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むかしむかし、カンチールというかしこくて小さなシカがいました。 ある日の事、カンチールは森の奥で、とてもすばらしいバナナの木を見つけました。 とても大きくておいしそうで、見ているだけでよだれが出てきそうです。 「何とか取る方法は・・・。そうだ! 木登りが上手なサルくんに頼んで、取ってもらおう」 さっそくカンチールがサルに頼むと、サルは大よろこびで言いました。 「バナナ! よし。ぼくが取ってあげよう。さあ、バナナはどこにあるんだい?」 サルは約束しましたが、 サルはバナナの木を教えてもらうと自分一人だけ食べて、カンチールに一本もあげようとはしません。 「ようし。見ていろ!」 怒ったカンチールは、とがった小石をたくさん集めました。 そしてその小石を後ろ足で、ビュンビュンとサルにけり飛ばしたのです。 「あいたたたた!」 サルのお尻にとがった小石がビシビシと当たるので、サルはまっ赤になって怒りました。 サルはバナナをもぎ取ると、カンチールに投げつけました。 「やーい、下手くそ。どこをねらっているんだい?」 「えーい、このこのこの!」 たちまちカンチールのまわりは、バナナでいっぱいになりました。 「もういいよ、うそつきサルくん。これ以上は、食べられないよ」 カンチールは山のようなバナナを食べながら、サルにあかんべーをしました。 おしまい |
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