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11月10日の百物語
(11月10日的日本鬼故事)
離魂病(りこんびょう)

離魂病(りこんびょう)
離魂病

日本語 ・日本語&中国語

♪音声配信(html5)
朗読者 ; 創作活動のサイト 『Web団 零点』

むかしむかし、越前の国(えちぜんのくに→福井県)に、原仁右衛門(はらにえもん)という人がいました。
到好久以前、越前國(現福井県)、就有條喊原仁右衛門的人到。

家には奥さんと二歳になる男の子がいて、若い女中さんを一人やとっていました。
屋裡有堂客和條二歲小兒、請了個婢女。

ある時、仁右衛門は仕事で、京都へ行く事になりました。
這天就右衛門有事要去上京。

そこで奥さんに、
就對到堂客講。

「わしが戻って来るまで、ふた月はかかると思うので、子どもの事をしっかり頼んだよ」
等我回來至少要二個月、你就到屋裡幫小兒帶好啦。

と、言って、出かけて行きました。
交待完這也就上路了。

奥さんは若い女中さんだけでは用心が悪いので、もう一人、年寄りの女中さんにも来てもらう事にしました。
堂客怕只有一個年輕婢女到不放心、這就喊了條上了年紀的婆子過來一起。

ところが年寄りの女中さんはひどくやせていて、時々、のどを詰まらせた様なせきをするのです。
但是年紀大點的這條啦、樣子又好瘦、喉嚨裡面也不曉得是卡了甚麼東西、就盡到咳。

「お前さん、体の方は大丈夫かい?」
堂客就擔心這人是不是有甚麼病啊。

奥さんが、心配してたずねても、
堂客關心別個

「はい、せきが出るのは生まれつきで、ほかに悪いところはありません」
婆子就講自己這咳嗽天生、其他㫘甚麼毛病。

と、言うばかりです。
這麼到講。

そこで仕方なく、家にいてもらう事にしました。
這就將就這麼到啦。

さて、仁右衛門が出かけて、三日ほどすぎた夜ふけの事です。
右衛門這就出去了有三天了、半夜。

女中さんのひどくせきこむ声に、奥さんは目を覚ましました。
女主人睡到睡到被咳嗽聲咳醒了。

(やれやれ、これじゃ、とても眠れやしない)
這人被鬧醒心裡也是燥。

奥さんがイライラしていると、せきこむ声が、やがて苦しそうなうなり声に変わりました。
但是這咳到咳到人就聽聲音不對了、想是要死樣的。

(どうしたんだろう?)
又是甚麼案啦?

奥さんは明かりをつけて、女中さんたちの寝ている部屋のふすまを開けました。
女主人燈一打、開門看情況去了。

すると、まくらもとのびょうぶの下に何か丸い物があって、コロコロと動き回っています。
這就看到枕頭邊上的屏風底下擋到條甚麼圓東西、到哪裡扭啊扭。

(何だろう?)
這是到搞條甚麼?

不思議に思って明かりを近づけてみると、何と年寄りの女中さんの頭だったのです。
女主人半天㫘看出來條甚麼碌頭、這就幫燈摛進了看、這好傢伙、到那裡的不就是婆子的腦殼嗎?

体はふとんの中にあるのに首だけがひもの様に伸びていて、その先にある頭がうなりながら、コロコロ転げ回っているのです。
人還到鋪蓋裡面躺到的、顜頸(ㄐㄧㄤˇgiɛ̌ng)是升到好長到處飛

(ろ、ろっ、ろくろっ首!)
長長、長顜頸!

奥さんは、もう少しで悲鳴をあげるところでした。
女主人已經開始慌了

でも子どもを起こしてはいけないので、じっと我慢すると、もう一度そっと頭を見ました。
但是又怕吵醒自己兒、這就好甚看到這到底是條甚麼東西。

年寄りの女中さんはじっと目をつむったままの怖い顔で、まくらもとのびょうぶをヘビみたいにスルスルと登って行きます。
婆子看臉這眼睛還是閉起來了啊、但是樣子看起來好恐怖、那條腦鬠這就拉到顜頸就跟條蛇樣的到屏風上面爬到的。

奥さんは何とかして、もう一人の若い女中さんを起こそうとしました。
女主人這就想讓那條年輕的婢女快點起來。

でも、そんな事には気づかないで、よくねむっています。
另外一條婢女還睡到香香的、根本就不曉得發生了甚麼。

そのうちにやっとびょうぶの上に登りついたろくろ首は、ころんと向こう側へ落ちました。
這腦鬠爬到爬到就跨到屏風另外一邊去了。

とたんに、激しいうなり声が響きました。
這一哈顜頸就開始叫起來了。

そしてまた、しわだらけの長い首だけが、びょうぶの上でゆらゆらとゆれています。
這就看到披風上面的腦鬠到搖啊搖啊搖。

奥さんはもう我慢出来ずに部屋を逃げ出して、子どものそばへ行きました。
女主人癲人受不了過跑到屋子外面去了、守到自己兒邊上。

恐ろしくて、体の震えが止まりません。
這身上就一直不停的抖、到打㥬。

「奥さま、何かあったのですか?」
年輕的那個婢女這時候也醒了。
問女主人怎麼了。


騒ぎに気づいたのか、若い女中さんが目をこすりながら部屋から出てきました。
不曉得是不是動靜太大被吵醒、婢女揉到眼睛從房裡面出來了。

奥さんは黙って、女中さんたちの部屋を指さしました。
女主人㫘做聲就用手指頭指到婆子的房間的。

するといつの間に首が戻ったのか、年寄りの女中さんも起きて来ました。
也不曉得那條腦鬠是甚麼時候收回去的、老婆子也醒了、這就走過來了。

「奥さま、何かありましたか?」
就問出甚麼事啦。

年寄りの女中さんも、自分が原因だとは知らずに奥さんにたずねました。
婆子自己都還不曉得是發生甚麼事了。

「えっ、いや、それは、お前が、ひどくうなっていたので・・・」
怎麼講啦、對、你打鼾聲音實在太大了。

奥さんは、それだけ言うのがやっとでした。
女主人除此之外就㫘再多講了。

「すみません。みんな起こしてしまって」
婆子也就道歉、講幫你們都吵醒了。

年寄りの女中さんは、何事もなかったように自分の部屋に戻りました。
這就甚麼都不曉得的樣子回房了。

それからは静かになっても、奥さんは怖くて眠る事が出来ません。
後面又是安靜落來了、但是女主人心裡面好不穩當、已經怕得睡不著了。

次の朝、奥さんは年寄りの女中さんに昨日の事は何も言わずに、他の理由でひまを出しました。
第二天早、女主人邏了個託辭幫婆子辭了。

むかしの人は、自分がろくろっ首である事を知らない人を『離魂病』と言いました。
到好久以前都幫不曉得自己是長顜頸的人講成是離魂病。

この『離魂病』は本当の病気の様に、人にうつる事があると言われています。
還講這條病會傳染。

おしまい
结束

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