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5月29日の百物語
(5月29日的日本鬼故事)
一つ目の住む屋敷

一つ目の住む屋敷
獨眼屋

日本語 ・日本語&中国語

むかしむかし、江戸の町に陸野見道(おかのけんどう)という、有名なお医者さんがいました。
到好久以前江戶街上、陸野見道一個名醫。

ある日の事、見道の所にお金持ちの屋敷から使いが来ました。
有天、老爺屋一個下人就來喊醫生了。

「家の奥さまの具合が悪いので、診てもらいたいのですが」
女主人人不好了、要醫生去診。

「わかりました。後で必ず行きますから、家で待っていて下さい」
我曉得了、馬上就去、先到屋裡等到。

見道はそう言いましたが、予約の病人の家を回っているうちに、すっかり夕方になってしまいました。
見道醫生港是這麼港、真輪到他屋時已經黃昏了。

「いやあ、すっかり遅くなって申し訳ない。ではさっそく、病人のところへ案内してもらいましょうか」
也是客套一哈港自己來遲了、喊快幫自己往病人哪裡帶。

すると、女中らしい女の人が言いました。
來個像是下人的傳話。

「すみません。
ただいま、奥さまはお休み中です。
旦那さまは、急用でお出かけになりました。
先生がお見えになったら、しばらくお待ちくださる様にとの事です」
場面話開頭
港夫人到休息
主人有急事出去了
這只能喊醫生先等了。


女中さんは見道を座敷へ連れて行くと、すぐに出て行きました。
幫人帶到客廳、就馬上出去了。

「ほう。古い屋敷の様だが、なかなか立派なものだ。あの欄間(らんま)が、特に素晴らしい」
醫生就看這屋子、雖然老不過氣派、特別那條上窗、醫生覺得好。

見道が立派な部屋の造りに見とれていると、すーっとふすまが開いて、十歳くらいの男の子がお茶を運んで来ました。
醫生就看啊看、門一開、來個小童端茶過來了。

「いらっしゃいませ。お待たせして、申し訳ありません」
進來就是港客套話。

子どもとは思えないほど丁寧なあいさつに、見道はすっかり感心して声をかけました。
醫生看這麼個小兒就好懂規矩也是佩服這屋人。

「坊や。名は何というのだ?」
你喊甚麼名字啊

「申し上げるほどの者ではございません」
就港自己名字不值得港出口。

男の子は恥ずかしそうにうつむくと、そのまま立ちあがり、入り口の所でもう一度振り返りました。
走之前又是整一套繁瑣的禮節、最後到門口回了一哈頭。

そのとたん、
突然這個時候

「うぎゃ!」
啊啊!

と、見道は、思わず小さな悲鳴をあげました。
醫生不曉得叫甚麼

なんと男の子の顔が三尺(さんじゃく→約90センチ)くらいに伸びて、おでこにおわんの様に大きな目玉が一つだけあったのです。
是男兒臉一哈變了、臉一哈變成麻將款式、三尺的麻將、額頭哪裡還有個碗那麼大的眼睛。(秋の雨が降れば猫の顔が三尺になる、秋天下雨暖和、貓怕冷就好高興)

「ひっ、一つ目・・・」
單、單眼

見道が驚いていると、男の子は一つ目でにやっと笑い、ふすまを閉めて出て行きました。
醫生慌神了、男兒單眼陰笑到哪裡的、門一拉。

「・・・・・・」
見道は、しばらく呆然としていましたが、やがて頭を振ると、
醫生先是奒(呆然)了一陣、這就又正常了。

(このところ、仕事が忙しかったからな。おそらく、疲れているのだろう)
以為自己是事太多、自己累了。

と、思う事にしました。
這麼想。

さて、しばらくするとふすまが開いて、この家の主人が顔を出しました。
門又被拉開了、這次是主人。

「すみません、すっかりお待たせしました。・・・おや? 先生、どうなさいました? 顔色が、まっ青ですが」
開口先是場面話、久等了甚麼的、再就問醫生臉色怎麼好難看、慘白慘白的。

「いや、その。お恥ずかしい話ですが、実はその・・・」
醫生還老實港了。

見道は、さっきの出来事を主人に話しました。
這就港剛剛小男兒。

すると主人が、申し訳なさそうに言いました。
主人也道歉。

「それは、先生のせいではありません。あれは、まったくおかしな小僧でして、知らない人が来ると、ふいと出て来ておどかすのですよ」
不是你看錯啦、那小男兒是有問題、只要屋裡來陌生人、就這麼出來駭你。

「えっ? ここで働いている小僧さんではないのですか?」
這樣子啊、他不是屋子裡面人?

「まさか。時々遊びに来る程度ですよ」
不是的、就時不時來玩一哈。

「・・・?」
それを聞いて見道は、いよいよ気味が悪くなってきました。
醫生這就開始覺得不對勁了。

でも、主人は平気らしく、
主人還是好平常

「それで今日は、どんな顔をしていましたか?」
と、尋ねました。
就問今天小兒臉變甚麼了。

「はい。ですから、今も話した通り、顔の長さが・・・」
就我剛剛港過的、臉一哈變得好…好好好

見道が説明を始めると、主人はふいに立ち上がり、
主人看醫生開始描述就一哈站起來了。

「それは、こんな顔と違いますか?」
是不是就這樣子啊?

と、言って振り返りました。
就回他

見ると主人の顔も、三尺に伸びた一つ目だったのです。
這主人臉也拉成一個長方形了、一顆眼睛。

「うひゃーーっ!」
啊啊啊!

びっくりした見道は、はうようにして部屋を出ると、急いで玄関に走りました。
醫生這就馬上爬起來跑、就快到大門口了。

「おい、早く逃げるんだ!」
快跑

待たせてあったお供の者をせかせて、見道はあわてて外へと飛び出しました。
幸好這外面還有一個陪醫生來的隨從、就催他快點跑。

「先生、どうなさったのです?」
裡面搞甚麼了啊?

「どうもこうもあるか。あそこは、化け物屋敷だ! ・・・あいて!」
這是條鬼屋、裡面一屋都是鬼。

「暗闇で走っては、危ないですよ。今、明かりをつけますから」
這晚上莫跑、我先點燈。

お供の者が立ち止まって、持っていたちょうちんに明かりをつけました。
隨行的就點燈

「ああ、すまない。・・・!」
抱歉、是我太急了。

見道がお供の者の顔を見てみると、お供の顔も三尺に伸びた一つ目だったのです。
這就一看隨從臉、方的、單眼。

「うぎゃーーー!」
啊啊啊!

見道は叫び声を上げると、その場で気を失ってしまいました。
醫生一嚎、趴到地上去了。

見道の家では、いつまでたっても主人が戻らないので、弟子たちがお金持ちの屋敷へ迎えに行きました。
醫生一直覓(沒)歸屋、徒弟就往老爺屋子去接師傅啦。

ところがそこにあるのは荒れ果てたボロ屋敷で、とても人が住める物ではありません。
到地方就是條爛棚棚
根本住不得人。


「おい、確かここのはずだよな?」
是這裡啊?

「ああ、だがこれは・・・」
這甚麼鬼

弟子たちは頭をかしげながら、近所の家にたずねました。
徒弟們摸不清場(狀況)、就到旁邊住的人問。

すると近所の家の人は、
旁邊這些。

「あの屋敷がお医者さんを迎えに行くなんて、何かの間違いですよ。ご覧の通りあの屋敷は何年も荒れ放題で、今ではタヌキのすみかになっているくらいですから」
那屋怎麼可能喊醫生、都擺哪裡爛好多年了、裡面全窩一些狸子。

と、言うのです。
這麼港

「では先生は、どこに行かれたのだろう?」
那師傅去哪裡了啊

弟子たちは手分けをして、見道を探し回りました。
就分頭邏人。

すると屋敷から遠く離れた竹やぶのそばで、倒れている見道を見つけました。
這就旁邊一個竹林裡頭、醫生倒地上了。

「先生、大丈夫ですか!」
「先生!」
這就抱起來喊啊搖啊
好悽慘


弟子たちの介抱の末、見道はようやく息を吹き返しましたが、よほど怖かったのか、それから一ヶ月ほども寝込んでいたそうです。
這麼多人前前後後、人終於是醒了、但估計是驚訝過度、到床上癱了一個多月才緩過神。

おしまい
结束

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