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11月8日の日本の昔話
イラスト Smile STATION
しょうじょう寺のタヌキばやし
証城寺个貍囃仔
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、山にかこまれた、しょうじょう寺という小さなお寺がありました。
頭擺頭擺,有一間分群山包圍个証城寺。
山にはタヌキがいっぱいいて、夜になると寺へやって来ては腹つづみを打ったり、暴れまわったりとイタズラのしほうだい。
山頂有當多貍仔,到暗晡時頭斯會走來廟項,打肚屎鼓、作亂、儘採搣耍人。
おかげでこの寺には和尚(おしょう)さんがいつかず、寺は荒れ放題です。
因為這廟个和尚歸日無管由在佢荒。
身分の高い和尚さんが、この寺の事を聞いて、
身分當高个和尚師父聽講這事情,
「よろしい、わしが行ってしんぜよう」
と、しょうじょう寺へやって来ました。
「好好,𠊎來去拜訪佢。」
就去証城寺。
「うむ、これは聞きしにまさるひどさじゃ」
「m11,這比聽著个還較慘。」
あまりにもひどい寺の荒れように、和尚さんはあきれ顔です。
廟抝蠻仔律不,和尚師父个面色當難看。
♪なんまいだあ~
♪南無阿彌陀佛~
♪なんまいだあ~
♪南無阿彌陀佛~
本堂から、ひさしぶりにお経が聞こえてきました。
盡久無聽到正殿傳出个念經聲。
裏山のタヌキたちは顔を見合わせてニヤリと笑うと、さっそく新しい和尚さんを追い出す相談をはじめました。
深山裡肚个貍仔,你看𠊎𠊎看你笑咪咪時節,遽遽開始參詳愛逐走新和尚。
「おい、ポン太とポン子、いつものやつやってみろ!」
「噯,Ponta 摎 Ponko,平時个就好!」
「へ~い!」
「he~i!」
ドロンパッ!
doronpad!
ポン太とポン子は、何やら姿を変えてしまいました。
Ponta 摎 Ponko仰會形投變淨淨呢?
「おう、見事じゃ。はよう行って、おどかしてこい」
「哦,還好看呵,遽行,來去嚇佢。」
「へ~い!」
「he~i!」
そして、
過後,
♪なんまいだあ~
♪南無阿彌陀佛~
♪なんまいだあ~
♪南無阿彌陀佛~
と、お経をあげる和尚さんの後ろに、そうっと近づいたポン太は、ぬっと顔を出しました。
念經个和尚後背,忽然間偎兼个Ponta,伸出面來。
「ギャアーーーー!」
「giaaーーーー!」
目の前に現れたのは、一つ目小僧です。
面頭前出現个係獨眼怪物。
そこへ、美しい娘も現れて、
該當時,一個靚細妹仔出現,
「和尚さん、お茶をどうぞ」
「和尚師父,請食茶。」
と、言いながら、首をニョロニョロとのばしてきたではありませんか。
緊講緊扭頭拂尾蹶上來。
「た、た、たすけてくれ~っ」
「救,救,救命哦!」
和尚さんは寺の石段を転がるようにかけおりて、逃げ出してしまいました。
和尚師父像對石碫輪下來樣舂等下來,瀉走。
寺の庭に集まったタヌキたちは大笑いしながら、とくいになって腹つづみを打ちました。
廟坪聚集个貍仔,一片大笑一片得意个打肚屎鼓。
さて、次に現れたのは、力の強そうなごうけつ和尚でした。
續下來出現个係當大力个豪傑和尚。
和尚さんが寺につくと、さっそくタヌキたちはおどかしにかかりました。
和尚師父來到廟後,黏時恐嚇該兜貍仔。
ところが一つ目小僧に化けたポン太は頭をコツンとなぐられ、娘に化けたポン子が首をニョロニョロのばすと首をねじまげられるしまつです。
但係,變做獨眼怪物个Ponta,頭那抨聲無忒,變做細妹仔个Ponko个頸根扭頭拂尾伸長後,扭彎忒。
「うえーん、いたいよう!」
「uei~n,痛哦!」
二匹は、なきなき帰っていきました。
兩條緊叫緊走轉去。
タヌキの親分は、考えました。
貍仔頭目考慮。
「う~ん、あの和尚、何に化けてもこわがらん。・・・そうだ、一晩中腹つづみを打ち続けるんだ。そうすれば和尚のやつ、眠れなくなってまいっちまうぞ」
「m11,該個和尚變麼个嚇佢都毋驚,・・・係哪,歸暗晡來打肚屎鼓,若係恁樣和尚該傢伙就無法度睡目。」
その夜、タヌキたちはいっせいに腹つづみを打ちはじめました。
該暗晡,貍仔開始拚命打肚屎鼓。
♪ポンポコポンのポン!
♪ponpokopon pon!
ぐっすり眠っていた和尚は、さすがにその音で目を覚ましました。
睡到ku11ku11滾个和尚,嗄分該聲吵醒。
むっくり起きあがって戸を開けると、
忽然間䟘起來打開門後,
「こらっ!庭で遊んじゃいかん」
「唉哦!在天墀坪搞。」
タヌキたちはすばやく逃げ出して、木のかげにかくれてしまいました。
該兜貍仔煞煞瀉走,去樹影下囥等。
「こらっ、待て!こらっ、逃げるな!タヌキたちのやつ、ばかにしやがって」
「噯,等下!噯,毋好瀉走!你這兜貍仔,敢搣耍𠊎。」
和尚は庭中、タヌキを追いかけまわしましたが、タヌキたちのすばやさにはとてもかないません。
和尚在天墀坪追貍仔追到捩捩轉,對貍仔流掠个手腳,仰般就追毋著。
そのうち石につまずいて転んで、目をまわしてしまいました。
該下,徑著石牯跢到滾滾翻,目珠捩捩轉。
こうして和尚は、またまたタヌキたちにやられてしまったのです。
就恁樣,和尚還係照樣分該兜貍仔欺負。
さて、その次に現れたのは、なんともきたない和尚さんでした。
續等後背出現个係,非常律不个和尚。
この和尚さんは、きたないこの寺をすっかり気に入ってしまいました。
這個和尚,非常中意這間屙屙不不个廟。
「おう、しずかでいい寺じゃ」
「o53,恬靜又盡好个廟。」
タヌキたちはさっそく、この新しい和尚さんを追い出す相談です。
該兜貍仔煞煞參詳愛摎新和尚師父逐走。
いつものように、まず一つ目小僧のポン太が出て行きましたが。
摎頭擺共樣,獨眼怪物Ponta先出來。
「おう、これはかわいい一つ目小僧じゃ。そら、ダンゴでも食わんか?」
「o24,這毋係得人惜个獨眼怪物Ponta咩?噯,食隻粄圓無?」
ポン太は和尚さんにダンゴをもらって、とことこ帰ってきました。
Ponta拿到和尚師父分个粄圓,慢慢行轉來了。
今度は、ポン子姉さんです。
這下係Ponko阿姊。
ところが和尚さんは、大喜び。
和尚師父非常歡喜。
「さあ、首の長いお姉さんも、一ぱいいこう」
「好,長頸阿姊乜食一杯。」
と、ポン子にお酒を飲ませるしまつ。
喊Ponko食酒。
タヌキの親分は、怒りました。
貍仔个頭目當閼。
「ようし、こうなったらあの手だ」
「好,若係恁仰斯用該種手段。」
と、いうわけで、その夜、和尚さんが寝付いた頃。
因為這原因,該暗晡,和尚師父睡忒時節。
♪ポンポコポンのポン!
♪ ponpokopon pon!
物音で目を覚ました和尚さんが戸を開けると、タヌキたちがせいぞろいして腹つづみを打っています。
分吵鬧聲吵醒个和尚師父打開門後,該兜貍仔擠做下打肚屎鼓。
「こりゃ、おもしろい。わしも仲間に入れてくれ」
「分𠊎參加好無?」
ずいぶんとかわった和尚さんで、庭におりてくるとタヌキたちと一緒に腹つづみを打ちはじめました。
改變當多个和尚師父,下來天墀坪後,開始摎該兜貍仔共下打肚屎鼓。
♪ポンポコポンのポン!
♪ ponpokopon pon!
♪ポンポコポンのポン!
♪ ponpokopon pon!
どうも、タヌキたちの音とは違うようです。
總係感覺摎該兜貍仔个聲音無共樣。
「なんだなんだ、その音は。わっはっはっは」
「麼个,麼个,該聲音,哇哈哈哈。」
タヌキたちに笑われて、和尚さんはいっしょうけんめいたたきました。
雖然分該兜貍仔笑,和尚師父還係盡命牯打。
「よせよせ、腹がこわれてしまうぞ」
「算了,算了,肚屎會打壞忒了。」
タヌキの親分がとめるのも聞かず、和尚さんはたたきつづけます。
毋聽貍仔个頭目講,和尚師父還係繼續打。
そのうち、お腹をたたき続けた和尚さんは、とうとうフラフラになって倒れてしまいました。
該下,繼續打肚屎鼓个和尚師父,漸漸踜踜蹭蹭,橫落去。
「それ、言わんこっちゃない。このままじゃ、かぜをひいてしまうぞ。和尚さんを、寺の中へ運んでやれ」
「噯,毋係這意思。照恁樣落去會冷著哦。摎和尚師父扛落屋肚。」
和尚さんを追い出そうとしたタヌキたちでしたが、和尚さんを親切にかいほうしました。
想愛摎和尚師父逐出去个該兜貍仔,這下當用心照顧和尚師父。
次の日の朝。
第二日朝晨,
「はて、わしはいつここへもどったんじゃろう?まあ、それはどうでもいいわ。もう少し、腹つづみがうまくならんといかんな」
「𠊎幾時會倒轉來這位?不管仰般,加打一下肚屎鼓分佢打較好兜哪。」
と、いうわけで、和尚さんは朝早くから腹つづみの練習をはじめました。
因為恁樣,和尚師父打早就去開始練習打肚屎鼓。
「強くたたけばいいってもんじゃないな。コツじゃ、コツ。そいつを覚えねば」
「毋係出力打打就好哪,係孔竅,孔竅,若細摎佢記起來。」
和尚さんは昼飯もそこそこに、また腹つづみのけいこです。
和尚師父連晝乜儘採食食仔,又去練習打肚屎鼓。
やがておてんとさまが西にかたむく頃、和尚さんのお腹はかなりいい音が出るようになっていました。
無幾久,日頭落山時節,和尚師父个肚屎鼓打出盡好聽樣个聲音。
さて、今夜は満月です。
啊,暗晡夜係滿月。
和尚さんもタヌキたちも早くから寺の庭にせいぞろいして、みんなで楽しく腹つづみです。
無論和尚師父也係該兜貍仔,打早都擠到廟坪,大家快樂打肚屎鼓。
♪ポンポコポン、ポンポコポン。
♪ ponpokopon、ponpokopon
♪ポンポコポン、ポンポコポン。
♪ ponpokopon、ponpokopon
♪ポンポコポンの、スッポンポン。
♪ ponpokopon、suponpon
和尚さんのお腹の音がずいぶんよくなったので、タヌキたちも負けてはいられません。
因為和尚師父个肚屎鼓打出盡好聽个聲音,所以該兜貍仔毋認輸。
「和尚さんに、負けるな、負けるな」
「做毋得輸分和尚師父,做毋得輸分和尚師父。」
と、ひっしでお腹をたたいているうちに、タヌキの親分のお腹はどんどんふくれていきました。
拚命打肚屎鼓該下,貍仔頭目个肚屎緊脹緊大隻。
それでも、たたき続けます。
雖然恁樣,還係繼續打。
そしてついに。
包尾,
バーン!とうとうお腹がはれつして、タヌキの親分はひっくり返ってしまいました。
bon!聲、肚屎爆忒,貍仔頭目貶倒轉來。
「こりゃ、大変じゃあ!薬、薬」
「這啊,壞啼了!藥仔,藥仔拿來!」
和尚さんは大急ぎで薬を持って来て、タヌキのお腹にぬってやりました。
和尚師父煞煞摎藥仔拿過來,膏在貍仔肚屎。
「どうだ、具合は?」
「仰般,好無?」
心配そうにたずねる和尚さんに、タヌキの親分はニッコリして言いました。
貍仔頭目笑咪咪對愁勞博激个和尚師父講:
「和尚さんのおかげで、もう治った。さて、続きをやるぞ。それっ、あいててて!」
「和尚師父好得你,醫好了,好,繼續打,著,恁樣!」
タヌキの親分は腕をふりあげましたが、まだむりのようです。
貍仔頭目手髀擎起來,還昶勉強。
「次の満月まで、しんぼうしなさい。みんな、今夜は親分のお腹が早く治るよういのって、元気よくやろう」
「下隻滿月前,愛較忍耐兜,大家,暗晡夜祈求頭目肚屎早兜醫好、恢復健康。」
こうしてタヌキたちとゆかいな和尚さんは、朝まで元気良く腹つづみを打ち続けました。
恁樣形,該兜貍仔摎愉快个和尚師父,精神當好繼續在該打肚屎鼓打到天光。
そしてしょうじょう寺というこのお寺では、今も満月の夜にはタヌキたちが庭に集まって、腹つづみをうつという話です。
過後,証城寺這間廟,這下乜見滿月暗晡,聽講該兜貍仔會擠在廟坪打肚屎鼓。
おしまい
煞咧
証城寺(しょじょうじ)の狸(たぬき)ばやし
作詞 野口雨情
作曲 中山晋平
1
♪ しょ しょ しょうじょうじ
♪ しょうじょうじの 庭は
♪ つ つ 月夜だ
♪ みんなでて こいこいこい
♪ おいらの 友だちゃ
♪ ポンポコポンの ポン
2
♪ 負けるな 負けるな
♪ 和尚さんに 負けるな
♪ こい こいこい こいこいこい
♪ みんなでて こいこいこい
3
♪ しょ しょ しょうじょうじ
♪ しょうじょうじの はぎは
♪ つ つ 月夜に 花ざかり
♪ おいらも うかれて
♪ ポンポコポンの ポン
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