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10月7日の日本の昔話
中ぶらりんの鐘
吊在半天頂个鐘
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもとんちの出来る人がいました。
頭擺頭擺,有一個安到吉四六先生个人,非常樂線。
ある日の事、お寺参りに来た二人の男が、釣り鐘の下で大声で言い合いをしていました。
有一日,兩個來廟參拜个細倈仔企在吊鐘下背相吵仔。
「おれはこの寺の鐘を、むかしから見て知っとるが、ぶらりと下がっとる。間違いはねえ!」
「照𠊎頭過所知,這廟个鐘愛用懸吊等墜下來个方式,舞毋著了!」
「いや違う。この鐘は、下がってぶらりとしとるんじゃ!」
「毋著,這隻鐘係墜下懸吊等!」
「いや、ぶらりと下がっとる!」
「毋係,懸吊等墜下來!」
「いや違う。下がってぶらりじゃ!」
「毋著,懸吊等墜下來!」
どっちも負けずに言い合って、一歩もゆずりません。
兩儕強強愛詏到贏,毋肯讓。
そこで二人は一両のお金をかけて、通りかかった人にどっちが正しいかを判断してもらおうという事にしました。
所以兩儕賭一兩个錢,想愛拜託過路人做公道人,看麼儕著。
さあ、そこへちょうどやって来たのが、吉四六さんです。
堵好吉四六先生行過來。
「さあ、吉四六さん。どっちが正しいか、決めてくれ」
「吉四六先生拜託你看麼儕正著。」
二人の言い分を聞くと、吉四六さんは、
聽佢兩儕講了後吉四六先生講:
「まずは、一両ずつ預かりましょう」
と、言って二人からお金を受け取ると、吉四六さんはわざと難しい顔で、
「兩儕先各各拿一兩錢放在𠊎這。」
講了後,拿著兩儕个一兩錢,吉四六先生做出像形盡為難个表情講:
「うーん。ぶらりと下がると、下がってぶらりか。・・・はて、どっちかのう?」
「m11!懸吊等墜下來、墜下來懸吊等。‧‧‧唉,哪個正著?」
と、言いながら、釣り鐘の回りを、ぐるぐると見て回りました。
緊講緊轉該吊鐘。
「吉四六さん、早く決めてくれ」
「吉四六先生遽遽決定啊!」
二人が詰め寄ると、吉四六さんはまじめな顔をして言いました。
兩儕追問个時節,吉四六先生當嚴肅講:
「そうだ!この鐘は、中ぶらりんじゃ。
「係哪!這隻鐘吊在半天頂。
『ぶらりと下がる』でも『下がってぶらり』でもなく、『中ぶらりん』じゃ。
毋係『懸吊等墜下來』也毋係『墜下來懸吊等』、係『吊在半天頂』。
だから、どっちが勝ちでもない。
所以麼儕都無贏。
・・・しかし、お金の中ぶらりんは困るだろうから、これはおらがもらっておこう。
では、さいなら」
‧‧‧毋過,錢放在半天頂當無結煞,先放在𠊎這,正來尞。」
「・・・・・・」
「‧‧‧‧‧‧」
「‧‧‧‧‧‧」
「・・・・・・」
あっけにとられている二人を残して、吉四六さんは二両のお金をふところにしまうと、さっさと帰ってしまいました。
兩儕嗄戇忒,目盯盯、嘴擘擘留在該,吉四六先生二兩錢落袋後,煞煞轉屋下去了。
おしまい
煞咧
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