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2月23日の小話
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負け惜しみ
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 「フー」 ハーリ・クィン朗読館
小助(こすけ)の家に、友だちの平六(へいろく)がやって来ました。
「おお寒いな。こう寒くっちゃあ、やりきれねえな」
「本当にな、寒くてかなわねぇ。どうだい、今夜あたりふぐでも食いに行くか」
小助が誘うと、平六は顔をしかめて言いました。
「いやいや、ふぐはやめよう」
「なんだお前、ふぐにあたる(→ふぐを食べて毒にやられるのを、ふぐにあたるといいます)のが、そんなに怖いのか?」
「いや、怖くはない。ただ、魚が嫌いなのさ。その代わり四本足なら、何でも食っちまうぜ。犬でも、ネコでも、キツネでも、タヌキでも、ウマでも、ウシでも、それにサルでも、四本足なら何でもござれだ」
すると小助が、意地悪く言いました。
「ほほう。四本足なら何でもか。・・・それなら、このこたつも四本足だ、これも食うのか?」
「ああ、こいつも食って食えない事はないが、しかしこたつはあたる物だろう。あたる物と知っては、どうも食いにくい」
♪ちゃんちゃん
(おしまい)
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