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11月24日の日本の昔話
打たぬのに、鳴るたいこ
毋使打自家會響个大鼓
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、あるお寺に、新しい小僧さんが来ました。
頭擺頭擺,某某廟寺,新來一個細沙彌。
和尚(おしょう)さんは、小僧さんがどれくらい役に立つかたしかめようと、わざとむずかしい事を言いつけました。
和尚師父想愛了解細沙彌會做麼个,挑挑交代當難事頭。
「小僧よ、打たぬたいこに、鳴るたいこ。手ふり足ふり、しかめ顔をする物を持ってきなさい」
「細沙彌啊,毋使打自家會響个大鼓,手攘腳蹬,額結結个東西,拿過來。」
「へえ、そんな物があるのですか?」
「唉,敢該種東西?」
「この世に、ない物はない。もし持って来られないのなら、お前の負けじゃ。『まいりました、まいりました』と、十ぺん言って、毎日三度のご飯を二度にがまんしなさい」
「這隻世上麼个都有,若係拿毋出來你就輸了、『輸了、輸了』唸十到,一日三餐變二餐。」
「・・・わかりました。何とか持ってきましょう」
「・・・了解了,總愛想辦法尋著來。」
小僧さんは一人になると、腕を組んでジッと考えました。
細沙彌一儕人个時節,雙手交等斟酌思考。
「『打たぬたいこに、鳴るたいこ。手ふり足ふり、しかめ顔をする物』か、そんな物が本当にあるのだろうか?でも何とかしないと、ご飯をへらされるし。・・・そうだ」
「『毋使打自家會響个大鼓,手攘腳蹬,額結結个東西』係無?敢正經有這種東西?毋過,若係麼个都無做連飯都無好食・・・係哪。」
小僧さんはニッコリ笑うと、小さな袋を持ってお寺の裏の森へ出かけました。
細沙彌笑咪咪,拿等細袋仔行去廟該樹林肚。
そして森から帰って来ると、今度はお金を持って町へ行き、たいこを一つ買ってきました。
過後,對樹林倒轉來,這下拿等錢去街路,買一隻大鼓。
そしてたいこに細工をすると、和尚さんの部屋へ行きました。
經過加工後拿落和尚師父个間房。
「和尚さま、お言いつけの物を持って来ました」
「和尚師父,你交代个東西拿來了。」
「ほう、どれどれ」
「hou,哪位,哪位。」
和尚さんは、小僧さんが差し出したたいこを見てびっくりしました。
和尚師父看著細沙彌交分佢个大鼓嗄嚇著。
誰もたたかないのに、『ブルン、ブルン』と、ひとりでに鳴っています。
雖然無人打,自家會『burun、burun』響。
「これは一体、どういう事だ?」
「這仰會恁樣形?」
和尚さんは、たいこのふちから中をのぞこうとしました。
和尚師父想愛在鼓脣看內肚。
するとハチが飛び出してきて、和尚さんの鼻の頭をちくりとさしたのです。
過後,蜂仔飛出來,叼著和尚師父个鼻空。
「うぎゃー、いたい、いたいっ!」
「阿姆哀、痛、還痛!」
思わずしかめ顔をした和尚さんは、手や足をふりあげてハチを追い払いました。
額結結个和尚師父,手攘腳蹬去追蜂仔。
それを見て、小僧さんが和尚さんに言いました。
看著該个細沙彌摎和尚師父講︰
「そらね、和尚さまがおっしゃったように、『打たぬのに、鳴るたいこ。手ふり足ふり、しかめ顔をする物』でしょう」
「該啊,斯像和尚師父講个『毋使打自家會響个大鼓,手攘腳蹬,額結結个東西』恁樣係無。」
「・・・たっ、たしかに」
「・・・確、確實係恁樣。」
見事にやられた和尚さんは、二度と小僧さんをためすような事はしなかったそうです。
分人搣耍著个和尚師父,聽講毋敢再過試細沙彌。
おしまい
煞咧
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