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12月15日の世界の昔話

3匹のヤギのガラガラドン

3匹のヤギのガラガラドン
ノルウェーの昔話 → ノルウェーの国情報

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

投稿者 : 神栖星花研究所 「神栖星花研究所

♪音声配信(html5)
朗読者 : おはなしや

 むかしむかし、あるところに、三匹のヤギがいました。
 一番小さいヤギは、ガラガラドンという名前でした。
 中くらいのヤギは、ガラガラドンという名前でした。
 とっても大きいヤギは、ガラガラドンという名前でした。
 三匹とも、ガラガラドンという名前だったのです。

 さてある日の事、三匹のガラガラドンは、山の向こうへ草を食べに行くことにしました。
 山の向こうの草はやわらかくておいしくて、食ベたらきっと元気で丈夫(じょうぶ)になれるでしょう。
 三匹のガラガラドンが歩いていくと、途中に深い谷があって橋がかかっていました。
「小さい橋だなあ。三匹いっしょには渡れないや」
 そこで最初に小さいヤギのガラガラドンが、コトコト、コトコト、橋を渡りました。
 橋のまん中まで来ると、深い谷底から、
「こらー! わしの橋をだまって通るのは、誰だー!」
と、いう声がして、恐ろしい魔物が出てきました。
「ぼくです。小さいヤギの、ガラガラドンです。山の向こうへ、草を食べにいくんです」
「小さいヤギの、ガラガラドンだと? だまってわしの橋を通ったからには、草なんか食ベに行かれないぞ。おれさまがお前を、食べるんだからな!」
「まっ、待ってください。ぼくはこんなに、小さいんです。後ろから、もっと大きいヤギが来ます。どうせ食べるんなら、大きいヤギの方がおいしいですよ」
 小さいヤギのガラガラドンは、小さい声で言いました。
「そうか、じゃあ、次に来るやつを待つとしよう。さっさと行っちまえ」

 やがて中くらいのヤギのガラガラドンが、ゴトゴト、ゴトゴト、橋を渡って来ます。
 橋のまん中まで来ると、
「こらー! だまってわしの橋を通るやつは、誰だー!」
と、魔物が出てきました。
「ぼくです。中くらいのヤギの、ガラガラドンです。山の向こうへ草を食べに行くんです」
「ざんねんだな、中くらいのヤギのガラガラドン。お前が草を食べる前に、わしがお前を食べるんだ」
 魔物は、大きな口をパクッと開けました。
「待ってください。ぼくのあとから、もっと大きいヤギがきます。どうせ食ベるんなら、大きい方がおいしいですよ」
 中くらいのヤギのガラガラドンが、中くらいの声で言いました。
「そうか、じゃあ、待ってるとしよう。さっさと、行っちまえ」

 やがて大きいヤギのガラガラドンが、ドシドシ、ドシドシ、橋を渡って来ました。
「こらー! だまってわしの橋を通るのは、誰だー!」
 魔物が、出てきました。
「ぼくだ。大きいヤギの、ガラガラドンだ」
「ようし、食ベてやるから覚悟しろ」
 魔物は大きな口を、パクッと開けました。
「ふん、食べられるもんか! ぼくは大きいヤギのガラガラドンで、立派なツノもはえてるし、強いツメも持ってるぞ。さあ来い!」
 大きいヤギのガラガラドンは、魔物に向かって突き進みました。
 ドシーン!
 キラキラ光る二本のツノが、魔物の目をさしました。
「ウギャーーーー!」
 どんなに強い魔物でも、目をつぶされてはかないません。
 大きいヤギのガラガラドンは、ゆうゆうと橋を渡りました。
 こうして山の向こうの草原に着いた三匹のガラガラドンは、おいしい草をたくさん食べる事が出来ました。

おしまい

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