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8月5日の日本の昔話
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ネズミの名作
老鼠个名作
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもゆかいな人がいました。
頭擺頭擺,有一個安到吉四六先生个人,非常樂線。
この吉四六さんの村の庄屋(しょうや)さんときたら、大がつくほどの骨董(こっとう→価値のある古い美術品)好きです。
吉四六先生該村个村長,當好收集大型古董。
古くて珍しい物は、どんな物でも集めて、人が来ると見せては自慢していました。
無論幾舊幾珍貴个東西佢都愛收集起來,有人來个時節佢就盡沙鼻展分人看。
ある日の夕方。
有一日臨暗仔。
吉四六さんが、庄屋さんの家へ来ると、
吉四六先生來到村長屋下,
「おう、吉四六さんか。良い所へ来てくれた。お前に見せたい物がある」
「噯,吉四六先生係無?歡迎來這,𠊎有東西分你看。」
「また、骨董ですか?」
「又係古董係無?」
「まあ、そんな顔をせんと、とにかく見てくれ。
「唉哦,毋好用該種表情,還係先看一下,
なにぶんにも、天下に二つとない立派な品じゃ」
無論仰般,這係世上無第二隻恁靚个東西。」
そう言って庄屋さんは床の間から、いかにも得意そうに黒光りのする小さな彫り物を持って来ました。
講煞,村長大人當沙鼻樣對壁龕拿出一隻烏金烏金、細細个雕刻品。
「庄屋さん。これはネズミの彫り物ですね」
「村長大人,這係雕刻个老鼠呢。」
「さよう。生きておって、今にもそこらを走りそうじゃろう。
「係喲,摎生个共樣,這下還會行來行去樣。
見事なもんじゃ、左甚五郎(ひだりじんごろう)はだしといわにゃなるまい。
還好个東西,有人講比左甚五郎刻个還較靚。
こんな名作を持っておる者は、日本広しといえど、わし一人じゃろう。ワッハハハハ」
全日本,乜斯𠊎一儕人正有。哇哈哈哈哈。」
庄屋さんが、あんまり自慢するので、吉四六さんはつい、
因為村長大人當沙鼻,包尾吉四六先生講︰
「庄屋さん。実は、こんなネズミの彫り物なら、わたしの家にも名人の彫った物があります。
「村長大人。實際上,若係講𠊎這種雕刻个老鼠,𠊎屋下乜有名人刻个東西。
その方が、ずっと良く出来ております」
該個人一旦刻當多好作品。」
と、言いました。
庄屋さんは自慢の鼻をへし折られたので、すっかり機嫌を悪くして、
村長大人沙鼻个鼻空黏時凹下來,所以心情毋好,
「お前なんぞの家に、そんな立派な物があってたまるかい!」
「你屋下敢會有這恁好个東西?」
「いいえ、ありますとも。ちゃんとあります」
「毋係,𠊎講有就係有。」
吉四六さんも、こうなったら負けてはいません。
到這地步,吉四六先生乜毋會認輸。
「わたしのは先祖代々の宝で、天下の名作です。
「𠊎屋下祖先代代傳下个珍寶,係世界个名作。
庄屋さんのこんなネズミなんか、話になりません」
像村長該種老鼠雕刻,還較毋斯講。」
「なんじゃと!
「講麼个!
お前の家などに、そんな物があってたまるか!
你這種家庭會有這種東西?
もしあるなら、わしに見せてみい。
若係有,借看一下,
ここヘ持ってきて、見せてみい!」
拿過來這片分𠊎看!」
「はーい、明日持って来ますよ」
「好,韶早帶過來。」
「きっとだぞ!」
「定著哦!」
「ええ、きっと持って来ますとも」
「ee,一定帶來。」
吉四六さんは家に帰りましたが、吉四六さんの家にはそんなネズミの彫り物などありません。
吉四六先生轉到屋後,毋過屋下並無這種雕刻。
「これは、ちょいと困ったな。えーと、どうしようか。
「這,有兜麻煩,e-do仰結煞哪?
・・・待てよ。うん、そうそう。これはうまくいきそうだ」
...等下,係,係,這像會做得。
ニヤリと笑った吉四六さんは奥の部屋に入ると、障子(しょうじ)を閉めきって、何かをコツコツ刻み始めました。
吉四六先生笑弛弛行落房間裡肚,紙門關好,kid lid kog log 開始刻東西。
実は自分で、ネズミの名作を作ろうというのです。
實際上,想愛自家完成雕刻老鼠名作。
夜通しかかって、朝日が部屋に差し込んできた頃、ようやく完成しました。
透夜在該刻,朝晨頭个日頭絲曬入房間時節,總算完工了。
「出来た!これで、庄屋さんを負かす事が出来るぞ」
「做好了!這做得贏村長了。」
吉四六さんは刻み上げたネズミを風呂敷に包むと、庄屋さんの家まで走って行きました。
吉四六先生摎該隻雕刻个老鼠用大手巾包起來,拿去村長屋下。
「おはようございます、庄屋さん。これが昨日話した、わたしの家の宝物です。名作です」
と、風呂敷から、いかにも大事そうに彫り物を取り出して、
「恁會早,村長大人,這係昨晡日講著𠊎屋下个寶物。這係一件名作。」
解開大手巾,細義拿出雕刻品,
「どうです。このネズミこそ、本物そっくりでしょう」
「仰般,這隻老鼠就像正經个。」
と、一晩かかって彫り上げたネズミを、庄屋さんの前に差し出しました。
透夜在該刻个老鼠展分村長看。
「・・・?ぶぶぶーっ!」
「...?bubububu--!」
庄屋さんは、思わず吹き出しました。
村長忍毋核嗄笑出聲。
「何を笑いなさる。このネズミに比べたら、庄屋さんのネズミなんぞは、恥ずかしゅうてそばヘも寄れません。
「你笑麼个,摎這隻老鼠比起來,村長个老鼠見笑到毋敢偎近來。
はよう持って来て、比べてごらんなされ」
無你帶落來試看。」
「じゃと!」
「你講麼个!」
庄屋さんは、さっそく自分のネズミを持って来ました。
村長黏時摎自家个老鼠帶過來。
比べてみるまでもありません。
毋使比。
吉四六さんのネズミは、素人の一夜作り。
吉四六先生个老鼠係業餘个人透夜刻出來个。
庄屋さんのネズミは、名人の作品です。
村長个老鼠係名人个作品。
それでも吉四六さんは、自分のネズミの方が素晴らしいと褒めちぎりました。
吉四六先生還係稱讚自家个老鼠較靚。
「えーい。お前といくら言い合っても、話にならん。
「好了,摎你仰般詏,都無較爭,
和尚(おしょう→)さんにでも、立ち会ってもらおう」
請和尚師父做公道人。」
と、言うので、吉四六さんは、
村長恁樣講,吉四六先生應講:
「よろしい。立ち会ってもらいましょう。だけど、ちょっと待って下さいよ。
ネズミを見分けるのなら、寺まで行かずとも、ほれ、そこにおるネコの方がよろしかろう」
「好,請佢來做公道人,毋過愛等一下。若係喊貓仔來分辨老鼠,準講毋去廟,去請廟肚畜个貓仔斯做得。」
「ネコ・・・?なるほど。では、ネコの飛びついた方が勝ちじゃ」
「貓仔...?有影,該就,貓仔跳過去捉該儕贏。」
「はい。では、もしわたしの方に飛びついたら、庄屋さんのネズミは頂きますよ」
「好,該就,若係跳到𠊎个老鼠身上,你个老鼠愛分𠊎哦。」
「おお、いいとも、いいとも」
「哦,好,好」
と、言うわけで、二人のネズミを床の間に並べてネコを連れて来ると、これはビックリ。
ネコはいちもくさんに、吉四六さんのネズミに飛びつきます。
講好,兩儕斯摎老鼠比比放在壁龕,摎貓仔渡過來後,盡奇怪,貓仔一下就跳去捉吉四六先生个老鼠。
「あっ!」
「啊!」
庄屋さんが、ビックリするひまもありません。
村長連著驚个時間都無。
ネコはネズミをくわえたまま、素早く庭へ飛び降りて、どこかへ行ってしまいました。
貓仔含等老鼠,瀉到庭院,過後毋知走哪位去了。
「吉四六の勝ちじゃ!庄屋さん、約束通りこのネズミはいただきますよ」
「吉四六先生贏了!村長大人,照約定老鼠愛分𠊎。
吉四六さんは床の間に残った庄屋さんのネズミをつかむと、家ヘ帰りました。
吉四六先生抓著壁龕伸著該條村長个老鼠,轉屋下去了。
そして、庄屋さんのネズミをつくづくとながめて、
過後,吉四六先生斟酌欣賞村長个老鼠,
「なるほど。こりゃ立派な彫り物じゃ。おかげで、家にも宝物が出来たわい」
「有影,這確實係一隻當靚个老鼠雕刻,承蒙你,𠊎屋下正有寶物。」
実は吉四六さんが一晩かかって作ったネズミは、ネコの大好物のカツオブシで作ったネズミだったのです。
實際上,吉四六先生透夜刻个老鼠係用貓仔最好个柴魚做个。
おしまい
煞咧
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