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ろくろっ首 
東京都の民話 → 東京都情報 
       
      にほんご(日语)  ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文 
       
      ※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先 
      
       
      投稿者 「櫻井園子」  櫻井園子エス代表 《櫻井園子キャンドルWEB販売》 
       
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      投稿者 : MEALabo 「MEALabo」 
      
      
       むかしむかし、江戸(えど→東京都)の堺町(さかいまち)には、いくつもの芝居小屋(しばいごや)が並んでいて、たいそうな賑わいでした。 
         
 ある日の事、きれいな娘が一人で、 
 ♪チリン、チリン 
と、ゲタの鈴(すず)を鳴らして、芝居小屋の前の人混みを歩いていました。 
 よほど芝居好きなのか、一枚、一枚、どの小屋の絵看板(えかんばん)も、食い入る様に見ながら歩いていきます。 
 そして気に入った役者の絵があると、その前にピタリと止まり、首がスルスルと伸びていったのです。 
 娘は夢中のあまり、自分の首が伸びている事には気がつきません。 
 ところが、通りがかりの人はビックリ。 
 みんな足を止めて、首の伸びた娘を見ています。 
 娘は次々と絵看板を見て行って、中村座(なかむらざ)の前まで来るとピタリと足を止めました。 
 出し物は、忠臣蔵(ちゅうしんぐら)です。 
「力弥(りきや)もきれいじゃが、勘平(かんべい)の良い事。それに、こっちの五段目の定九郎(さだくろう)も、ほれぼれとする男ぶり」 
 娘の首が絵の中の中村仲蔵(なかむらなかぞう)の定九郎(さだくろう)のところまで、吸い寄せられる様に伸びていきました。 
「おい、見ろ! また伸びたぞ!」 
「娘のろくろっ首だ!」 
 まわりは大騒ぎですが、娘は全く気がつきません。 
 そして娘は何事もなかったかの様に、 
 ♪チリン、チリン 
と、ゲタの鈴を鳴らして、日本橋の方へ歩いて行ったという事です。 
      おしまい 
         
       
        
 
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