申年特集 2028年 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
福娘童話集メニュー

福娘童話集 ホーム


えとのおはなし

えとのおはなしメニュー
イラストをクリック
ネズミ年
ねずみ
ウシ年
うし
トラ年
とら
ウサギ年
うさぎ
タツ・リュウ年
たつ
ヘビ年
へび
ウマ年
うま
ヒツジ年
ひつじ
サル年
さる
トリ年
とり
イヌ年
いぬ
イノシシ年
いのしし
 


福娘童話集 >えとのおはなし >さるのお話し > サルの王さま

さるのお話し 第 4 話

サルの王さま

サルの王さま
インドの昔話 → インドの国情報

おりがみをつくろう ( おりがみくらぶ より)
猿の顔の折り紙さるのかお   猿の折り紙さる

♪音声配信(html5)
音声 まちゃりんの読んだり〜の♪

 むかしむかし、インドのガンジス川のほとりに、たくさんの実がなった一本のマンゴーの木が生えていました。
 そのマンゴーの実のおいしさといったら、一度食べたら一生忘れられないほどです。
 ある時、サルたちがマンゴーの実を食べにやってきました。
「ああ、なんてうまい実だろう」
「こんなにおいしい実は、はじめてだ」
 むちゅうで食べているサルたちを見て、王さまザルは考えました。
(こんなにうまいマンゴーの実が川に落ちて、人間たちのところへ流れていったら、人間たちが取りに来るだろう。それはまずいな)
 王さまザルは、すぐにサルたちを集めて言いました。
「川の上にのびた枝になっている実は、1つ残らず取ってしまいなさい」
「はい、王さま」
 サルたちは、さっそくいわれたとおりにしました。
「よしよし、これで安心だ」
 ところがサルたちは、たった1つの実を見落としていたのです。
 その実はあまくうれて、ある日、ポタリと枝から川へ落ちました。
 マンゴーの実は、そのまま人間がくらしている町まで流れていきました。
「おや? これはこれは、実にみごとなマンゴーの実だ」
 漁師(りょうし)はマンゴーの実をアミですくい上げると、王さまのところへ持って行きました。
「ほう、これはすばらしい。こんなにうまいマンゴーははじめてだ」
 すっかり気に入った王さまは、家来を引き連れてマンゴーの木を探しに行きました。
 いく日かたって、王さまはついに、あのマンゴーの木を見つけました。
「あったぞ。すばらしい、あんなに実がなっている」
 王さまたちは、いそいでマンゴーの木にかけよりました。
 ところが木のそばまで行くと、たくさんのサルがマンゴーの実をおいしそうに食べているではありませんか。
「王さま、どういたしましょう?」
「むむ、サルのくせになまいきな。矢でうちおとしてしまえ!」
 家来たちはさっそく、サルたちめがけて弓矢を放ちました。
 それに気づいたサルたちは、王さまザルのところへ知らせに行きました。
「たいへんです! 人間たちが、私たちを殺そうとしています」
「あわてるな、わたしにまかせなさい」
 王さまザルはマンゴーの木に登ると、飛んでくる矢を長いしっぽと手を使って打ち落とし、仲間のサルたちを助けました。
「さあ、いまのうちに逃げなさい」
 サルたちは、つぎつぎに逃げていきましたが、みんなが逃げるまでは、まだ時間がかかります。
 やがて王さまザルのからだに何本も矢がささりましたが、王さまザルはがんばって、仲間のサルたちを守りました。
 それを見ていた人間の王さまは、家来たちに矢を打つのを止めさせました。
「まて、矢を打つのを止めるのだ。それより、あの王さまザルをここへ連れてきなさい」
 家来たちは、傷ついて動けなくなった王さまザルを連れてきました。
 人間の王さま、王さまザルにたずねました。
「なぜ、自分の体を痛めてまで、仲間を助けたのかね?」
 王さまザルは、苦しい息をはきながら答えました。
「わたしは王です。仲間のサルたちを守るのが、わたしのつとめです」
「おお、なんとりっぱなサルだろう。わたしも見習わなければ」
 感動した王さまは、王さまザルの手当をしてやると、マンゴーには一切手をつけず、そのまま自分の国へ帰っていきました。
 それからは、どんなときでも人びとの幸せを一番に考える、心やさしい王さまになりました。

おしまい

前のページへ戻る

さるのお話し 12話
サルカニ合戦
サルとカメ
尻尾のつり
サルの王さま
カンチールとバナナ
家柄比べをするキツネとサル
サル酒
ピアンとサル
サルの顔はなぜ赤い
サルとボウシ屋
子ザルのまつ
サルと漁師