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9月9日の百物語

旅人ウマ

旅人ウマ

♪音声配信(html5)
朗読者 ; ☆横島小次郎☆

 むかしむかし、二人の仲の良い幼なじみの若者が、一緒に旅をしていました。
 一人は金持ちの家の息子で、もう一人は貧乏な家の息子です。

 ある日の事、二人が山道を歩いている途中で、日が暮れてしまいました。
「困ったな。どこか、泊まるところを探さないと」
「そうだな。しかし、こんな山の中では、・・・おや?」
 ふと前を見ると、こんな山の中だと言うのに、一軒の家があります。
「おおっ、こいつは助かった」
 二人が家の戸を叩いて一晩泊めて欲しいと頼むと、中から出て来たおばあさんがにっこり笑って言いました。
「山の中で何もないが、ゆっくりと休んでいきなさい」

 その夜、金持ち息子はすぐに寝てしまいましたが、貧乏息子はなかなか眠れません。
 隣の部屋は、まだ明かりがついています。
(ばあさまも、まだ起きているのか。少し、話し相手になってもらおうか)
 貧乏息子はそう思い、そっと隣の部屋をのぞいてみました。
 すると、おばあさんが火の気のないいろりにかがみ込んで、一生懸命に灰をかきならしています。
 そのかっこうが、田を耕しているのに似ているので、
(おかしな事をしているな)
と、しばらく見ている事にしました。

 やがておばあさんは、ふところから袋を取り出して、タネの様な物を灰の上にばらまきました。
 するとタネからみるみるうちに芽が出てきて、苗(なえ)が生えそろいました。
 おばあさんがその苗に水をかけると苗はどんどん生長して黄色くなり、たわわな稲になりました。
 そしてそれを刈り取って実を落とし、手に取って三回ギュウギュウギュウと握ると、まっ白なお餅が出来上がったのです。
(何とも、不思議な事があるものだ)
  貧乏息子が感心していると、突然に泥沼へ引きずり込まれる様な眠気が襲ってきて、そのままふとんにのめり込む様に眠ってしまいました。

 やがて夜が明けて、貧乏息子は目を覚ましました。
(昨夜のあれは、夢だったのだろうか?)
  そう考えていると、隣の部屋からおばあさんが声をかけました。
「熱いお茶を入れましたで、どうぞ起きてください」
 隣の部屋へ行くと、すでに金持ち息子がいろりばたに腰をおろして、おばあさんとお茶を飲んでいます。
 そのそばには、昨夜のお餅がありました。
 貧乏息子は、あわてて金持ち息子の横に座ると、
「それは、怪しい餅じゃ。食わんほうがええ」
と、小声で言いましたが、金持ち息子は餅をつかんで、
「何を言う。うまそうな餅じゃないか」
と、パクリと食べてしまいました。
 するとそのとたん、金持ち息子の体がガクンと前に倒れて、
「ヒヒヒーン!」
と、あっという間にウマになってしまったのです。
「やはり、夢ではなかった!」
 貧乏息子は一目散に、おばあさんの家から逃げ出しました。

 逃げた貧乏息子は、無事に自分の村へと帰って来ました。
 あのおばあさんが、追って来る様子もありません。
「何とか、助かったが」
 しかしこのまま、仲の良い友だちをほうっておくわけにはいきません。
「あいつを助けないと!」
 そこで貧乏息子はあちこちを駆けずり回って、医者やお坊さんや占い師などに友だちを助ける方法を聞いて回りましたが、みんな首をかしげるばかりです。
「どうすればいいんじゃ」
 途方にくれた貧乏息子が道ばたの石に腰をおろしていると、まるで仙人の様な真っ白いひげのおじいさんが通りかかりました。
 貧乏息子は最後の頼みと思って、そのおじいさんに頼みました。
「物知りなお方と思い、お尋ねいたします。どうか、ウマにされた友だちを助ける方法を教えてください」
 すると、おじいさんは、
「ここから東に行くと、ナスの畑がある。そこで一本の木に七つ実がなっているのを探して、友だちに食べさせなさい」
と、教えてくれたのです。
「ありがとうございます!」
 貧乏息子はおじいさんに礼を言うと、東に向かって走りました。
 すると、おじいさんの言った通りに、ナス畑があります。
 貧乏息子は大喜びで一本の木に実が七つなっているのを探しましたが、一本の木に五つなっているのしか見つかりません。
「この畑ではないのか?」
 そこで貧乏息子が、さらに東へ行ってみると、またナス畑がありました。
 しかしそこには一本の木に実が六つのはありますが、七つのはありません。
 仕方なくさらに東へ東へと行くと、またナス畑がありました。
 そこでようやく、一本の木に実が七つなっているナスを見つけたのです。
「これで、あいつを助けられる」
 貧乏息子は七つのナスをふところに入れると、あのおばあさんの家へ行きました。

 おばあさんの家へ着くと、友だちのウマはちょうど野良仕事から帰って来たばかりで、さんざんにぶたれたのか、背中やお尻から血がにじんでいます。
「大して働かんウマじゃ。夜には殺して、食ってくれるわ」
 おばあさんは友だちのウマを馬小屋につなぐと、家の中に入っていきました。
(よし、今だ)
 貧乏息子はウマに近づくと、七つのナスを取り出して言いました。
「これを食え。食えば、人間に戻れるぞ」
 ウマはサクサクと四つのナスを食べましたが、あとは頭を振って食べようとしません。
「何をしておる。みんな食わんと、人間に戻れんのだぞ」
 貧乏息子は、残りのナスを無理やりウマの口に押し込んで食べさせました。
 すると七つ目を食べ終えたとたん、ウマは大きくいなないて立ち上がると、元の金持ち息子の姿に戻ったのです。
 人間に戻った金持ち息子は、涙を流しながら言いました。
「ありがとう。あのままウマでいたら、殺されるところだった」
「喜ぶのは後だ。早く逃げないと、あのばあさまがやって来るぞ」
 二人の息子は手を取り合って逃げ出し、何とか自分たちの村へと帰って行きました。

 その後、助けられた金持ち息子は自分の財産を貧乏息子に分けてやると、いつまでも仲良く暮らしたという事です。

おしまい

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