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たなばたのお話し 第 3 話

七夕さんのはじまり

七夕(たなばた)さんの(はじ)まり
香川県の民話香川県情報

♪音声配信(html5)
朗読者 : スタヂオせんむ

 むかしむかし、あるところに、ほうろく()りがいました。
 ほうろくというのは、(つち)(つく)ったフライパンの(よう)(もの)です。

 ある(とし)七月(しちがつ)、ほうろく()りが山道(やまみち)(とお)りかかると、(むすめ)たちが(みずうみ)水浴(みずあ)びをしていました。
 ふと()ると、()(まえ)(うつく)しい着物(きもの)()いてあります。
(ああっ、(なん)てきれいな着物(きもの)なんだろう)
 ほうろく()りはその着物(きもの)()しくなり、その(なか)一枚(いちまい)素早(すばや)くカゴに()れて、(なん)くわぬ(かお)通り過(とおりす)ぎて()きました。
 ところがタ(かた)仕事(しごと)()えたほうろく()りがそこへ(もど)って()ると、一人(ひとり)(うつく)しい(むすめ)がシクシクと()いているのです。
(ははーん。さては、わしに着物(きもの)をとられた(むすめ)だな)
 ほうろく()りはそのまま通り過(とおりす)ぎようとしましたが、(むすめ)着物(きもの)(ぬす)んだという(つみ)意識(いしき)もあったので、(むすめ)自分(じぶん)着物(きもの)()せてやると(いえ)()れて(かえ)りました。

 さてこの(むすめ)()れば()るほど美人(びじん)です。
 ほうろく()りはこの(むすめ)()きになり、自分(じぶん)のお(よめ)さんにしました。
 やがて()どもが()まれて、親子三人(おやこ3にん)仲良(なかよ)()らしていました。

 ある()(こと)です。
 ほうろく()りが仕事(しごと)()かけた(あと)、お(よめ)さんが()どもを()かせながら、ふと天井(てんじょう)()てみると、(なに)やらあぶら( がみ )(→(もの)保存(ほぞん)するための和紙(わし))に(つつ)んだ(もの)があります。
(あら、(なん)(つつ)みかしら?)
 お(よめ)さんが(つつ)みを(ひら)いてみると、(なか)には(ぬす)まれた着物(きもの)(はい)っていました。
「あっ! これはわたしの着物(きもの)! きっと、あの(ひと)(ぬす)んだに(ちが)いないわ。ゆるさない!」
 お(よめ)さんはその着物(きもの)をすばやく()ると、()どもをかかえて(そら)(のぼ)ろうとしました。
 そこへ、ほうろく()りが(かえ)って()たのです。
 一目(ひとめ)(すべ)てをさとったほうろく()りは、お(よめ)さんに()をついてあやまりました。
「ま、()ってくれ! わたしが(わる)かった。だから()ってくれ!」
「いいえ! わたしは(てん)(くに)(もど)ります! あなたに着物(きもの)をとられて仕方(しかた)なくお(よめ)さんになりましたが、わたしは元々(もともと) 天女(てんにょ)です」
「すまない! あやまる! (いま)までに何度(なんど)(かえ)そうと(おも)ったが、お(まえ)がどこかへ()ってしまうのではないかと心配(しんぱい)で、(かえ)すに(かえ)せなかったんだ」
言い訳(いいわけ)()きません。さようなら」
「たのむ! (なん)でもする。どんなつぐないでもする。だから、わたしをおいていかないでくれ!」
 必死(ひっし)にあやまる(おとこ)姿(すがた)に、(こころ)をうたれたお(よめ)さんは、
「・・・では、もし本当(ほんとう)にわたしが大切(たいせつ)なら、本当(ほんとう)にわたしに()いたいのなら、わらじ千足(せんそく)つくって(てん)(のぼ)って()なさい。そうすれば親子三人(おやこ3にん)(いま)まで(どお)()らす(こと)出来(でき)るでしょう」
と、()うと、お(よめ)さんは()どもとともに、(てん)(たか)(のぼ)っていってしまいました。
「わらじを千足( せんそく )だな。よし、つくってやる!」
 ほうろく()りはお(よめ)さんに()いたい一心(いっしん)で、毎日(まいにち)毎日(まいにち)(あさ)から(ばん)までごはんも()べずにわらじをつくりました。
 何日(なんにち)もかかって、やっと九百九十九足(999ぞく)のわらじが出来(でき)ました。
(よし、あと一足( 1そく )だ。あと一足( 1そく )で、あいつと()どもに()えるんだ)
 そう(おも)うと、ほうろく()りはがまん出来(でき)なくなり、一足(1そく)たりないまま(がい)飛び出(とびだ)すと(てん)()かって、
「おーい、はやく(むか)えに()てくれー!」
と、(さけ)びました。
 すると(てん)から、ひとかたまりの(くも)がおりてきました。
 ほうろく()りがその(くも)()ると、(くも)(うえ)(うえ)へと(のぼ)って()きました。
 ところがわらじが一足(1そく)たりないため、あと(すこ)しの(ところ)(てん)(くに)()くというのに、それっきり(ぐも)(うご)かなくなりました。
「あっ、あなた、本当(ほんとう)()てくれたのね」
 天女(てんにょ)一生懸命(いっしょうけんめい)()()っているほうろく()りを()つけると、はたおりの(ぼう)(した)へのばしました。
 ほうろく()りはその(ぼう)につかまり、(なん)とか雲の上(くものうえ)()ることが出来(でき)たのです。

 さて、天女(てんにょ)(いえ)にはおじいさんとおばあさんがいて、(あか)ちゃんのおもりをしています。
「この(ひと)が、この()のお(とう)さんです」
 天女(てんにょ)はほうろく()りを、二人(ふたり)(まえ)()れて()きました。
 でも二人(ふたり)(こわ)(かお)で、ほうろく()りをにらみました。
 (なん)とかして、ほうろく()りを追い返(おいかえ)そうと(かんが)えていたのです。
 そこでほうろく()りにザルを(わた)して、それで(みず)をくんで()るように()いました。
 (あな)のたくさん(ひら)いたザルでは、(みず)をくんで()(こと)出来(でき)ません。
 ほうろく()りが(こま)っていると、お(よめ)さんはザルにあぶら( がみ )をしいてくれました。
 ほうろく()りはそれに(みず)をくんで、二人(ふたり)のところへ()って()きました。
「うむ、人間(にんげん)にしてはなかなか知恵(ちえ)がある。ほうびに、このウリをやろう。(よこ)()って()べろ」
 そう()って、おじいさんはほうろく()りに(おお)きなウリをくれました。
 (てん)(くに)では、ウリを(たて)()って()べます。
 もし(よこ)()ったら、(みず)がどんどん()()()まらなくなるのです。
 そんな(こと)とは()らないほうろく()りが、ウリを(よこ)()ったから大変(たいへん)です。
 切り口(きりくち)から(みず)吹き出(ふきだ)して()まらなくなり、ほうろく()りは天の川(あまのがわ)(なが)されて、どんどん(とお)くへ()ってしまいました。
 それを()て、お(よめ)さんが(さけ)びました。
「あなたーっ、父母(ふぼ)説得(せっとく)して、(つき)一度(いちど)(みず)(なが)れを()めてもらいます。毎月(まいつき)七日(なのか)()いに()てください」
 ところがほうろく()りは、(みず)(なが)れの(おと)のために聞き違(ききちが)えて、
「よし、わかった。毎年(まいとし)七月(しちがつ)七日(なのか)だな」
と、()って、そのまま(なが)されてしまいました。

 こうして二人(ふたり)は、(とし)一回(1かい)七月(しちがつ)七日(なのか)七夕(たなばた)にしか()えなくなったという(こと)です。

おしまい

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