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10月20日の日本民話
(10月20日的日本民間故事)
死人を運ぶネコ

死人を運ぶネコ
幽靈板車

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むかしむかし、駿河の国(すがるのくに→静岡県)に、善住寺(ぜんじゅうじ)という小さな寺がありました。
到好久以前到駿河国有個喊善住寺的小廟。

寺には和尚(おしょう)さんと小僧(こぞう)さんのほかに、年老いた一匹のネコしかいません。
廟裡是攏共一個老和尚加個小和尚外帶一隻貓。

お参りに来る人もめったにいないため、和尚さんと小僧さんはひまさえあればネコをかわいがっていました。
廟是條破廟、這香火也就冷清、兩和尚一天到夜閒到廟裡面㫘事作也不唸經、到那裡抱貓。

ある時、信州(しんしゅう→長野県)の知り合いから法事(ほうじ)の手伝いに来てくれと頼まれたので、和尚さんは小僧さんを連れて出かけることにしました。
有天信州那邊有人聯繫和尚、講是要和尚準備來這裡辦樁法事、也是講故人交托、大和尚這就準備帶到小和尚過去了。

「ネコよ、しっかり留守番(るすばん)を頼んだぞ」
和尚さんはネコが食べ物に困らないよう、たくさんのエサを用意してやりました。
臨走的時候就喊貓守屋啦、還怕走的久貓㫘東西吃、跟它準備了一些。

信州に出かけた二人が峠(とうげ)の茶屋でひと休みしていると、下の方からスルスルと火車(かしゃ→死んだ人をじごくへ運ぶ乗り物)が登ってくるのが見えました。
師徒兩人出了門、這就半路上爬坡、走半路剛好有個擺茶水的攤、就先坐落來休息個一陣、突然就看到一陣靈車漂移。

和尚さんと小僧さんがビックリして中をのぞくと、火車にはやせたおじいさんが乗っています。
(あの年寄りが何をしたかは知らんが、地獄送りとはあんまりじゃ)
師徒兩人一驚、都講這幽靈馬車裡面裝的是死人的屍體、要幫別個拉到地獄去燒、好生看、車子裡面是條老杆子死到的。

気の毒に思った和尚さんが思わず手を合わせてお経をつぶやくと、何と火車が空の途中で止まったではありませんか。
和尚也是講想超度一下、雙手合十作了個揖、這時候就突然、這死人板車停到不動了。

(まさか、自分のお経にこんな力があったとは)
和尚さんは、茶屋の主人にたずねました。
和尚以為是自己這一陣經幫板車念停了。
這就問店家打聽了一下事。


「今日、この村で葬式(そうしき)のある家はありませんかな?」
講最近這邊上哪個屋有人死了啊?

「よくご存じで。実はこの峠の下の屋敷で、おじいさんの葬式があります」
「やはり」
你連這條都曉得啊?住到山底下的有條老傢伙這幾天到辦喪。
果然。


和尚さんは、火車を指さしました。
その指先を見た主人は、目を丸くしておどろきました。
「あ、あれは?!」
和尚這就對到死人板車一指、店家順到手指方向看過去也是一驚。
那是條甚麼卵哦!?


「あれはな、死人を地獄へ運ぶ火車というものだ」
「なるほど、話には聞いていましたが」
火車鬼啊、拉起條板車專門幫死人拉去地獄燒。
還真有這傢伙啊、我記得也聽到過有人講過這些。


主人はこの和尚さんを、えらいお坊さんに違いないと思いました。
「ところで、あのおじいさんは地獄に送られるような人だったのですか?」
店家看這和尚也是懂的一些就繼續問、那按你這麼講、山底下那條老杆子不是要下地獄去了啊?別個是犯了有甚麼案子啊?
這我還要問你、他這條人平時為人怎麼樣啦?


「そうですなあ。
あのおじいさん、若い頃はさんざん悪い事をしたそうですから。
でも年をとってからは、仏のおじいさんと言われるぐらいでして。
わたしも色々と、お世話になりました。
現在也還好、聽講年輕時到外面犯的有事、不過這人老了脾氣也是變好了、最近還有幫過我忙。

お坊さま、何とか極楽(ごくらく→天国)へ送ってやるわけにはいきませんかね」
和尚、你有本事讓這要下地獄的人上天堂不?

「うむ、これも何かのえん。ご主人、すまないがあのおじいさんの家に案内してもらえんかな」
我只能稍微幫下子、你曉得別個屋吧啦、帶個路了。

「あ、はい。」
好。

主人は和尚さんと小僧さんを連れて、峠の下のおじいさんの屋敷へ行きました。
店家這就帶師徒兩人下到山底下的平地。

和尚さんが門の中へ入って行くと庭のまんなかに棺おけが置いてあり、村のお坊さんがお経をあげていました。
和尚進了門、看到這喪事是已經開始操辦了、院子裡面一口棺材一擺、村裡面的和尚幫到幫死人唸經。

お経が終わるのを待ってから、和尚さんが言いました。
和尚等別個經念完、開口了。

「残念ながら、その棺おけに死人はおりませんぞ」
お経をあげていたお坊さんが、むっとして和尚さんをふり返りました。
「なにを言うか。ゆうべ、まちがいなく入れたのだ」
家の人たちも、腹を立てて、
講這棺材已經是條空的了、要大家都放手目前的事。
所有人這都對到和尚認、馬上有人解釋昨天晚上這人已經入棺了、怎麼得是條空的啦。
屋裡人看有人過來搗亂也是不悅。


「どこのお坊さんか知りませんが、変な言いがかりをつけないでください!」
と、言います。
要他馬上走人、不要盡講些鬼話。

ですが和尚さんは、首を軽く横に振ると、
「うたがう気持ちはわかるが、とにかく中を確かめてみなさい」
和尚只是讓眾人驗棺。

と、言うので、家の人たちが念のために棺おけのふたをとってみたら、中は空っぽでした。
「ど、どうして?」
心存疑惑的也是有、確認一下也是無妨、開棺、這就發現裡面真是空了。
現場一下混亂。


村のお坊さんも家の人たちも、そして集まっていた村人たちもビックリです。
「ここは、わしにまかせておきなさい」
和尚就講自己懂這條、現在這事就由自己一手操辦了。

和尚さんは進み出ると、ゆっくりとお経をとなえはじめました。
和尚走上前、這次唸經的變成了自己。

すると空の上からゆっくり火車が下りてきて、おじいさんの死体を棺おけにもどすとふたたび空へのぼっていったのです。
唸到唸到、空中就飛來一條板車、幫屍體往棺木裡面一倒、這就繼續飛走了。

あまりの不思議さに、だれ一人声を出すものはいませんでした。
和尚さんが、静かに言いました。
「これで大丈夫。もう、地獄へ送られる事もあるまい」
看到這奇異的一幕、眾人是連聲不都作一下。
而和尚只是講現在事辦完了、這人也不得下地獄了。


家の人たちはすっかり喜んで、和尚さんにたくさんのお礼をしました。
和尚さんと小僧さんはおじいさんをねんごろにほうむると、知り合いの家へと旅立っていきました。
屋裡人看這和尚確實是真有神通、也是感謝別個幫忙過了一些人情、而和尚接了別個的好處、也是和小和尚一起作個順水人情、合到念經幫人超度了、事畢、這就又去赴任了。

さて、茶屋の主人からも話を聞いた村人たちは、いよいよ感心して、
「いったい、どこの和尚さまだろう?」
後面又是聽這帶人過來的店家細細道來、就講這和尚到底是甚麼人哦。

と、調べて、駿河(するが)の国の善住寺(ぜんじゅうじ)の和尚さんということがわかったのです。
さあ、それ以来、善住寺にはお葬式を頼みに来る人が多くなり、おかげで寺は栄えていきました。
幫別個門路一摸清、原來是條駿河善住寺的師傅啊、這一下名頭也是廣了去、這後面專門到這條廟來求辦喪事的人是好多、廟裡面香火也是一下來了。

ところであの火車ですが、あれは和尚さんのかわいがっていたネコが恩返しのために、火車をあやつっていたという事です。
但實際上這條推板車的貓妖、正是廟裡面的老貓所化、就是為了報答這平日的恩情、故意演了這出幫廟裡搞隆盛起來。

おしまい
结束

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