|
 |
2年生の日本民話(にほんみんわ)

お花とごんべえ
福島県(ふくしまけん)の民話(みんわ)
むかしむかし、ある村に、お花というキツネと、こんベえというタヌキが住(す)んでいました。
二匹(2ひき)とも、化(ば)けるのがとても上手です。
ある日の事(こと)、お花とごんベえが、道(みち)でバッタリと出会(であ)いました。
ごんべえは、わざとていねいに言(い)いました。
「お花さんは、化(ば)けるのがとても上手だそうだけど、おいらとどっちが上手かな?」
「さあ? どっちが上手か、化(ば)け比(くら)べをしてみないと、わかんないわ」
それを聞(き)いたとたん、ごんベえがはらを立てました。
「よし、そんならどっちが上手か、化(ば)け比(くら)べをしよう」
「いいわよ。明日(あした)の晩(ばん)、お宮(みや)さんの境内(けいだい)へきてちょうだい」
お花はそれだけ言(い)うと、帰(かえ)っていきました。
(女のくせに、なんてなまいきなキツネだ。見ていろ。かならず負(ま)かしてやる。・・・だが、何(なに)に化(ば)けたらいいのだろう?)
ごんべえは、何(なに)に化(ば)けたらお花に勝(か)つか、いっしょうけんめい考(かんが)えました。
なにしろ、お花の化(ば)ける花嫁姿(はなよめすがた)ときたら、ごんべえもほれぼれするぐらいきれいで、いつも人間(にんげん)の娘(むすめ)さんとまちがえてしまいます。
それに、化(ば)けるのが上手なごんべえでも、男なので、花嫁姿(はなよめすがた)にだけは化(ば)けることができません。
さて、キツネのお花はというと、
「ごんべえったら、どうせわたしに勝(か)てっこないのに。まあいいわ。もう二度(にど)と化(ば)け比(くら)べをしようなんか、言い出(いいだ)せないようにしてやる」
と、言(い)って、何度(なんど)も何度(なんど)も、花嫁姿(はなよめすがた)に化(ば)ける練習(れんしゅう)をしました。
さて、いよいよ化(ば)け比(くら)べの夜(よる)がきました。
お花はさっと、花嫁姿(はなよめすがた)に化(ば)けました。
練習(れんしゅう)をしただけあって、とても美(うつく)しい花嫁姿(はなよめすがた)です。
そしてお花は、本物(ほんもの)の花嫁(はなよめ)みたいに、はずかしそうにうつむきながら、お宮(みや)さんへ行(い)きました。
ところが、鳥居(とりい)をくぐろうとして、ふと下を見ると、ホカホカと、ゆげのたっているまんじゅうが落(お)ちているではありませんか。
お花は、思(おも)わず、つばを飲(の)みました。
あたりを見回(みまわ)してみましたが、ごんべえはまだきていないようすです。
(今(いま)のうちだわ)
お花は急(いそ)いで、まんじゅうをひろって、口の中へ入れようとしました。
そのとたん、まんじゅうが、パッとタヌキに変(か)わったのです。
「あははははは。なんだ、いくら美(うつく)しい花嫁(はなよめ)に化(ば)けても、やっぱりくいしんぼうのキツネだなあ」
はずかしくなったお花は、花嫁姿(はなよめすがた)に化(ば)けているのもわすれて、しっぽを出したまま逃(に)げてしまいました。
おしまい

|
 |
|