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12月23日の百物語

うぶめにもらったかいりき

産女(うぶめ)にもらった怪力

♪音声配信(html5)
朗読者 ; ☆横島小次郎☆

 むかしむかし、ある北国の町に、こんなうわさが広まっていました。
「お城のお堀近くにある古い柳の木に、赤ん坊を抱いた産女(うぶめ)が現れるそうだ」
 産女とは、赤ん坊を産む時に死んでしまった女の人のお化けです。
「その産女はいつも両手で赤ん坊を抱いている為、乱れた髪を整える事が出来ない。
 そこで通りかかった人に、
『髪の毛を整える間だけ、赤ん坊を抱いていてもらいたい』
と、頼むそうだ。
 ところがこの赤ん坊も恐ろしい化け物で、抱かれているうちにどんどん大きくなって、ついには人を飲み込んでしまうそうだ」
 このうわさが広まると、町の人たちは夕方から外に出なくなりました。

 そんな、ある晩の事。
 お城の用事で帰りの遅くなった侍の左内(さない)が、はやく家に帰ろうとお堀近くの古い柳の木がある道を通りかかりました。
 左内は体が小さいので仲間から『ちびすけ左内』と呼ばれていましたが、とても度胸があるのでお化けなんか怖くありません。
 左内が古い柳の木の近くに来ると、突然に白い着物姿の女の人が赤ん坊を抱いて現れました。
「もし、お侍さま」
(ほほう。これがうわさの産女だな)
 左内は少しもあわてず、落ち着き払って言いました。
「わしに、何か用でもあるのかな?」
「はい。髪を整える間だけ、この子を抱いていただくわけにまいりませんか?」
「そんな事なら、お安いご用。ゆっくりと、髪を整えるがよい」
 左内は産女から、赤ん坊を受け取りました。
 想像していたのとは違い、産女の赤ん坊は可愛い女の子で、口におしゃぶりをくわえています。
「なかなか、めんこい赤ん坊じゃな。よしよし、ほらほら」
 左内が赤ん坊をあやしていると、赤ん坊がだんだんと重くなってきました。
 体も大きくなって、まるで石の様な重さです。
 そして可愛かった赤ん坊の顔つきが、けものの様に恐ろしくなってきました。
 赤ん坊の口に牙が生えてきて、今にも左内に食いつきそうです。
「これはいかん!」
 左内は刀を抜くと、やいばを赤ん坊に向けて口にくわえました。
 赤ん坊はさらに大きくなりましたが、刀のやいばに邪魔をされてそれ以上は大きくなれません。
 刀のやいばがなければ、赤ん坊はさらに大きくなって左内に襲いかかった事でしょう。
 左内がふと産女の方を見ると、産女がにっこり微笑んで言いました。
「ありがとうございました。おかげでこの様に、髪を整える事が出来ました」
 乱れていた髪の毛が、きちんと整えられています。
 抱いていた赤ん坊も急に軽くなって、元の可愛い顔に戻っていました。
 産女は赤ん坊を受け取ると、左内にたずねました。
「お礼に、何を差し上げましょう?」
「いや。別に礼などはいらぬ」
 左内が断ると、産女が言いました。
「お気づきでしょうが、わたしはこの世の者ではありません。どの様な願いも、かなえられますよ」
「・・・そうか。では、遠慮なしに」
 左内は少し考えてから、産女に言いました。
「わしは見ての通りのちびすけで、仲間から笑い者にされておる。何かをもらえるのなら、カを授かりたい。三十人力でも、五十人力でもよい」
「それならば、五十人力を差し上げましょう」
 産女はそう言うと、すーっと消えました。

 それからしばらくたった、ある日の事。
 お城に、江戸のすもう取りがやって来ました。
 すもうの大好きな殿さまが、わざわざ江戸から呼び寄せたのです。
 殿さまは家来に言いつけて、江戸のすもう取りたちとすもうをとらせました。
 けれど誰一人、すもう取りには勝てません。
 いくら相手がすもう取りとはいえ、侍がころころ投げ飛ばされるのは情けないかぎりです。
「誰か、勝てる者はおらんのか?」
 殿さまが言うと、左内が進み出ました。
「それがしが、やってみましょう」
 これには、殿さまもびっくりです。
「左内、悪い事は言わぬから、やめておけ。大けがどころか、死んでしまうぞ」
 殿さまが止めるのも、無理はありません。
 何しろ左内の小さな体は、江戸のすもう取りの半分ほどしかないのです。
 しかし左内はふんどし一つで土俵にあがると、一番強いすもう取りに言いました。
「手加減は無用。けがをしたくなければ、本気を出すように」
 これを聞いた一番強いすもう取りは、真っ赤な顔で土俵にあがりました。
「けがをしたくなければ、本気を出すようにだと?!」
 左内にからかわれたと思って、すもう取りは本気で怒っています。
「覚悟しろ!」
 すもう取りは、左内を殺すつもりでぶつかっていきました。
 ドシーン!
 すもう取りの突進は左内を空高く飛ばしてしまうほどの勢いでしたが、なんと左内はその突進を正面から受け止めると、
「どりゃあーーー!」
と、すもう取りを頭上高く持ち上げて、土俵の外へと投げ飛ばしたのです。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
 信じられない光景に、殿さまも家来たちも言葉が出ません。
 やがて我に返った殿さまが、手を叩いて喜びました。
「見事! 見事! あっぱれじゃ! 左内よ。ほうびとして、侍大将にしてやろうぞ」
 こうして左内は産女にもらった怪力のおかげで、大出世をしました。

おしまい

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