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福娘童話集 > きょうのイソップ童話 > 6月のイソップ童話 > カとライオン
6月7日のイソップ童話
カとライオン
カがライオンのところへいって、いいました。
「ぼくはきみがこわくなんかないよ。動物の王さまといばっているけど、きみはぼくより強くなんかない。もし、きみのほうが強いというのなら、その証拠をみせてごらん。爪でひっかいたり、かみついたりできるって。まあ、むだなことだけどね。なにしろぼくは、きみよりずっと強いんだから。・・・あれ、うたがっているの。なんならいますぐ、きみと一騎討ちしよう」
そしてすぐさま、カはライオンにおそいかかりました。
ライオンの鼻の穴のまわりの、毛のないところをねらって、ちくり、ちくりと刺したのです。
ライオンはかゆくてたまらず、自分の爪でそこをひっかいて、血だらけになりました。
「こうさん、こうさん」
ライオンは、勝負をあきらめました。
カはライオンを負かしたので、「ブウウーン」と勝ちどきをあげ、
「ブブブン、ブブブン」
と、勝利の歌を歌いながら、飛びたちました。
ところがクモの巣にひっかかって、クモのえじきになってしまいました。
クモに食われるとわかったとき、カは泣きべそをかいていいました。
「ライオンよりも強いこのぼくが、クモなんていう、けちなやつのために死ぬとは。やれやれ、なんてことだ」
このお話しは、つよいものに勝ちながらも、ちょっとした不注意から弱いものに負けてしまう人に、おしえてあげるお話しです。
おしまい
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