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1月24日の日本の昔話
イラスト 小技のイラスト作品集 (C)KOWAZA
貧乏神と福の神
窮苦神摎福神
・日本語 ・日本語&中国語 ・日本語&客家語
客家語 : 鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 「ちょこもち」 ちょこもち
むかしむかし、ある村に、とても貧乏な男がいました。
頭擺頭擺,某隻村莊肚戴一個盡苦个男仔人。
働き者の男ですが、いくら働いても暮らしはちっとも楽になりません。
不論佢幾煞猛做事,逐日還係過到毋豐湧。
それと言うのも、実は男の家には貧乏神が住み着いていたからです。
講較實在兜,係屋下有一個窮苦神摎佢戴共下。
そんな男に、村の人たちが嫁(よめ)の世話をしました。
莊肚人摎該個男仔人,𢯭手討一個餔娘,
この嫁は美人な上に働き者で、朝から晩まで働きます。
毋單淨生著靚又會做事,逐日從早做到暗。
「いい嫁ごだ。よし、わしも頑張るぞ!」
「還好个餔娘,好!𠊎乜愛加油!」
男は以前にも増して、働く様になりました。
男仔人比頭過還較煞猛。
そうなると、困ったのは貧乏神です。
恁樣,窮苦神嗄毋知仰結煞,講:
「何とまあ、よう働く夫婦じゃ。これでは、ここに居づらくなってきたのう。わしゃ、どうすればいいんじゃろう?」と、
「還煞猛个兩公婆,這隻位所再過戴下去會分佢困著,𠊎愛仰般做正好那!?」
だんだん元気がなくなってきました。
漸漸仔,緊來緊無元氣。
それから何年かたった、ある年の大晦日。
毋知經過幾多年,有一年年三十。
男の家では、わずかながらもごちそうを用意して、ゆっくりと正月を迎えようという時。
男仔人屋下照往年準備一息東西,涼涼仔迎接新春个時節,
「うぇ~ん、うぇ~ん」
「u~n u~n。」
天井裏から、泣き声が聞こえてきます。
聽到天棚頂有噭聲。
「おや? 誰じゃろう?」
「噯?你到底係麽儕?」
男が見に行くと、何とも汚い身なりのおじいさんが一人、声を張り上げて泣いていました。
男仔人行兼去看,有一個仰般律不个老阿伯,顛倒徼還較大聲。
「あんたは、一体誰かね?」
「你,到底係麼儕?」
「わしか? わしゃ、貧乏神じゃ。
「𠊎係麽無?𠊎係窮苦神。
ずっとむかしからこの家に住んでおったのに、お前ら夫婦がよう働くもんで、今夜、福の神がやって来るちゅうんじゃ。
自頭擺到今一直戴在這,你兩公婆恁煞猛做事,暗晡夜,福神一定會來你屋下。
そしたらわしは、出て行かんとならんのだ。うぇ~ん、うぇ~ん」
若係恁樣𠊎就做毋得出來,u~n u~n。」
男は自分の家の守り神が貧乏神と聞いて少しガッカリしましたが、それでも神さまは神さまです。
男仔人聽到自家屋下个守護神係窮苦神非常失望,雖然係恁仰,毋過神明還係神明。
下の部屋に降りてもらって、嫁に訳を話しました。
請佢下來屋肚,摎餔娘講原因。
そして貧乏神が可哀想になった男は、ついこんな事を言いました。
所以同情窮苦神个男仔人,包尾就恁樣講:
「せっかく、長い事おったんじゃ。これからもずっと、ここにおって下され」
「特別係恁久都過咧,以後也請你繼續戴下去。」
すると、嫁も口をそろえて。
厥餔娘乜恁樣講。
「そうじゃ、そうじゃ。それがええ」
「恁樣正著、恁樣正著。係哪。」
どこへ行っても嫌われ者の貧乏神は始めて優しい言葉をかけられて、今度は嬉し泣きです。
去哪位都毋受歡迎个窮苦神,第一擺聽到親切个話,歡喜到噭出來。
「うぇ~ん、うぇ~ん」
「u~n u~n。」
こうしているうちに夜もふけて、除夜(じょや)の鐘が鳴り始めました。
毋多知就到半夜咧,卅晚晡子時鐘聲開始响囉。
これが、神さまの交代する合図です。
這係神明交班个信號。
その時、
該下,
♪ トントントンと、戸を叩く音がしました。
♪「ton,ton,ton」有人搉門。
「こんな夜更けに、どなたですじゃ?」
「恁夜咧,到底係麽儕?」
「ガッハハハハ。
お待たせ、お待たせ。
わしは神の国からはるばるやって来た幸福の使い。
誰もがわしを待ち望む
福の神だー!」
「嘎哈哈哈,
分你等恁久咧,
𠊎係天頂派來个幸福之神,
儕儕都希望等著个福神!」
ついに、福の神がやって来ました。
包尾福神總算到咧。
福の神は、貧乏神に気がつくと、
福神注意著窮苦神就講:
「何だ、薄汚い奴め、まだおったんか。はよ出て行かんと、力ずくでも追い出すぞ!」
「麼个啊!恁屙糟个東西還在這嘎?好逐走佢,係毋走愛盡力逐出去哦!」
だが、貧乏神も負けていません。
毋過窮苦神乜毋認輸。
「なにお~っ!」と、福の神に突進しましたが、やせてヒョロヒョロの貧乏神と、でっぷりと太った福の神では勝負になりません
「麼个o~!」窮苦神向福神舂過去,瘦夾夾、行路踜踜蹭蹭个窮苦神摎肥固固个福神哪使比,
それを見ていた夫婦は、
「あっ、危ない!」
該兩公婆看著,
「啊!危險!」
「貧乏神さま、負けるでねえぞ!」
「窮苦神,毋好輸佢哦!」
それを聞いておどろいたのは、福の神です。
聽到着下驚个係福神,講:
「何で? 何で、貧乏神を応援するんじゃあ?」
「仰會恁樣?仰會摎窮苦神加油呢?」
夫婦は貧乏神と一緒に、福の神を家の外へ押し出します。
兩公婆同窮苦神共下摎福神𢱤出去,
「わっせい! わっせい!」
「wa~se~!wa~se~!」
とうとう三人がかりで、福の神を家の外へ押し出してしまいました。
三儕總算摎福神𢱤出去。
追い出された福の神は、あぜん、ぼうぜん。
分佢兜逐出去个福神嗄啞口無言還過心茫茫。
「わし、福の神よ。
中にいるのが、貧乏神。
「𠊎,係福神呢!裡肚該個係窮苦神。
貧乏神は嫌われて、福の神は大切にされるはずなのに。
これはいったい、どういう事?」
窮苦神博人惱,福神應該大家都愛正著,這到底係麼个事情?」
首をひねりながら、すごすごと引きあげて行きました。
緊講緊拂頭,頭犂犂退走去。
「やった、やった!」
「成功咧,成功咧!」
次の日は、めでたいお正月です。
第二日就係正月初一,
貧乏神も一緒に、お正月のお祝いをしました。
窮苦神乜摎佢兜共下慶祝新年,
それからというもの貧乏神のせいで、この家はあまり金持ちにはなりませんでしたが、それでも元気で幸せに暮らしたという事です。
該下開始無論哪量時就係因為窮苦神个關係,屋下還係無錢,毋過身體康健、生活過到盡幸福。
おしまい
煞咧
註: 貧乏神とは、人を貧乏にさせると信じられている神で、小さく、痩せこけて色青ざめ、手に破れた渋団扇を持ち、悲しそうに立つといいます。
窮苦神、會使著人窮苦个神,奀孱、瘦夾夾又面黃黃,手擎一支爛扇仔,非常衰過樣。
昔話に登場する貧乏神は、あいきょうがあり、とてもしたたかな存在です。
傳說故事肚出現个窮苦神、有當得人惜、也有難應付个。
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