福娘童話集 > きょうの百物語 福娘童話集 きょうの百物語 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
 


福娘童話集 > きょうの百物語 > 11月の百物語 > 羅生門の鬼

11月3日の百物語

羅生門の鬼

羅生門の鬼
京都府の民話 → 京都府の情報

おりがみをつくろう ( おりがみくらぶ より)
赤鬼・青鬼の折り紙あかおに・あおおに

♪音声配信(html5)
朗読者 ; ☆横島小次郎☆

 今から千年以上もむかし、京の都には酒呑童子(しゅてんどうじ)という、恐ろしい鬼の親分がいました。
 酒呑童子は大江山(おおえやま)を隠れ家にして、都へ現れては仲間たちと悪い事を重ねた鬼でしたが、源頼光(みなもとのよりみつ)の家来の渡辺綱(わたなべのつな)、卜部季武(うらべのすえたけ)、碓井貞光(うすいさだみつ)、坂田金時(さかたのきんとき)の四人が山伏(やまぶし)に姿を変えて、酒呑童子を見事にせいばつしたのです。

 酒呑童子をせいばつして都に平和を取り戻した四人は、ある夜に集まってお酒を飲んでいました。
 最初はたわいもない世間話をしていましたが、やがて四人の話は羅生門(らしょうもん)というところに夜な夜な現れる化け物の話になり、リーダー格の貞光(さだみつ)がみんなに尋ねました。
「羅生門に住む化け物は鬼だと言われておるが、おのおの方はどう思われる?」
「鬼か、それはありうる事じゃ」
「うむ。おるかもしれんのう」
 季武(すえたけ)と金時(きんとき)が言うと、一番年の若い渡辺綱(わたなべのつな)が、むきになって反対しました。
「鬼とは、信じられません。鬼は大江山で、我々が全部退治したではありませんか」
「確かにな。しかし、取り残しがあったかもしれんぞ」
「いいえ。鬼どもは、確かに全部退治したはず」
「まあまあ、そうむきになるな」
「それならいっそ、羅生門に行って確かめてはどうだ?」
「わかりました。では、わたしが確かめに行きます」
 こうして渡辺綱が羅生門に行く事になり、仲間の三人は渡辺綱に言いました。
「いいか。本当に羅生門へ行った事がわかる様に、高札(こうさつ)を立ててこいよ」

 外に出ると、いつの間にか生暖かい雨が降っていました。
 馬に乗って羅生門にやってきた綱は、楼門(ろうもん→二階造りの門)を見上げて辺りを見回しました。
 しーんと静まり返り、何かがひそんでいる様な気配はありません。
「ふん、鬼どころか、人一人おらんじゃないか」
 綱は鼻先で笑うと、約束の高札を羅生門の門前に打ち立てました。
《渡辺綱。約束によりて羅生門、門前に参上す》
 そして綱が帰ろうとした時、暗い柱のかげから一人の若い娘が現れました。
(いつの間に? それにしても、こんな夜ふけに娘が一人でどこへ行くのだろう?)
 不思議に思った綱が声を掛けると、娘が答えました。
「わたしはこれから、五条の父のところへ戻らねばなりませぬ。でも、雨が降って道がぬかるみ、困っていたのでございます」
「ほう、五条ならわたしの帰る方と同じじゃ。それなら、一緒に馬に乗っていかれるがよい」
 そう言って綱が娘に手を差し伸べた時、娘の姿が鬼に変わったかと思うと、ものすごい力で綱の首をしめつけてきました。
「ぐっ!」
 綱が刀に手を掛けると、鬼は首から手を離して空中高く舞い上がります。
「おのれ! きさまが羅生門の鬼であったか」
「アハハハハハッ、今さら分かっても、もう遅いわ!」
 空中の鬼が再び綱に襲い掛かりましたが、綱はその攻撃をかわすと、鬼の一瞬のすきをついて鬼の腕を切り落としました。
「えい!」
「ウギャァァァァッ!」
 腕を切り落とされた鬼は空中へ逃げると、綱をにらみつけて言いました。
「綱よ、その腕を七日間だけ、きさまにあずける! 腕は必ず、取り戻しに行くからな!」
 そして鬼は、空高く舞い上がって消えました。
「やはり鬼がいたのか」
 綱は切り落とした鬼の腕を拾うと、戻って仲間たちに見せました。
 その鬼の腕は、はがねの様に固く太い腕で、針を突き刺した様な毛が一面に生えています。
「一人で鬼の腕を切り落とすとは、大したものだ」
「全くだ。だが七日の間に鬼が腕を取り戻しに来るのだろう。大丈夫か?」
 心配する仲間の言葉に、綱は胸を張って言いました。
「大丈夫。鬼が腕を取りに来たら、返り討ちにしてくれるわ」

 その日から綱は、鬼の腕を頑丈な木箱に入れると家の警護をげんじゅうにしました。
 綱は鬼の腕からひと時も離れず、昼も夜も見守りました。
 そうして何事もなく、七日目をむかえました。
 その夜は月の美しい夜で、一人の老婆(ろうば)が綱の家をおとずれました。
 老婆が言うには自分は綱のおばにあたる者で、はるばる難波(なんば→大阪)から綱を訪ねて来たと言います。
 綱は家来に命じて老婆を追い返そうとしましたが、老婆は必死になって言います。
「綱に会いたい一心で、わざわざ難波から来たのじゃ、もう年で体も弱り、今夜が会える最後かも知れぬ身。どうかばばの願いを聞き届けてくだされ」
 そこで仕方なく、綱は老婆を屋敷に入れました。

 老婆は綱の顔を見ると、涙を流して喜びました。
「綱や、覚えておいでかい? お前のおばさんじゃよ。お前が子どもの頃、母親代わりに育てたおばさんじゃよ。ところで、この物々しい警護はどうしたのじゃ? 何か悪い事でもあったのか?」
 綱は、おばさんの事を思い出せませんでしたが、それでも問われるままに、羅生門の鬼の事を話しました。
 すると老婆はとても喜んで、綱に言いました。
「そうかいそうかい。たとえ育ての子とはいえ、その様な手柄を立ててくれたとはのう。おばさんは、うれしゅうてならんわ。ところで綱や。その鬼の腕とやらを、一目だけでも見せてはくれぬか?」
 さすがに綱も、それだけは断りました。
「明日ならまだしも、今夜は箱を開けるわけにはいきません」
「明日か。じゃがわたしは、今夜中にどうしても難波に帰らねばならん。それにたとえ鬼が来ても、強い綱がおれば大丈夫だろう?」
 こう言われて、さすがの綱も気がゆるみました。
(覚えてはおらぬが、子どもの頃に世話になった事だし)
 綱は箱を開くと、中から鬼の腕を取り出しました。
「これが、鬼の腕です」
「おおっ、なんともすごい腕じゃのう。・・・どれどれ、ちょっとさわらせておくれ」
 綱が老婆に鬼の腕を差し出したその時、老婆のやさしそうな顔が恐ろしい羅生門の鬼の顔になりました。
「ギャハハハハハッ。綱よ、七日目の夜、この腕をしかともらったぞっ!」
「おのれっ、はかったな!」
 綱が刀を抜くもの間に合わず、鬼は自分の腕をつかんだまま空中高く舞い上がり、雲の中へと消えてしまいました。

おしまい

前のページへ戻る


     11月 3日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
みかんの日
きょうの誕生花
菊(きく)
きょうの誕生日・出来事
1997年 北村匠海(俳優)
恋の誕生日占い
世話好きな気配り上手で、おしゃべりが得意
なぞなぞ小学校
ペットショップに売っている、食べられないチーズは?
あこがれの職業紹介
漆器工
恋の魔法とおまじない 308
友だちを増やすおまじない
  11月 3日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
尻尾の釣り
きょうの世界昔話
ヒツジの始まり
きょうの日本民話
皿々雪(さらさらゆき)
きょうのイソップ童話
ハイエナとキツネ
きょうの江戸小話
右大臣左大臣
きょうの百物語
羅生門の鬼
福娘のサイト
366日への旅
毎日の記念日・誕生花 ・有名人の誕生日と性格判断
福娘童話集
世界と日本の童話と昔話
女の子応援サイト -さくら-
誕生日占い、お仕事紹介、おまじない、など
子どもの病気相談所
病気検索と対応方法、症状から検索するWEB問診
世界60秒巡り
国旗国歌や世界遺産など、世界の国々の豆知識