福娘童話集 きょうの新作昔話 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
    10月30日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
香りの記念日
きょうの誕生花
ペチュニア
きょうの誕生日・出来事
1979年 仲間由紀恵(俳優)
 10月30日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
どうもと、こうも
きょうの世界昔話
サヤエンドウじいさん
きょうの日本民話
ほらふき村は子どもまで
きょうのイソップ童話
おばあさんと目医者
きょうの江戸小話
貧乏医者
広告
 

福娘童話集 > きょうの新作昔話 > 笑い地蔵

2008年 10月30日の新作昔話

笑い地蔵

笑い地蔵
徳島県の民話徳島県情報

 むかしむかし、ある村に、おばあさんと息子が二人でくらしていました。
 ある晩、おばあさんは急な用事が出来たので、となり村まで行かなくてはなりません。
 それでおばあさんは、息子に言いました。
「悪いたぬきがだましに来るかもしれねえから、戸閉まりをして寝るんじゃよ。わしは明日の昼には、もどって来るからな」
「うん」
 息子はおばあさんを見送ると戸閉まりをして、寝ることにしました。
 そのとき、
 トントン、トントントン。
と、戸をたたく音がします。
「何か、ご用ですか?」
 息子がたずねると、戸の向こうからおばあさんの声がします。
「わしじゃよ。開けておくれ」
(おかしいなあ。帰りは明日の昼と言っていたのに)
 息子が首をかしげながらも戸を開けると、確かにおばあさんが立っていて、
「ああ、疲れた」
と、腰をたたきながら入って来ます。
 それから、いろりの前に座ると、なべのふたを開けて残り物を食べ始めたのです。
(こりゃ、ますますおかしいぞ。おばあさんはちゃんと夕飯を食ったし、こんな夜ふけに物を食ったりしないはず。・・・ははーん、さては)
 息子はある名案を思いつくと、おばあさんに言いました。
「おや? おばあさん、今日はいつもとちがいますねえ。いつもなら帰ると、すぐその袋に入るのに」
 息子が台所にある米袋を指さすと、なべをかかえて残り物を食べていたおばあさんは、
「おおっ、そうじゃった、そうじゃった」
と、あわててなべをおいて、米袋にもぐり込みました。
(しめしめ、うまくいったぞ)
 息子は笑い出したいのを、ぐっとがまんして言いました。
「おや? 変ですねえ。いつもなら、『米袋の入り口をひもでむすんどくれ』と言うのに」
 すると、米袋の中からおばあさんが言いました。
「おおっ、そうじゃった、そうじゃった。ひもでむすんどくれ」
 そこで息子は、おばあさんの入った米袋の入り口を、ひもでギュッギュッとむすびました。
 それから今度は、
「おや? 今夜は、どうしたのかな? こいつもなら入り口をむすんだ後、『納屋に放り込んでおくれ』と言うのに」
と、言うと、米袋の中からおばあさんが、
「おおっ、そうじゃった、そうじゃった。どうか、納屋にほうり込んでおくれ」
と、答えたので、息子は米袋をかついで力一杯、納屋に放り投げました。
「いたたた。やい、なにすんだ!」
 おばあさんは、米袋の中で思わずそう叫んで、
「しまった。ばれてしもうた」
と、あわてました。
 そして小さな虫に化け直すと、米袋の穴から出て納屋を抜け出しました。
 その様子を見ていた息子は、急いで外へ飛び出して、月あかりの道を逃げていくたぬきを追いかけました。
「やっぱりたぬきだったな! こらっ、まてー!」
 しばらく走って大きなまがり角をまがると、たぬきの姿が見えなくなりました。
「逃げられたかな?」
 しかし、ふと見ると、道にお地蔵さまが二つ並んでいます。
(おかしいぞ。お地蔵さまは一つだけなのに。・・・そうか)
 息子はにやりと笑うと、お地蔵さまに手を合わせて言いました。
「お地蔵さま、いつもおれが手を合わせると、にっこりしてくださってありがとうございます」
 そのとたん、片方のお地蔵さまがにっこり笑いました。
 息子もにっこりと笑い返して、
「では、まいりましょう」
と、そのお地蔵さまをひょいとかついで家に帰り、あっという間にたぬき汁にしてしまいました。

おしまい

ページを戻る

きょうの新作昔話メニュー
福娘童話集
きょうの新作昔話
福娘のサイト
366日への旅
毎日の記念日・誕生花 ・有名人の誕生日と性格判断
福娘童話集
世界と日本の童話と昔話
子どもの病気相談所
病気検索と対応方法、症状から検索するWEB問診
世界60秒巡り
国旗国歌や世界遺産など、世界の国々の豆知識