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9月29日の世界の昔話

百匹のヒツジ

百匹のヒツジ
ドイツの昔話 → ドイツの国情報

おりがみをつくろう ( おりがみくらぶ より)
羊の折り紙ひつじ

 むかしむかし、ある村に、ヒツジを百匹飼っている大金持ちと、ヒツジを三匹だけ飼っているまずしい家が隣同士で暮らしていました。

 ある日の事、この国の王さまがヒツジの肉を食べたいと言って、村からヒツジを連れて来るように命令しました。
 しかし大金持ちの主人は自分の百匹のヒツジが一匹でもへるのをいやがって、まずしい家の息子にヒツジを出すように言いました。
 息子は泣きながら、一匹を王さまの家来に渡しました。
 すると王さまは一週間もたたないうちに、またヒツジを連れて来るように命令したのです。
 今度も大金持ちの主人はヒツジがへるのをいやがって、まずしい家の息子にヒツジを出すように言いました。
 こうしてまずしい家は、ヒツジを二匹もとられたのです。
「もうこれ以上、ヒツジをとられるのはいやだ」
 まずしい家の息子は残った一匹のヒツジを連れて、旅に出る事にしました。
 その事を知った息子のお父さんは、息子を探す旅に出ました。
 お父さんは、お日さまにたずねました。
「お日さま。わたしの息子を知りませんか?」
 するとお日さまは、気の毒そうに言いました。
「それがね、このところ雲(くも)にかくされていたから、何も見る事が出来なかったんですよ。でも、もうすぐつむじ風が来るから、つむじ風に聞いてごらん」
 お父さんは大きな木に登ると、つむじ風を待ちました。
 つむじ風が来ると、お父さんはたずねました。
「つむじ風さん、ヒツジを連れた息子を知りませんか?」
 するとつむじ風は、ピューピューと吹きあれながら言いました。
「ああ、知ってるぜ。連れて行ってやるよ」
 つむじ風はお父さんをつまみ上げると、息子とヒツジがいる深い谷底へ連れて行きました。
「息子よ!」
「お父さん!」
 ひさしぶりに出会えた二人は、抱き合って喜びました。
 それを、神さまと神さまの弟子が見ていました。
 神さまと弟子は、旅人の姿になって二人に近づきました。
「もし、もし・・・」
 ボロボロの服を着た二人の旅人が声をかけると、お父さんと息子が振り向きました。
「はい。なんでしょうか?」
「私たちは長い旅を続けてきて、お腹がペコペコで倒れそうです。そのヒツジの肉を食べさせてもらえないでしょうか?」
 旅人の言葉に、お父さんと息子はうなずきました。
「わかりました。大切なヒツジですが、それであなたたちが助かるのなら」
 お父さんと息子がヒツジをごちそうすると、二人の旅人は、
「おいしい。おいしい」
と、ヒツジの肉を食べました。
 食べ終わると、旅人の一人がお父さんと息子に言いました。
「ごちそうさまでした。おかげで旅を続けることができます。それから、今夜寝る前にわたしたちの食べ残したヒツジの骨を、ヒツジの皮の中に入れておいてください」
「はあ、わかりました」
 お父さんと息子は首をかしげながらも、言う通りにしました。

 次の朝、二人が目を覚ますと昨日の旅人たちはおらず、代わりに何百頭もヒツジがいたのです。
 おまけにヒツジたちを守る立派な番犬も、三匹いました。
「わあ、すごいや。お父さん、数えきれないくらいのヒツジがいるよ」
「そうだね。しかしどうして、これだけのヒツジが。・・・おや?」
 お父さんが近くにいたヒツジを見ると、そのヒツジのツノに、
《昨日は、ごちそうさまでした。お礼に、このヒツジたちをあなた方にさしあげましょう。旅人より》
と、書かれているではありませんか。
 お父さんと息子は大喜びで、たくさんのヒツジを連れて家に帰りました。
 するとそれを見た大金持ちがすぐに飛んで来て、どうやってたくさんのヒツジを手に入れたかをたずねました。
 お父さんと息子がボロボロの服を着た旅人の事を話すと、大金持ちはすぐに町へ行きました。
 そしてボロボロの服を着た人たちに、
「ヒツジをごちそうしてやるから、家へ来い!」
と、言ったのです。
 それから百匹のヒツジを全部殺して、集まってきたボロボロの服を着た人たちに食べさせました。
「よしよし、これだけのヒツジを食べさせりゃあ、朝には千匹。いや一万匹のヒツジに変わっているはず! わしは、世界一のヒツジ持ちになれるぞ!」
 そして、お腹がいっぱいになったボロボロの服を着た人たちが次々に眠ると、大金持ちは大急ぎで何千本もの骨をひろい集めて、どんどんヒツジの皮の中に入れました。

 さて次の朝、大金持ちはニワトリが鳴く前に牧場へ行きました。
「ウヒヒヒ。牧場には、一万匹のヒツジがいるはずだ」
 ところが牧場にいたのは、気持ちよさそうに寝ているボロボロの服を着た人たちと、ヒツジの皮に入れられた骨だけです。
「・・・なんてこった! こんなはずでは」
 大金持ちはあまりのショックに、その場で気を失ってしまいました。

おしまい

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