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 2010年 2月26日の新作昔話
 
  
 スズメがお米を食べる理由
 千葉県の民話 → 千葉県の情報
  むかしむかし、石堂寺と言うお寺の仁王さまが門の前に立っていると、一羽のカリが飛んで来て言いました。「大変、大変! 仁王さま、小鳥たちの親が病気になってしまいました!」
 「何だって! ではすぐに、子どもの小鳥たちに知らせよ!」
 そして、知らせを受けたスズメの子どもは、
 「それは大変だ!」
 と、慌てて親の所へ飛んで帰って親の看病をしました。
 おかげで親の病気は良くなり、親は死ななくてすんだのです。
 ところが知らせを受けたツバメは、
 「すぐに帰って来いと言われても、こんな格好ではね」
 と、自分の身なりを気にして化粧に時間をかけたため、親の病気は悪くなって親は死んでしまいました。
 そして同じように知らせを受けたコウモリは、
 「今、遊んでいるところだから」
 と、親の所へ帰ろうともしなかったのです。
 
 さて、その事を知った仁王さまは、
 「親孝行なスズメは、とても感心だ。これからは、おいしい物を食べて暮らすように」
 と、人間と同じ様にお米を食べる事を許したのです。
 しかし、遅れてしまったツバメたちには、
 「親の一大事に遅れるとはけしからん」
 と、
        スズメの様にお米を食べる事は許さず、稲が実る頃になると遠い国へ行くようにと命令したのです。
 そして、遊びほうけて帰ろうともしなかったコウモリには、
 「お前のような奴は、顔も見たくない! 一生暗い所で生活していろ!」
 と、昼間は暗い洞窟に隠れて、夜になってからこっそり外へ出るようにと命じたのです。
 おしまい
 
  
 
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