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8月10日の日本の昔話
彦一のウナギつり
彥一釣鰻仔
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、彦一(ひこいち)と言う、とてもかしこい子どもがいました。
頭擺頭擺,有一個安到彥一个細人仔,非常聰明。
ある日のこと、彦一は肥後(ひご→くまもとけん)の国ざかいの川へ、ウナギつりに出かけました。
有一日,彥一去肥後國(熊本縣)合界一條河壩釣鰻仔。
けれどこの日はどうしたことか、ウナギがさっぱりつれません。
毋過,該日毋知仰般,鰻仔完全毋食釣。
つれる場所を探して川の上流へ上流へとのぼって行くと、いつの間にか隣の国の領地(りょうち)に入ってしまいました。
為著尋魚場,蹶上河壩上游个上游,毋知哪量時行落鄰國國土。
「まあ、誰にも見つからないだろう」
「好,應該無人會看著正著。」
彦一がつりを始めると、今度はおもしろいようにウナギがつれます。
彥一開始釣鰻仔時節,這擺試著當快樂樣會釣著鰻仔。
するとそこに隣の領地のさむらいがウナギつりにやって来て、彦一を見つけました。
過後,鄰國領地个武士來釣鰻仔,看到彥一。
「やい、やい、彦一。ここは、わしの殿さまの領地の川じゃ。お前がつったウナギを残らずよこせ」
「噯,噯,彥一,這位係𠊎國主領地个河壩,摎你釣著个所有鰻仔交分𠊎。」
ところが彦一は、少しもあわてません。
但係,彥一無半息慌張。
「おらは、八代(やつしろ)の川を大きなウナギが何百匹ものぼるのを見て、それをつりに来たまでじゃ。八代のおれが八代のウナギをとって、どこが悪い」
「𠊎,看到幾下百尾大鰻仔在八代河泅上來,正會來釣,八代个人來釣八代个鰻仔,哪位毋著。」
「ふむ、それはそうだが、八代のウナギとわしの領地のウナギとを、どうして見分ける事が出来るんだ。へりくつをぬかすな」
「humu,講係恁樣講,你仰般看得出八代鰻仔抑係𠊎領地个鰻仔呢?歪理毋好講恁多!」
「いいや、見分けるなど、わけもない」
「毋係哪,愛分辨,盡簡單。」
彦一は大きなウナギをつりあげると、
彥一釣起一尾大鰻仔个時節,講:
「これは、八代からのぼってきたやつ」
「這係八代个鰻仔。」
と、自分のビク(→さかなを入れるカゴ)に入れ、小さいのがかかると、
放落自家个魚䉂裡肚。若係捉著較細尾个,
「これは、そちらのウナギ」
「這係你這片个鰻仔。」
と、さむらいのビクにポイと投げ入れました。
摎佢擲落武士个魚䉂裡肚。
そうして彦一は、大きいウナギだけを持って帰りました。
過後,彥一斯帶等大鰻仔轉屋下了。
おしまい
煞咧
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