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6月4日の日本の昔話
少女ギツネ
狐狸嫲
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、仁和寺(にんなじ)の東にある高陽川(こうようがわ)のほとりに、夕暮れ時になると可愛い少女に化けたキツネが現われて、馬で京に向かう人に声をかけるという噂がたちました。
頭擺頭擺,在仁和寺東片析高陽川河壩脣,聽講臨暗仔會出現一個狐狸變做得人惜个細妹仔,摎騎馬去京都个人講:
「どうぞ、私をお連れ下さいませ」
「拜託渡𠊎去好無?」
そう言って馬に乗せてもらうのですが、すぐに姿を消して乗せてもらった人をびっくりさせると言うのです。
就恁樣佢就有馬好騎,但係佢過一下仔又會消失忒,騎馬个人分佢嚇著。
ある日、一人の若者が馬でその場所を通りかかりました。
有一日,一個後生人騎馬經過該位。
そこへいつもの様に少女ギツネが現われて、若者に声をかけました。
摎往擺共樣,一隻狐狸嫲出現,喊後生人。
「そこのお馬の人。私をあなたさまの後ろへ、乗せてはいただけませんでしょうか?」
「該個騎馬个人,做得坐你後背無?」
「ああっ、いいですよ」
「啊,好啊。」
若者はこころよく引き受けると、その少女を自分の馬に乗せてあげました。
後生人好心好意答應佢,分少女騎自家个馬。
そして何と、すでに用意していたひもを取り出すと、その少女を馬の鞍(くら)にしばりつけてしまったのです。
過後,拿出自家準備好个索仔,摎該個少女綯在馬鞍。
「これで逃げられまい」
「恁樣佢就無法度逃走。」
実はこの若者、その少女がキツネだという事を仲間から聞いて知っていたのです。
實際上,這個後生人對一個朋友該位聽講這個少女係狐狸嫲。
そしてそのいたずらギツネを捕まえようと、ここにやって来たのでした。
佢係挑挑來這捉該隻調皮个狐狸嫲。
少女ギツネを捕まえた若者は、仲間の待つ土御門(つちみかどもん)へと急ぎました。
抓著狐狸嫲个後生人,緊觸觸去當多朋友等佢个土御門。
若者の仲間は、たき火を囲んで待っていました。
後生人个朋友圍在火爐堆脣等佢。
「おお、約束通りキツネを捕まえてきたぞ。逃げられないように、みんなで取り囲んでくれ」
「哦,𠊎照約定摎狐狸嫲捉來。大家愛圍好,毋好分佢瀉走。」
仲間たちが周りを取り囲んだのを見ると、若者は少女ギツネをしばっているひもを解いて放してやりました。
看著朋友圍好勢了,後生人解開綯等狐狸嫲个索仔。
しかしそのとたん、キツネも仲間のみんなも、すーっと消えてしまったのです。
毋過,斯在該下,狐狸嫲也好、所有个朋友也好一下仔毋見淨淨。
「なに! ・・・しまった!あの仲間は本物ではなく、キツネが化けた物だったのか!」
「麼个啊!?...壞蹄了!該兜朋友毋係真實个人,係狐狸精變个!」
若者はじだんだをふんでくやしがりましたが、でも数日後、再び少女ギツネを捕まえたのです。
這個後生人閼到槌胸蹬腳當後悔,毋過幾日後,佢又捉著該隻狐狸嫲。
若者は、キツネに化かされないためのおまじないにまゆ毛につばをつけると、注意しながら本当の仲間の所へ行きました。
後生人特別注意,毋好再過分狐狸嫲騙著,細義行去正經个朋友該位。
そして仲間と一緒に、さんざん少女ギツネをこらしめてから放してやりました。
摎朋友共下,嚴厲个處罰該隻狐狸嫲後放佢走。
それからしばらくたって、若者はその少女ギツネの事が妙に気にかかり、高陽川(こうようがわ)のほとりまで様子を見に行きました。
過一站仔,後生人毋放心狐狸嫲,又倒轉去高陽川河壩脣看。
するとやはり、あの少女ギツネが現われました。
又看著狐狸嫲出現。
でも着物は薄汚れていて、顔色もよくありません。
著到有息屙糟,氣色也毋好。
若者は、少女ギツネにやさしく声をかけました。
後生人溫柔个對狐狸嫲講:
「この前は、少しやりすぎたようだ。今日は何もしないから、京まで乗せていってやろう」
「頭過做到有較過份,今晡日毋會對你仰般,共下騎馬來去京都。」
すると少女ギツネは、悲しそうな目で若者を見ると、
狐狸嫲用悲傷个目神看後生人,講:
「どんなに乗せてもらいたくても、またこの前の様に、こらしめられるのは怖いから、いやや」
「毋管仰般想愛騎若馬,𠊎都會驚像前回恁樣受著處罰,無愛了。」
と、言って姿を消して、二度と現われる事はなかったそうです。
講煞就毋見忒了,聽講無再過出現。
おしまい
煞咧
朗読者情報 台湾居住者 Judy
日本で20年の生活を経た後、本国の台湾に戻ったジュディーは日本と台湾の架け橋となり、通訳、翻訳、日本語教師を経験後、現在は日本語を使い、様々な分野の録音に携わっています。
台湾日文配音者です。
朗読に関するご意見ご要望はjudy.yen1204@gmail.comまでお願いいたします。
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