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6月22日の日本の昔話
こんにゃくえんま
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 「ひつじも眠る朗読チャンネル」 【本気で眠りたいあなたへ】ぐっすり眠れる日本昔話集(睡眠用)
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制作 : 妖精が導くおやすみ朗読チャンネル
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投稿者 「きべだよ。」
むかしむかし、ある村に、えんま大王をまつったお堂がありました。
えんま大王は死んだ人間の罪をさばく、地獄(じごく)の恐ろしい王さまです。
このお堂のえんま大王も、金色の目をむいて、大きな口をクワーッと開けて、すごい顔でにらんでいます。
見ただけでも恐ろしいものだから、あまりお参りの人も来ませんでした。
ところがこのえんま堂に、雨が降っても風が吹いても、一日もかかさずお参りに来るおばあさんがいました。
このおばあさんは両方とも目が見えないので、孫の小さな女の子に手を引かせて来るのでした。
お彼岸(ひがん→春分・秋分の日を中日として、その前後7日間)のある日。
お参りに来たおばあさんは、いつもの様にえんまさまの前に座ります。
孫の女の子はえんまさまが怖いので、おばあさんの後ろに隠れていました。
「なんまいだー。なんまいだー。おじひ深いえんまさま。どうぞあなたさまのお力で、このババの目を治してくだされ」
おばあさんは繰り返し繰り返し、えんまさまの前でおじぎをしました。
えんま大王も、こうして毎日毎日おがまれると、声をかけずにいられません。
「これ、ババよ。お前の願いを聞いてとらす。信心(しんじん→神仏をしんこうすること)してくれたお礼に、わしの片目をしんぜよう」
えんまさまが口を聞いたので、おばあさんはビックリして上を向きました。
すると、
「ありゃ! 見える、見える。あたりがよう見える!」
おばあさんの右の目が、パッと開いたのです。
おばあさんが大喜びしていると、女の子が叫びました。
「あっ、えんまさまの目が一つない」
おばあさんが見てみると、確かにえんまさまの目が一つ潰れています。
おばあさんは、ポロポロと涙を流して言いました。
「ああ、申し訳ない。えんまさまをかたわ(→不完全なこと)にして、わしが見えるようになるとは。ああ、もったいない、もったいない」
すると、片目のえんまさまが言いました。
「まあ、そう心配せんでもいい。
わしはお前たちとちごうて、別に働かなくてはならんということもない。
ただここにこうしておるぶんには、片目でもじゅうぶんじゃ」
「へえ、もったいない。ところで何か、お礼をさせていただきとうございますが」
「お礼か。・・・いや、そんなものはいらぬ」
「いいえ、そうおっしゃらずにどうぞ。わたしに出来ます事を、させてくださいまし」
「・・・さようか。それでは、こんにゃくを供えてくれ。わしは、こんにゃくが大好きでな」
それからおばあさんは、毎日毎日、えんまさまにこんにゃくをお供えしました。
その事が村で評判になって、えんまさまは『こんにゃくえんま』と呼ばれるようになりました。
それからはお参りの人も増えて、毎月の縁日(えんにち)には境内(けいだい→社寺のしきち)に、こんにゃくおでんの店がズラリと並ぶようになったのです。
おしまい
関連する記念日紹介
「5月29日 こんにゃくの日」について (366日への旅)より
記念日イメージキャラ 福ちゃん イラスト「ぺんた」 ※無断転載禁止
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