコは怒りましたが、いくら怒っても指輪はもどってきません。
二匹はしばらく休んでから、また川を泳いで家へもどってきました。
「なあ、なんと言ってあやまろうか?」
犬がたずねると、ネコは冷たく言いました。
「ふん。そんな事、知るもんか。だんなさまに、うーんと怒られるがいいさ」
「そんな・・・」
家が近づいてくると犬はだんだん怖くなって、とうとう逃げ出してしまいました。
ネコは一人で帰ると、お金持ちにこれまでの事を話しました。
「何だと! 指輪を川の中へ落っことしただと! よし、犬を見つけだして、尻尾を切ってやる!」
お金持ちはかんかんに怒って、世界中の犬に年寄りの犬を探させたのです。
この時から、犬は仲間と会うと、
「お前は、まさか指輪をなくした犬じゃないだろうな。もしそうなら、尻尾を切らなくちゃいけないが」
と、言うようになりました。
だから犬は仲間に会うと歯をむいて、自分が指輪をなくした犬でない事を見せているのです。
おしまい
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