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12月11日の日本の昔話
ウサギと太郎
兔仔摎太郎
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 「ちょこもち」 ちょこもち
むかしむかし、ささ山とよばれる山に、おじいさんと孫の太郎が住んでいました。
頭擺頭擺,一個老阿公摎厥孫仔太郎戴在笹山山頂。
このささ山には、尻尾が長くて大きなウサギがいます。
這山頂有一條兔仔,尾生著又長又大。
ある日、山へ出かけるおじいさんが太郎に言いました。
有一日,愛去山頂个老阿公摎太郎講︰
「夕方には帰ってくる来るから、おかゆをつくって待っててくれ」
「因為到臨暗仔正會轉到屋,糜先煮好來。」
「うん、わかった」
「m11,了解。」
太郎はおじいさんを見送ると、おかゆを作るなべを洗い始めました。
太郎送老阿公出門後,開始摎煮糜个鑊仔洗淨。
するとその音に気づいたウサギが、
過後,注意著這聲音个兔仔,
「おや?なべを洗っているのか。という事は、今から飯を作るんだな。よしよし、飯が出来上がるまで、ひと眠りだ」
「唉哦?洗鑊仔係啊?恁樣,這下愛煮飯了哪,好,好,飯煮好以前來睡下目。」
と、横になって昼寝をはじめました。
講煞,橫下去開始睡當晝。
さて、夕方になるとおかゆも出来あがり、いいにおいがしてきました。
到臨暗仔,糜煮好了,香噴噴。
ウサギは飛び送ると、太郎の家へ行って言いました。
兔仔走到太郎屋下,講︰
「太郎、何をしているんだ?」
「太郎、你在該做麼个?」
「ああ、おかゆをつくっているんだよ」
「啊,煮糜啦。」
「おかゆ? うまいんか、そのおかゆってのは?」
「糜?該糜好食無?」
「そりゃあ、うまいよ」
「該啊,當好食哦!」
「なら、ちょっと食わせてくれや」
「係恁樣,分𠊎食一息。」
「だめだめ、そんな事をしたら、じいさまに怒られる」
「做毋得,做毋得,若係分你食,會分阿公罵。」
「なあ、ちょびっとだ、ほんのちょびっとだけだ。おら、おかゆってのを食ってみてえよ」
「噯,一滴滴,一滴滴就好,𠊎,斯愛試食看。」
ウサギがあんまりしつこいので、太郎はしかたなくなべをウサギに渡しました。
兔仔硬硬愛,太郎無法度,摎鑊仔拿分兔仔。
「じゃあ、ほんのちょびっとだぞ」
「好啦,該一滴仔就好哦。」
するとウサギは、うれしそうにおかゆを食べ始め、
過後,兔仔像當歡喜樣開始食糜。
「あち、あち、あちいがうまい、いやあ、うまい! じつにうまい! ほんとうにうまい! ああ、うまかった。じゃあ、さいなら」
「該,該,該好食,毋著,當好食!實在好食!正經好食!啊,還會煮哦,好,正來尞。」
と、ウサギはなべを返すと、あっという間に山へ帰ってしまいました。
兔仔摎鑊仔還佢後,一下仔就瀉轉山頂去了。
太郎がなべの中を見ると、なんと空っぽです。
太郎看一下鑊肚,仰會空空。
こうしてウサギは太郎をだまして、おかゆをみんな食べてしまいました。
兔仔恁樣騙太郎,摎糜食淨淨。
おじいさんが山から帰って来ると、太郎はなべをかかえてションボリしています。
老阿公對山頂轉來時節,太郎兜等鑊仔無氣無脈。
「太郎、おめえ、なべをかかえて何をしてるだ?」
「太郎,你兜等鑊仔做麼个?」
「あっ、じいさま。実は、ウサギにおかゆを全部食われちまっただ」
「啊,阿公,實在係兔仔摎歸鑊糜食淨淨。」
「なんと・・・」
「仰會・・・」
これには、おじいさんもガッカリです。
對這,老阿公乜當失望。
翌朝、おじいさんは山へ出かける前に、太郎に言いました。
第二朝晨,老阿公愛去山頂前摎太郎講︰
「太郎、今日はウサギに、おかゆを食われるでねえぞ」
「太郎,今晡日糜毋好又分兔仔食忒哦。」
「うん、大丈夫だ」
「m11,無問題。」
太郎ははりきって、おかゆを作りはじめました。
太郎盡有精神去煮糜。
そしてタ方になると、またウサギがやって来ました。
到臨暗仔,兔仔又來了。
「あっ、お前の昨日の!やい、お前に食わすおかゆはないぞ!とっとと帰れ!」
「啊,昨晡日該條兔仔!噯,無糜好分你食!煞煞轉去!」
するとウサギは、まじめな顔をして言いました。
兔仔盡嚴肅个講︰
「太郎!そんな事を言ってる場合じゃないぞ!お前のじいさまが、山で倒れたんだ!」
「太郎!這下毋係講這事情个時節!若公在山頂跢著。」
「えっ!本当か!?そりゃあ大変だ!」
「e24!有影無?該壞蹄了!」
太郎はあわてて、山ヘ走って行きました。
太郎慌慌張張走去山頂。
するとその後ろ姿を見送りながら、ウサギはニンマリです。
兔仔一頭看等身後个樣仔,一頭笑咪咪。
「ウッヒヒヒヒ、うまくいったぞ」
「udhihihihi,成功了。」
「じいさま、待っていろよ!」
「阿公,等一下!」
太郎が山を登って行くと、ちょうどおじいさんが山からおりて来るところでした。
太郎蹶上山時節,堵堵堵著阿公下山。
「これ太郎。そんなにあわてて、どこへ行くんじゃ?」
「太郎,緊觸觸愛去哪?」
元気なおじいさんを見た太郎は、自分がだまされた事に気づきました。
太郎看著精神當好个阿公,正知自家分兔仔落著。
「しまった!」
「還無結煞!」
おじいさんと太郎が大急ぎで家に戻ってみると、おかゆのなべが空っぽになっていました。
老阿公摎太郎緊觸觸趕轉屋下一看,鑊仔裡肚空空。
またウサギに晩ご飯をを食べられてしまった二人は、お腹が空いたままふとんにもぐり込みました。
夜又分兔仔食忒个兩子公,高不將肚屎空空鑽落被骨。
そしてまた次の日、太郎がおかゆをつくっていると、
過後,第二日,太郎煮糜時節,
「太郎さん」
「太郎先生。」
と、またウサギがやって来ました。
兔仔又來。
「また来たなっ!もうかんべんならねえ、ウサギ汁にしてやる!」
「又來了!實在無法度原諒佢,㓾來炆兔仔湯食!」
人の良い太郎も、さすがに怖い顔です。
連太郎恁好个人,面色都當難看。
するとウサギは、ペコペコと頭を下げて言いました。
過後,兔仔就頭頷尾鑿講︰
「まっ、待ってください。今日は、あやまりに来たんです。本当に、すまん事です」
「等,請等一下,今晡日,來同你會失禮,實在失禮。」
そんなウサギを見て、やさしい太郎はウサギを許してやりました。
看著兔仔恁樣形,好心个太郎斯原諒兔仔了。
「よし、許してやるから、とっとと山へ帰れ」
「好,原諒你了,好煞煞轉去了!」
「いや、それではおらの気がすまねえ。じいさまに、これをやってくれ。これは不老長寿(ふろうちょうじゅ)の薬じゃ」
「無呢,𠊎過意毋得,為著老阿公,特別做這分佢,這係長生不老藥。」
ウサギはそう言うと、竹の水筒を太郎に渡しました
兔仔講煞就摎竹水筒交分太郎。
「ふろうちょうじゅって?」
「長生不老藥?」
首をかしげる太郎に、ウサギは言いました。
兔仔對頭側側盡疑狐个太郎講︰
「お前、じいさまに長生きしてほしいだろ。これは、長生きの薬なんじゃ」
「你希望阿公長生不老係無,這就係長生不老藥。」
「本当か?」
「正經?」
「もちろんだ。でもこの薬は、すぐになべで煮ないとだめなんだ」
「還使講,這藥仔無黏時用鑊仔煮做毋得。」
「なべ?お前、うまい事を言って、またおかゆを食うつもりじゃろ?!」
「鑊仔?你講著恁好聽,又想食糜係無?」
「何を言っているんだ。太郎、お前はじいさまに長生きしてほしくねえのか?」
「講麼个?太郎,你毋想阿公長生不老系無?」
「そりゃあ、長生きしてほしいが」
「好啊,食長命兜。」
「そうだろう。さあ、おらがなべを空っぽにしてやるから、早くその薬を煮込むんだ」
「會敢,煞兜摎鑊仔洗淨,早兜煎藥仔。」
そう言うとウサギは、またまたおかゆをたいらげてしまいました。
雖然恁樣講,兔仔還係摎糜食淨淨。
やがておじいさんが山から帰って来ると、太郎はうれしそうに不老長寿の薬の事を話して、さっそくなべで煮た薬をおじいさんに差し出しました。
無幾久,老阿公對山頂轉來,太郎歡頭喜面摎佢講長壽藥个事情,鑊肚煮个藥仔煞煞拿分老阿公。
「さあ、じいさま。これ飲んで長生きしてくれ」
「阿公,食這藥仔會長生不老。」
「ああ、だが、変な色合いじゃのう。それに、においも少々」
「啊,毋過這藥仔个色當奇怪,另外味乜多少.」
おじいさんは首をかしげながら、一口飲んでみました。
老阿公有息疑狐,還係一口食落去。
そして目を白黒させると、おじいさんは飲み込んだ物をはき出しました。
過後,目珠貶白,食落去个東西嘔出來。
「うえ~っ! なんじゃ、こりゃあ!これは、ウサギのしょんべんでねえか!」
「阿姆哀!這係麼个啊!這毋係兔仔个尿乜!」
怒ったおじいさんは、太郎に言いました。
火著个老阿公摎太郎講︰
「太郎!まきを切るナタを持って来い!今からウサギを、ひどい目にあわせてやる!」
「太郎!刀嫲擎來!這下開始愛分兔仔好看!」
山では、おかゆをお腹いっぱい食べたウサギが、草むらで大きくなったお腹をさすっていました。
在山頂,食糜食到飽𩜰𩜰个兔仔,睡在草竇肚挲肚屎。
「ああ、今日も食った食った。さて、明日はどうやって太郎をだましてやろうか」
「啊,今晡日還係食恁飽,天光日愛仰般來騙太郎哪?」
するとそこへ、ナタを振り上げたおじいさんがやって来たのでビックリ。
過後,看著擎等刀嫲來个老阿公嗄嚇著。
「やばい、じいさまだ!」
「壞蹄了,係老阿公!」
ウサギは、あわてて逃げ出しました。
兔仔慌慌張張瀉出去。
「このウサギめ!よくもしょうべんを飲ませたな!ウサギ汁にしてやるからな!えいっ!とうっ!」
「這條夭壽兔仔!長透拿尿分𠊎食!㓾來煮湯食好哪!eid!tod!」
おじいさんはナタをふりまわしながらウサギを追いかけますが、ウサギは素早くピョンピョン飛んで、おじいさんをからかいました。
老阿公摎刀嫲拂來拂去,追兔仔,兔仔走到尾瀉屎,恥笑老阿公。
「やーい、じいさま、年じゃのう。くやしかったら、つかまえてみろ」
「ia~i,阿公,老了呵,毋甘願來捉𠊎啊。」
「このー!これでもくらえっ!」
「這隻ー!㓾分你死!」
おじいさんはウサギめがけて、ナタを投げつけました。
老阿公對準兔仔,刀嫲擲過去。
ウサギはピョンと飛びはねてナタをよけましたが、長い尻尾だけはよけそこなって、ナタでスパッと切れてしまいました。
兔仔跳起來閃開刀嫲,斯長長个尾無閃利,分佢剁著。
「・・・ああっ!いてっ!いてっー!」
「・・・阿姆哀!痛!恁痛!」
尻尾を切られたウサギはあまりの痛さに、何日も何日も山の中を泣きながら走りまわりました。
尾分人剁忒个兔仔因為當痛,在山頂叫了幾下日、幾下夜,舂上舂下,跳上跌落。
そのためにウサギの目は泣きすぎて赤くなり、足も走りすぎて前足と後ろ足の長さが違うようになってしまいました。
所以,兔仔个目珠叫過度嗄變紅紅,腳乜因為走昶久嗄變前腳短後腳長。
それからです、ウサギの尻尾が短く、目が赤くて後ろ足が長くなったのは。
自該擺以後,兔仔變屈尾、目珠紅紅、前腳短後腳長。
おしまい
煞咧
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