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12月27日の日本の昔話
イラスト 柴田伸子 サイト 昔話で販促!
三郎の初夢
三郎个新春第一隻夢
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
アニメ紙芝居版
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 「ちょこもち」 ちょこもち
むかしむかし、ある年のお正月の二日に、おやじさんが三人の息子にたずねました。
頭擺頭擺,某年念年初二,爺仔去問三個倈仔。
「お前たちは、どんな初夢を見たんだね?」
「你兜个新春第一隻夢,夢著麼个?」
上の二人は自分の初夢を話しましたが、末っ子の三郎だけは、なぜか初夢の事を話そうとしません。
較大个該兩個講出新春第一隻夢,斯滿子三郎,毋知為著麼个毋想講出來。
そこで怒ったおやじさんが、三郎を家から追い出してしまったのです。
所以,阿爸火著就摎三郎逐出屋下。
一文無しで食べる物にこまった三郎は、人の畑からやさいをぬすんで役人につかまり、お城のろう屋に入れられてしまいました。
無半銑錢食飯都有問題个三郎,去別人園肚偷菜分官差捉著,送去城肚坐管仔。
「ああ、とんでもない事になってしまったな」
「啊,還無結煞發生這種事情。」
そこへ、この国の心やさしいお姫さまが、かわいそうな三郎にご飯を運んでくれたのです。
這隻國个好心公主,送飯去分衰過个三郎食。
「あの、お腹が空いておられると聞きました。どうぞ、これをお食べくださいな」
「聽講你肚屎枵,這兜飯請你食哪!」
「あっ、はい。ありがとうございます」
「好,承蒙你!」
お姫さまは心やさしいだけでなく、とても美しい人です。
公主毋單淨好心,還特別靚。
三郎は思わず赤くなりながら、ふと思いました。
三郎無想著自家面嗄變紅,忽然間想著。
(もしかして、この姫さまが初夢の・・・)
(無定,這個公主就係新春第一隻夢个・・・)
それからしばらくしたある日の事、この国のとなりにある鬼の国の王が、こんな事を言ってきました。
過一站仔个某日,這國個隔壁个鬼國國王,講︰
「この国の姫の美しさは、三国一(さんごくいち→日本・中国・インドを合わせた中でも一番の事)と聞く。姫には、この鬼王の嫁になってもらおう!」
「這國公主个相貌聽講係三國(日本・中國・印度)一等靚。」
鬼の嫁になるなんて、とんでもありません。
嫁分鬼做餔娘係無可能个事。
お姫さまは今にも泣き出しそうになり、父親の殿さまは鬼の王の申し出をきっぱりと断りました。
公主這下乜在該愛噭愛噭樣,國主爺仔堅定回絕鬼王个要求。
すると、これに腹を立てた鬼の王が、
為著這火著个鬼王講︰
「ならば、これから出す三つの問題に、見事答えてみろ!もし答えられなければ、お前の国に攻め込み、姫も国もうばい取ってやる!」
と、言ってきたのです。
「該恁樣,這下問你三隻問題,回答看哪!若係答毋出來,𠊎會攻落你个國家,公主摎國家都會分𠊎搶來。」
まず、最初の問題です。
首先問第一個問題。
鬼の王は、はしからはしまで同じ太さの棒(ぼう)を送ってきて、
鬼王拿兩頭都平大个棍仔樣个箸。
《この棒のどちらのはしが根っこだったか、見分けろ》
と、いうのです。
講︰《這棍仔樣个箸,哪片係頭哪片係尾,分得出來!》
殿さまや家来たちがいくら棒を見ても、どっちが根っこだったかなんてわかりません。
國主抑係家臣仰般看都無法度分得出來哪片係頭哪片係尾。
そこで殿さまは、家来たちとこんな相談をしました。
所以,國主摎家臣參詳。
「このままでは、この国は鬼にせめほろぼされてしまう。くやしいが、万一の時は姫に嫁へ行ってもらうしか・・・」
「照恁樣,這隻國家會分鬼滅忒,盡遺憾,萬一个時節只好摎公主嫁分佢・・・」
「しかし、それでは姫さまが・・・」
「但係,該公主斯呢・・・」
この話を聞いて泣きながらご飯を運んできたお姫さまに、鬼の話しを聞いた三郎はにっこり笑って言いました。
三郎聽著鬼个話就笑咪咪,對聽著這話一頭噭一頭送飯个公主講︰
「姫さま、泣かなくても大丈夫です。
「公主,毋使噭,
木という物は、先よりも根っこの方が重いもの。
樹仔這東西,樹頭這片一定比樹尾較重。
棒のまん中を糸でしばってつるすと、重い根っこの方が下にさがります」
「用線摎棍仔中央䌈等,重个該頭會墜下去。」
この話しをお姫さまから聞いた殿さまは、三郎の教えてくれた方法で根っこだった方を調べて、そっちに印をつけて鬼の国へ送り返しました。
在公主該位聽著這這種話个國主,斯用三郎教个方法尋出頭來並做記號,送轉鬼仔國。
「ぬぬっ、人間にも、多少は知恵のあるやつがいるな」
「人類,還係有多少盡有智慧个人。」
鬼の王は苦い顔をすると、今度は同じ大きさ、同じ顔、同じ毛並みの白い馬を三頭送ってきました。
鬼王面臭臭,這擺愛拿平大、共面容、毛色共樣个三條白馬送過去分佢。
次の問題は、
第二隻問題係,
《これらの馬を、歳の順に見分けろ》
と、いうのです。
《這兜馬照年齡排出來。》
恁樣交代。
三頭の馬は見た目が全く同じなので、どれが年上でどれが年下か、さっぱりわかりません。
三條馬生著共樣共樣,看毋出哪條較老哪條嫩。
こまった殿さまは、三郎のろうやに行って言いました。
無結無煞个國主,行去牢房講︰
「三郎よ。先ほどの問題を見事にといた、お前の知恵を貸してくれないか」
「三郎啊,頭下个問題答著盡好,你个智慧過借𠊎好無?」
すると三郎は、にっこり笑ってこう答えたのです。
三郎笑咪咪恁樣回答︰
「殿さま。
「國主大人,
馬が食べる草を、刈り入れた年の順に三つ用意してください。
請你摎馬食个草,照割下來个年份順序,分做三堆。
今年の草を食べたのが一番若く、前の年の草を食べたのがその次で、前の前の年の草を食べたのが一番の年寄りです。
食今年割个草該條係最後生,食今舊年割个草該條係第二後生,食前年割个草該條係最老个馬。
ウマも人も、うまれて初めて食べた物の味が一番好きですからね」
「無論係人抑係馬,因為降出來時節最先食著个味道,係佢最好食个關係呢。」
そこで殿さまが刈り入れた年の違う草を用意すると、馬はそれぞれ違う年に刈り入れた草を食べたのです。
所以國主照割下來个年份順序準備好,馬就選割下來个年份食草。
三郎のおかげで、この問題も見事に正解です。
打幫三郎這問題又解決忒了。
答えを聞いた鬼の王は、またまたにがい顔をしました。
知著答案个鬼王又面臭臭。
「人間め、なかなかやるな。だが、次はとけまい」
「人類,還會哪,下會你正看。」
しばらくすると鬼の国から、大きな鉄の矢が飛んできました。
過無幾久,鬼國該片射一支鐵箭過來。
ひゅーーーん、ずとーん!!
hiu~,don!!
お城の庭に深々と突きささった鉄の矢を見ると、手紙が結びつけてあります。
看著鐵箭深深刺在城肚个花園,箭尾綯一張信仔。
その手紙には、こう書かれていました。
該張信仔恁樣寫,
《この鉄の矢を抜いて、鬼の国までかついでこい》
《摎這鐵箭挷起來,擎來鬼國。》
「よし、今度は何とかなるだろう」
「好,總會有辦法敢?」
殿さまの命令で、力じまんの家来たちがよってたかって鉄の矢を引き抜こうとしました。
在國主个命令下,有力个家臣做下去挷鐵箭。
しかし鉄の矢は地面深くに突きささっていて、家来が何人がかりでもびくともしません。
但係,鐵箭刺在地泥肚昶深,無論幾多儕家臣乜挷毋起來。
こまった殿さまは、また三郎のろうやに行きました。
無結無煞个國主,又行去三郎个牢房講︰
「三郎よ、またお前の知恵を貸してくれないか」
「三郎啊,你个智慧再過借𠊎好無?」
話を聞いた三郎は、にっこり笑って言いました。
聽著个三郎笑咪咪恁樣回答︰
「殿さま。
「國主大人,
引っぱって抜こうとするから、矢は抜けないのです。
硬硬想愛摎佢挷起來,箭係無法度挷起來。
考え方を変えて、まわりの土をほればよいのです」
改變一下想法,摎脣頭个泥改鬆來毋會較好。」
「そうか。なるほど」
「好,就恁樣。」
三郎の言う通りにまわりの土をほると、鉄の矢はかんたんに抜けました。
照三郎講个恁樣,摎脣頭个泥改鬆來後,輕輕鬆鬆就摎箭挷起來。
これに感心した殿さまは三郎の罪を許して自分の家来にすると、鉄の矢を鬼の国へ持って行く使いにしたのです。
非常佩服个國主斯赦免三郎个罪,收留佢做家臣,喊佢擎鐵箭還鬼仔國。
さて、見事に鉄の矢を持ってきた三郎を見て、鬼の王は感心して言いました。
看著當了不起擎等鐵箭个三郎,鬼王盡佩服講︰
「人間の中に、お前のような知恵のある者がいるとはおどろきだ」
「人類裡肚有像你恁有智慧个人,想毋著呢!」
鬼の王は、三郎の前にお酒のとっくりを置きました。
鬼王,在三郎面前放酒壺。
「これが、最後の問題だ。ここにある鬼王の酒は、なんの酒だ?」
「這係最尾隻問題,鬼王放在這位个酒係麼个酒。」
すると三郎が、にっこり笑って言いました。
三郎笑咪咪應講︰
「はい。普通なら『鬼の酒は、人の生き血をしぼる酒』と答えるでしょうが、あなたはそんな悪い鬼には見えません。きっと、普通の酒でしょう」
「係,普通會應講『鬼酒係、生生人尖出个血做个酒』,毋過,你無係恁壞个鬼,絕對係普通个酒。」
「がははははは。見事だ」
「gahahahahaha,講著還好。」
鬼の王は、自分のお酒を三郎に渡して言いました。
鬼王摎自家个酒交分三郎,講︰
「約束通り、姫の事はあきらめよう。その酒はほうびだ、持って帰るが良い。一口飲めば、百日寿命が延びる名酒だ」
「照約定,公主个事情就算了,該酒準獎賞,你做得帶轉去,若係一口啉落去,做得加食百日。」
やがて三郎が鬼の国から無事に帰ってくると、殿さまは大喜びで言いました。
過一站仔,三郎對鬼國轉來後,國主盡歡喜講︰
「三郎よ、よくやった。
「三郎啊,做著當好,
お前のおかげで、この国も姫も救われた。
打幫你,正救著國家摎公主,
お前には、知恵も勇気もある。
你有智慧又有勇氣,
どうだろう、姫のむこになってはくれないか」
仰般,做公主个駙馬好無?」
「はい!喜んで、お受けいたします!」
「好!歡喜接受!」
こうして三郎とお姫さまは、めでたく結婚したのです。
斯恁樣,三郎摎公主歡歡喜喜結婚了。
一文無しから大出世をした三郎は、自分の家族をお城に呼びよせると、おやじさんに初夢の事を話しました。
由膴身無半銑變到飛黃騰達个三郎,摎屋下人請到城肚戴,摎自家个新春第一隻夢講分厥爸聽。
「おやじさま。わたしの見た初夢とは鬼の難問を次々とといて、姫さまのむこになる事だったのです」
「父親大人,𠊎在新春第一隻夢夢著个係鬼出問題,一隻一隻解決後,做公主个駙馬。」
よい初夢は、人に話してはいけないと言われています。
聽講,一隻美好个新春第一隻夢不應該摎別人講。
三郎はその通りにして、こんなにすばらしい幸せをつかんだのです。
三郎照恁樣做,捉核難得个幸福。
註: 初夢とは新年に見る夢で、その年の運を占う事です。
註: 『初夢』係新春第一隻夢,算出一年个運勢。
初夢を見る日は地方によって違い、一般的には1月2日の夜から1月3日の朝に見る夢ですが、1月1日の夜から1月2日の朝に見る夢を初夢と言うところもあります。
發『新春第一隻夢』个日期各地無共樣,一般係正月初二暗晡到正月初三朝晨發个夢。
初夢で見ると縁起の良い物として、『一富士(いちふじ)、二鷹(にたか)、三茄子(さんなすび) 』があり、一番に富士山の夢、二番目に鷹の出てくる夢、三番目になすびが出てくる夢を見ると縁起がよいとされています。
發『新春第一隻夢』个人,若係夢著吉祥物『一富士、二鷹、三茄仔) 』,夢著富士山个夢係第一好个夢,夢著鷹个夢係第二好个夢,夢著茄子个夢係第三好个夢。
これには色々な説がありますが、徳川家康の好きな物が、一番目に富士山、二番目に鷹狩り、三番目に初物のなすであった事から生まれた言葉だと言われています。
這有各種傳說,係由徳川家康較愛个東西係第一富士山、第二獵鷹、第三茄仔所衍生出來个。
おしまい
煞咧
三郎が鬼退治をするフルバージョン → 三郎の初夢
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