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8月15日の日本の昔話
聞き耳ずきん
順風耳𠖄帕
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、あさせに打ち上げられた赤いタイが、バタバタと暴れていました。
頭擺頭擺,分水沖上淺灘个赤鯮,在該奮奮跳。
「誰か、助けてくださーい!」
「麼人,拜託救𠊎!」
タイは泣きながら、何度も何度も大きな声で叫びました。
赤鯮緊叫緊大聲喊。
するとそこを通りかかった太郎が、
堵好經過个太郎,講:
「おや、かわいそうに」
「唉哦,還衰過哪。」
と、タイを抱きあげて、海の深い所へ放してやりました。
過後,揇起赤鯮,摎佢放轉去大海。
そして太郎が帰ろうとすると、後ろから呼ぶ声がしました。
太郎想愛轉个時節,後背傳來喊佢个聲。
「もし、もし」
「噯,噯。」
太郎が振り向くと、そこにいたのは竜宮(りゅうぐう)の使いのクラゲではありませんか。
太郎斡頭轉去看時節,該毋係龍宮使女水母嘎?
クラゲは太郎に言いました。
水母摎太郎講:
「太郎さん、わたしは竜宮の竜王さまの使いです。あなたが助けたタイは、竜王さまの娘です。竜王さまは、あなたにお礼がしたいと申しております。さあ、わたしと一緒に竜宮へいらしてください」
「太郎先生,𠊎係龍宮龍王个使女,你頭擺幫助過个赤鯮,係龍王个妹仔。龍王講愛送禮物分你,請跈𠊎共共下去龍宮。」
太郎はクラゲの背中に乗せられて、広い海へ出て行きました。
太郎坐在水母背囊頂,行出闊野野个海了。
「太郎さん、もうすぐ竜宮につきますが、その前に1つお話しすることがあります。竜宮さまがあなたにおみやげを渡すといったら、『聞き耳ずきんが欲しい』というのですよ。けっして玉手箱をもらったりしてはいけません。いぜん玉手箱をもらって、ひどい目にあった人がいますから」
「太郎先生,盡遽就會到龍宮了,去到之前𠊎愛先交代一句話,若係龍王講愛送禮物分你時節,你愛講『𠊎愛順風耳𠖄帕』,絕對毋好拿珠寶箱,因為過去有人拿著珠寶箱,運數變盡毋好。」
「わかりました。『聞き耳ずきん』ですね」
「了解,係『順風耳𠖄帕』呢。」
「そうです。では海にもぐりますので、少し目をつぶっていてください」
「著,𠊎愛潛入海竇肚了,請你目瞇瞇一下。」
クラゲはそう言うと、海の底へともぐっていきました。
水母講煞就到海底了。
太郎はウトウト夢を見ているような気持ちになり、そのまま寝てしまいました。
太郎感覺像發夢樣,心情鬆爽就睡忒了。
太郎が目を覚ますと、いつの間にか竜宮のお城の前に立っていました。
睡醒个時節,毋知幾時企在龍宮城堡頭前。
お城から竜王が出てきて、太郎におじぎをしました。
龍王對城堡出來,摎太郎行禮。
「太郎さん、先ほどは娘のタイ姫をお助け下さいまして、ありがとうございました。さあどうぞ中へ、宴会の用意がしてあります」
「太郎先生,承蒙你頭下幫助吾妹仔赤鯮公主。請落來,宴會準備好了。」
太郎は竜王に案内されて、竜宮城の中に入りました。
太郎在龍王帶領下進入龍宮城。
中には見たこともないようなごちそうが山のように用意されていて、ヒラメやタコやカメが楽しい踊りを見せてくれました。
準備好從來毋識看過恁多、像山恁高个料理,比目魚,章魚摎烏龜表演生趣个舞蹈。
でも、太郎はそろそろ帰らなければなりません。
但係,太郎時間到了無轉做毋得了。
太郎が帰りたいと言うと、竜王が言いました。
太郎講想愛轉了,龍王就應講:
「もっとゆっくりしていただきたいのですが。それでは何かお礼をいたしましょう。欲しい物は何でも差し上げますよ」
「希望你慢慢食。𠊎愛送兜麼个東西分你,你想愛麼个東西都做得哦!」
そこで太郎は、クラゲに教えられたとおりに言いました。
太郎照水母教个,講:
「はい、わたしは、聞き耳ずきんをいただきたいのです」
「好,𠊎愛順風耳𠖄帕。」
「・・・聞き耳ずきんですか」
「...順風耳𠖄帕係無?」
竜王さまは、ちょっと困った顔をしました。
龍王看起來有兜無結無煞。
聞き耳ずきんは、竜宮にたった一つしかない宝物です。
『順風耳𠖄帕』係龍宮个寶物。
「わかりました。太郎さんに、聞き耳ずきんをさしあげましょう」
「了解,『順風耳𠖄帕』送分太郎先生。」
太郎さんは聞き耳ずきんをもらうと、クラゲに送られて元の海辺に帰ってきました。
太郎先生拿到『順風耳𠖄帕』,斯由水母,載轉以前該海灘。
「さて、クラゲの話しでは聞き耳ずきんを頭にかぶると、鳥でも、草でも、木でも、生きている物の言葉がなんでも聞こえて来るそうだが。・・・よし、あれでためしてみよう」
「照水母講,摎『順風耳𠖄帕』戴在頭那頂,你就會聽著鳥仔,草,樹仔摎所有生物个聲音...,好,來試一下。」
太郎は聞き耳ずきんをかぶると、近くにいたスズメの話を聞いてみました。
太郎摎『順風耳𠖄帕』戴在頭那頂,試聽就近一隻屋簷鳥講个話。
『チュンチュン、ねえ知っている?すぐそばの川底に、1つだけこけの生えた四角い石があるでしょう。あれは実は、金の固まりなのよ』
『chun chun,你知無?這脣頭个河壩底,有一隻四角形、生溜苔个石牯,事實係大矻黃金。』
太郎はすぐに川へ入ると、こけの生えた四角い石を探してみました。
太郎煞煞走落河壩肚,尋著一隻生淰溜苔个石牯。
「この石かな?」
「會係這隻石牯無?」
太郎が石に生えたこけを取ってみると、中から金が姿を見せました。
太郎挷起石牯頂个溜苔後,裡背个金子斯看著了。
スズメのいう通り、それは四角い金の固まりだったのです。
摎屋簷鳥所講个共樣,該係一矻四角形个黃金。
太郎はうれしくなって、今度はカラスの話を聞いてみました。
太郎盡歡喜,這下聽著有關烏鴉講个事。
「なあ、殿さまのお姫さまが病気なのを知っているか?かわいそうに、もうすぐ死んでしまうそうだよ」
「na,你知國主个妹仔,公主發病仔無?還衰過,聽講黏時會死忒了。」
「あの、やさしいお姫さまがか?でも、どうして病気になったんだ?」
「該個,好心个公主係無?但係,仰會發病仔?」
「なんでも、お城を建て直すときに、かやぶきのかやと一緒に二匹のヘビをしばりつけたそうだよ。お姫さまの病気は、ヘビののろいなのさ。ヘビを助けてやれば、すぐにお姫さまの病気は治るのに」
「聽講係整城堡時節,用茅仔重屋頂時節,兩條蛇摎茅仔做下䌈共下。公主發病仔就係犯著蛇个咒,摎蛇救出來後公主个病黏時就會好。毋過...」
太郎はすぐに、お城へ行きました。
太郎黏時去城堡。
すると本当にお姫さまが病気で、今にも死にそうだったのです。
正經,公主發病了,像形看等會死忒了。
「お姫さまが病気になった原因を知っています」
「𠊎知公主仰會發病仔。」
太郎は、かやぶきの屋根を指さしました。
太郎指茅仔屋頂。
「あそこに、かやと間違えられて、二匹のヘビがしばられたままになっています。すぐにヘビを、助けてください。そうすれば、お姫さまの病気は治ります」
「在該位,有兩尾蛇分人摎茅仔䌈做下,請遽遽摎蛇放走,公主个病就會好。」
家来たちがかやにしばられているヘビを見つけて助けると、死にそうだったお姫さまの病気はたちまち治ってしまいました。
家臣尋著分人摎茅仔䌈做下个蛇、放走以後,像形看等會死忒个公主,病黏時就好忒了。
殿さまは涙を流して喜ぶと、太郎に言いました。
國主歡喜到目汁雙流,摎太郎講:
「よくぞ、姫を助けてくれた! よければ、姫の婿になっていただきたい」
「還好哪,救到公主!假使你中意,希望你做公主个老公。」
こうして太郎はお姫さまの婿になり、やがてこの国の心のやさしい殿さまになりました。
所以,太郎成為公主个駙馬,最後變成為這國當慈善个國主。
おしまい
煞咧
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