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福娘童話集 >日本民间故事 >二月
拾った財布
失物
大岡越前守の名裁き → 大岡越前の守について
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかし江戸の町に、左官屋(さかんや→壁をぬる職人)の伝助(でんすけ)と言う人が住んでいました。
很久以前江户的街上,一个叫做传助的左宫屋(刷墙的匠人)住在哪。
ある年の十二月、仕事の帰りに道で財布を拾いました。
有一年的腊月,做工完回来的路上捡到一个钱袋。
中を調べると、一両小判が三枚入っていました。
打开一看,内中放有三枚一两的小判。
「おやおや、もうじき正月が来るというのに、三両(→約二十一万円)ものお金を落とすなんて気の毒に。落とした人は、さぞ困っているだろうな」
这真是,马上就要正月了,落丢三两(差不多21万)钱财也是遭孽。失主肯定都要癫了。
伝助が財布をよく調べてみると、名前と住所を書いた紙が入っていました。
传助仔细打量着钱袋,内中有一张写着住所与名字的纸片。
「なになに、神田(かんだ)の大工の吉五郎(きちごろう)か。よし、ひとっ走り届けてやろう。今頃きっと、青くなって探しているだろうよ」
我看看,神田的大工叫吉五郎是吧。这下好,走一趟给送过去吧。现在一定着急的到处找。
親切な伝助は、わざわざ神田まで行って、ようやく吉五郎の家を探し出しました。
热心肠的传助,特地跑了一趟神田,总算是找到了吉五郎的住处。
「こんにちは。吉五郎さん、いますか?」
你好啊,叫吉五郎是吧?
「ああ、おれが吉五郎だが、何か用かね?」
啊啊,是我,什么事啊?
「わたしは左官の伝助と言うんだがね、お前さん、財布を落とさなかったかね?」
我是帮忙修房子的传助,你有落丢一个钱袋是吧?
「ああ、落としたよ」
啊。落了,
「中に、いくら入っていたんだね?」
里面装的有好多?
「そんな事、何でお前さんが聞くんだい?」
你问我这些事是要搞什么?
「何でもいいから、答えてくれよ」
你先莫管,讲。
「三両だよ。お正月が来るんで、やっとかき集めた大事な金だったんだ」
三两,是快过年的了,到处攒到的。
それを聞いて、伝助は、
听此言,传助,
「そうかい。それじゃこれは、確かにお前さんの落とした財布だ。ほら、受け取ってくれ」
と、財布を差し出しました。
这么到啊,那这确实是你落丢的钱袋子,来,拿到。
ところが吉五郎は財布をチラッと見ただけで、プイと横を向いて言いました。
问题是,吉五郎只是瞟了钱袋一眼,头一摆,讲。
「それは、おれのじゃないよ」
那不是我的咯
「えっ? だってお前さん、今、大事な三両が入った財布を落としたって言ったじゃないか。それに、お前さんの名前と住所を書いた紙も入っていたんだ。この財布は、確かにお前さんの物だよ」
誒,你不是讲,你装三两金的幸苦钱的袋子不是落丢了吗。而且,你名字和你屋都写到纸上面装进去了。这袋子,确实是你的东西啊。
「そりゃあ、確かにおれは財布を落としたよ。だけど、落とした物は、もうおれの物じゃない。拾ったお前さんの物だ。持って帰ってくれ」
话是这么讲,钱确实是我落的,但是,已经落丢的东西,就不是我的了。你捡到就是你的,拿到走。
「何だって!」
你讲什么!
伝助は、ムッとしました。
传助,头一热。
「何て事を言うんだ! 拾った物を黙って自分の物にするくらいなら、わざわざ探しながらこんなところまで届けに来たりするもんか。素直に『ありがとうございます』と言って、受け取ればいいじゃないか!」
这是什么话,我要是想不做声帮钱谋了,何必跟你跑这么远跟你送过来了。老老实实讲一声谢,帮钱收了不好是吧?
「ちえっ、お前さんも強情っぱりだなあ。おれは、その財布はお前さんにくれてやるって言ってるんだぜ。そっちこそ素直に『ありがとうございます』と言って、さっさと持って帰りゃあいいじゃないか。第一、この十二月になって三両もの金が手に入れば、お前さんだって助かるだろうに」
切,你也是刚啊,我不是讲,帮它过你了吗?你老老实实的跟我道一声谢,赶快拿到走不好嘛?怎么讲,腊月的三两金,对你唯没得用?
「馬鹿野郎!」
什么东西!
とうとう伝助は、吉五郎を怒鳴りつけました。
渐渐传助不受控制对吉五郎开吼了。
「おれは乞食(こじき)じゃねえ! 人の物を拾ってふところへ入れるほど、落ちぶれちゃいないんだ。ふざけるのもいい加減にしろ。とにかく、これは置いていくぜ」
我又不是讨米的,我还没落魄到把捡到的东西据为己有这种程度,你讲话也好听点,我走了,袋子我放这里了。
伝助が財布を置いて帰ろうとすると、
传助帮袋子放了准备走了。
「おい待て!」
喂,莫走!
吉五郎はその手を掴んで、財布を押しつけました。
吉五郎把手一捉,又把袋子塞回去了。
「こんな物、ここに置いて帰られちゃ迷惑だよ。持って帰ってくれ」
你帮这东西放这里,是跟我找麻烦,拿走。
「この野郎、まだそんな事を言ってるのか」
人才,这又绕回来了。
二人の頑固者は、とうとう取っ組み合いのけんかを始めました。
二块嵒头,终于开始干起来了。
その騒ぎを聞いてやって来た近くの人たちが、いくらなだめても二人とも聞きません。
听到要搞事过来凑热闹的人,在怎么开交二人也不听。
近所の人たちは困り果てて、とうとうお奉行(ぶぎょう)さまに訴えました。
帮忙的人最后也没办法, 告官去了。
その時のお奉行さまは、名高い、大岡越前守(おおおかえちぜんのかみ)という人でした。
那个时候的奉行人, 大岡越前守, 威名远震,
越前守(えちぜんのかみ)は、二人の話を聞くと、
越前守,问二人的话,
「大工、吉五郎。せっかく伝助が届けてくれたのだ。素直に礼を言って、受け取ったらどうじゃ?」
大工吉五郎,难得传助跑一趟,老实道个谢,收了怎么样?
「とんでもありません、お奉行さま。落とした物は、無くしたのと同じでございます。ですからもう、わたくしの物ではありません」
这搞不好,奉行殿,落丢的东西,就跟没得了一样,所以讲,那就不是我的东西了。
「では、左官、伝助。吉五郎がいらないと言うのだ。この三両は拾ったお前の物だ。受け取るが良いぞ」
这既然那么到,那左官,传助,吉五郎讲他不要了,那三两你捡得了就是你的,我觉得你收了不是不可以?
「冗談じゃありません、お奉行さま。拾った物をもらうくらいなら、何もこの忙しい年の暮れに、わざわざ神田まで届けに行ったりなどしやしません。落とした物は落とした人に返すのが当たり前です」
扯淡,奉行殿,我一开始要是打算自己拿到,何必这么忙的岁末,特地跑到神田送回去,物归原主理所应当。
二人とも、頑固に言い張って聞きません。
两人不听讲,对到刚。
すると越前守は、
进而,越前守,
「そうか。お前たちがどちらもいらないというなら、持ち主がない物として、この越前(えちぜん)がもらっておこう」
这么到是吧,那既然你两个都不要,无主之物,那合该由本殿纳受。
「へっ?」
欸?
「へっ?」
欸?
お奉行さまに金を横取りされて、二人はビックリしましたが、でも、いらないと言ったのですから、仕方がありません。
钱被奉行殿半路截了,两条人都没想到,但是既然都讲不要了,也没得办法。
「はい。それで結構です」
这么到我觉得还可以。
「わたしも、それで結構です」
我也觉得可以
と、答えて、帰ろうとしました。
这么答复了,准备动身的时候。
その時、越前守は、
这个时候,越前守,
「吉五郎、伝助、しばらく待て」
你们两个,稍微等一下,
と、二人を呼び止めました。
把两人喊落来。
「お前たちの正直なのには、わしもすっかり感心した。その正直に対して、越前から褒美(ほうび)をつかわそう」
你两个为人正直,我也是蛮欣慰的。就单凭刚正竖直,也合该受我越前赏赐。
越前守はふところから一両の小判を取り出すと、さっきの三両の小判と合わせて四両にし、吉五郎と伝助に二両ずつやりました。
越前守从自己怀中摸出一两,跟刚刚三两合起来总共四两,各赏两人二两。
ところが二人とも、なぜ二両ずつ褒美をもらったのか、訳の分からない様、妙な顔をしています。
问题是,为什么一人是二两,这没搞清白,两人略感不可思议。
そこで越前守は、笑いながら言いました。
这边,越前守笑到讲。
「大工の吉五郎は、三両を落として二両の褒美をもらったから、差し引き一両の損。
大工吉五郎,你落三两得两两,是亏一两。
左官の伝助は、三両を拾ったのに落とし主に届けて、二両の褒美をもらったから、これもやはり一両の損。
左官传助,你还回去三两,却只受我两两,这亦是亏一两。
この越前も一両を足したから、一両の損。
本殿添一充四,同损一两。
これで『三方、一両損』と言うのは、どうじゃ?」
如此,是三方皆损一两,如何?
「なるほど!」
这样子啊!
吉五郎と伝助は顔を見合わせて、ニッコリしました。
吉五郎同传助,相视而笑。
「さすが名奉行(めいぶぎょう)の大岡さま。見事なお裁き、おそれいりました」
实不愧为名奉行的大岡殿,如此裁断着实让人拜服,实为劳烦了。
「このお金は、ありがたくいただいてまいります」
赏赐,不胜感激。
「うむ。二人とも珍しいほどの正直者たちじゃ、これからのちは友だちとなって、仲良く付き合っていくがよいぞ」
唔,你两为人刚正亦稀世少有,此次之后,该言归于好,同道而行。
「はい。ありがとうございます」
是实如此言,拜谢了。
吉五郎と伝助は、ここに来た時とはまるで反対に、産まれた時からの仲良しの様に肩を並べて帰って行きました。
两人,同来此之前完全相反的,像是生落来开始就知交的两人,搭肩并行而归。
「うむ、これにて、一件落着!」
唔,如此,一遭定着。
おしまい
完结
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