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8月28日の日本の昔話
ツバメの宿賃
燕仔个屋稅
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、人里離れた山寺に、和尚(おしょう)さんと小僧さんが住んでいました。
頭擺頭擺,和尚摎細沙彌戴在離村莊盡遠、山林壁角个寺廟。
この山寺には、毎年春になるとツバメが巣を作って、ひなを育てるのです。
逐年春天,燕子在這座寺廟作竇生養鳥子。
その年も、山寺にツバメが巣を作りました。
該年,燕子乜在這座寺廟作好竇。
和尚さんが何気なく、
和尚無意中,弄佢講:
「ツバメよ。毎年毎年、そこに巣を作るが、ちっとは、宿賃でも払う気にならんか?」
「燕仔啊,逐年逐年在該作竇,無半息意思想愛付屋稅嘎?」
と、からかう様に言うと、ツバメはどこかへ飛んで行って、カボチャの種を一つ持って帰ると、和尚さんの前にポトンと落としました。
像講笑仔樣講後,燕仔毋知飛到哪位去,含一只黃瓠仁轉來,擲在和尚面頭前。
「おや?なんと、さっそく宿賃をくれたか。わはははははははは」
「唉哦?仰會恁遽分𠊎屋稅?哇哈哈哈哈哈哈」
和尚さんは大笑いしながら、ツバメがくれたカボチャの種を大切にしまい、春を待って園にまきました。
和尚師父緊笑,就摎燕仔分个黃瓠仁匟起來,等春天點在園肚。
するとその種から芽が出て、やがて大きな大きなカボチャが一つなりました。
黃瓠仁生芽,無幾久打一隻大黃瓠。
でも和尚さんは、ツバメの宿賃は大切にしようと言って、なかなか食べようとはしません。
毋過和尚師父講,他會珍惜這隻燕仔个屋稅,非常毋盼得食這隻大黃瓠。
そこで、しびれを切らした小僧さんは、和尚さんの留守をねらって、ついにカボチャを割ってしまいました。
等到當毋著个細沙彌,趕和尚師父出門去了,斯摎黃瓠破開來。
ところが割れたカボチャの中から、ヘビがニョロニョロとはい出してきたので、びっくりした小僧さんはヘビとカボチャを裏の小池へ投げ捨てたのです。
毋過,破開來个黃瓠裡肚走出一條蛇,嚇著个細沙彌摎蛇、大黃瓠擲落裡背个水池肚。
小僧さんは、それでも気がおさまらないので、ツバメの巣へ向かって、
雖然恁樣,這個細沙彌還係當無歡喜,走去燕仔竇罵講︰
「役立たずは、出て行け!」
「沒用个東西,出去!」
と、怒鳴っていると、ちょうど和尚さんが帰ってきたので、小僧さんは一部始終を話しました。
大聲講時節,堵堵和尚轉來,所以細沙彌摎事情經過講分和尚師父聽。
するとそこへ突然の大風が吹いてきて、空は見る見る暗くなり、雷まで鳴り始めて大嵐になりました。
過後,忽然間起大風,天烏地暗,開始響雷公,起大風落大水了。
このままでは山寺が壊れてしまうと心配になった和尚さんが、一心にお経をあげていると、小僧さんが飛んできて、
當愁照這情況寺廟會吹橫忒个和尚師父,專心唸經時節,細沙彌走過來。
「裏の小池が大変です!」
「裡背个水池盡得人驚!」
と、叫びました。
大聲噦。
見に行った和尚さんは、あまりの事に腰を抜かしそうになりました。
過去看个和尚師父,嗄分佢嚇著。
何と池には大きなヘビが泳ぎ回り、池の方も少しずつ大きくなっていくのです。
仰會有一條大蛇在水池肚泅來泅去,水池也一點一點緊來緊大。
怖くて泣きわめく小僧さんをなだめすかした和尚さんは、再びお経をあげ始めました。
摎嚇著、噭到會死个細沙彌拐好勢以後,和尚師父又開始再過大聲唸經。
さて次の朝、嵐がやんだので池を見に出た和尚さんはびっくり。
第二日朝晨,狂風大水恬了,走出去看水池个和尚師父著下驚。
小池はいつの間にか広々とした沼になり、ヘビの姿も見あたりませんでした。
水池毋知幾時嗄變一片大濫仔,蛇也毋見忒了。
この沼は後に蛇沼(へびぬま)と呼ばれ、田んぼをうるおす大切な用水池になったそうです。
大濫仔聽講後來分人喊做蛇濫仔,變蔭田用个重要水源頭。
おしまい
煞咧
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