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8月8日の世界の昔話
二匹の欲張り子グマ
ハンガリーの昔話 → ハンガリーの情報
ベトナム人、インドネシア人向けの日本語教育動画です。
朗読 : おかじ 物語 : 福娘童話集
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 ナレーター熊崎友香のぐっすりおやすみ朗読
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投稿者 「ぐっすり眠れる優しいおやすみ朗読」
むかしむかし、深い森のはずれに、お母さんグマと二匹の子グマの親子が住んでいました。
子グマたちは大きくなると、世の中へ出て幸せを探そうと思いました。
それを知ったお母さんは、子どもたちに言いました。
「どんな事があっても、けんかをしてはいけませんよ。けんかをすれば、必ず損をしますからね」
「大丈夫。ぼくたちは仲良しだから、けんかなんかするものか」
二匹の子グマは、元気よく旅に出かけました。
旅を続けているうちに、お母さんにもらった食べ物がなくなってしまいました。
「兄さん、ぼく、もう歩けないよう。朝から何も、食べていないんだもの」
弟グマが、泣き出しました。
「ぼくだって、同じだ。腹が減って、もう死にそうさ」
兄さんグマも、涙をこぼしました。
それでも二匹は、歩き続けました。
すると道のまん中に、赤い大きな丸い物が落ちていました。
「何だろう? 良いにおいがするけど」
子グマたちは、急いでそばへ行ってみました。
するとそれは、大きなチーズではありませんか。
二匹は大喜びで、チーズを分けようとしました。
「では、ぼくが二つに分けてやるよ」
「いやだ。そう言って兄さん、大きい方を取るつもりだろう」
「なにを言う。お前こそ、大きい方を取るつもりだろう」
二匹はチーズをそばに置いて、口げんかを始めました。
するとそこへ、キツネのおばさんが現れました。
「まあ、まあ、子グマさんたち。何をそんなに怒っているの?」
そこで子グマたちは、わけを話しました。
するとキツネは、笑って言いました。
「おや、そんな事だったの。それなら、おばさんにチーズをかしてごらん。上手に分けてあげますよ」
「ありがとう。でも、ちゃんと同じ大きさにしておくれよ」
「そうだよ。同じ大きさだよ」
「はいはい、ちゃんと同じ大きさにしてあげますよ」
キツネはチーズを受け取ると、パカリと二つに割りました。
すると片一方が、どう見ても大きいのです。
「あっ、大きさが違うよ」
「ちゃんと、同じ大きさにしてよ」
子グマたちが文句を言うと、キツネはニヤリとわらいました。
このキツネはずるいキツネで、わざと片方を大きくしたのです。
キツネは、子グマたちに言いました。
「坊やたち、さわがないで大丈夫よ。おばさんが、うまくしてあげるから」
キツネは大きい方にガブリとかみついて、チーズを食べてしまいました。
「あっ、そっちが小さくなっちゃった!」
「平気、平気。それなら今度は」
キツネはまた、別の方をかじりました。
するとそっちが、小さくなりました。
「あっ、今度はそっちが小さくなっちゃった」
「あら。それならこれで」
キツネはそのまま、あっちをかじったり、こっちをかじったりです。
そしてやっと同じ大きさになったときには、チーズはちっぽけなかけらになっていました。
「さあ、これで同じ大きさよ。では、さようなら」
キツネは大きくなったお腹をさすると、さっさと行ってしまいました。
おしまい
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