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7月21日の日本の昔話
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麦の粉
麵粉
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもゆかいな人がいました。
頭擺頭擺,有一個安到吉四六先生个人,非常樂線。
ある時、吉四六さんは町へ野菜を売りに行きましたが、どうしたわけか、その日はなかなか売れません。
一擺,吉四六先生去街路賣菜,毋知麼个原因,菜完全賣毋出去。
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「野菜はいりませんか?取り立てのこまつ菜に、ほうれん草もありますよ」
「愛買菜無?正挷起來个小松白菜、還有角菜。」
すると吉四六さんに、声を掛ける者がありました。
過後,有人喊吉四六先生。
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「おーい、吉四六さん、吉四六さん」
「噯,吉四六先生,吉四六先生!」
見ると、顔見知りの粉屋の主人です。
看一下,係熟識个麵粉店頭家。
「はい。何か用ですか?」
「哦。有麼个事係無?」
「実はその野菜を、全部買ってやろうと思ってな」
「實際上愛摎你个菜,總下買起來。」
「へい、それはどうも、ありがとうございます」
「he53,該還承蒙,非常感謝。
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「ただし、買うといってもお金じゃない。麦の粉と交換してもらいたいのだが」
「毋過,毋係用現錢買。想愛用麵粉摎你斗換。」
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「いいですよ。ところで麦の粉は、どれほどありますか?」
「做得啊,毋過,有幾多麵粉?」
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「待て待て、それには、こちらから注文がある。もしお前さんが、その野菜を入れてあるざるに、紙も布も木の葉もしかずに、麦の粉がもらぬようにかついでいけたら、両方のざるにいっぱいやろう」
「等下,等下,𠊎有注文好了,若係你㧡菜个菜籃毋好放紙、布仔、樹葉仔,麵粉斯愛你㧡得贏毋好漏忒,兩頭菜籃隨在你張。」
それを聞いた吉四六さんは、粉屋の主人がとんち勝負をしようとしているのがわかりました。
吉四六先生聽著,斯了解,該頭家愛摎佢比麼人較伶俐。
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(なるほど、とんち勝負なら受けてやろう)
(正經,假使比伶俐,𠊎會接受)
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吉四六さんには望むところですが、穴のたくさん開いているざるで粉を運ぶのは、かなりの難問です。
吉四六先生當想愛無毋著,毋過,用當多空仔个菜籃來張麵粉有較困難。
「はっはっはっ。どうだね吉四六さん、さすがのあんたでも、これには参っただろう」
「哈哈哈,仰般,吉四六先生,像你恁伶俐个人,乜會認輸係無?」
粉屋の主人は得意そうですが、でも吉四六さんは、しばらく考えるとニッコリ笑いました。
麵粉店頭家看起來當得意樣,但係吉四六先生小可想一下,笑咪咪講:
「へい、ではこぼれぬように、いただいてまいります。ちょっと、井戸を借りますよ」
「he53,毋好漏忒,恁樣就做得,水井在哪位,借用一下。」
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吉四六さんは空になった両方のざるを持って井戸に行くと、それに水をかけて帰って来ました。
吉四六先生帶等兩隻空菜籃去井脣,用水摎仔淋著潦潦,倒轉來。
「さあ、今からこのざるに、粉を入れますね」
「這下,開始摎麵粉張落菜籃。」
「えっ?そんな事をしたら、粉がこぼれて」
「e24?恁樣,麵粉會漏淨淨。」
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粉屋の主人が不思議そうな顔をしている前で、吉四六さんは濡れたざるに麦の粉を山盛りに入れました。
在試著當奇怪个麵粉店頭家面頭前,吉四六先生摎麵粉張落濕溚溚个菜籃肚,堆到像山恁高。
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そして吉四六さんがてんびん棒の両端にざるを引っかけて持ち上げると、ざるからは一粒の粉ももれません。
吉四六先生用擔竿兩頭勾等菜籃時節,無一息麵粉對菜籃跌出來。
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「こりゃまた、どういう事だ?」
「這又,仰會恁樣?」
頭を傾げる主人に、吉四六さんは説明しました。
吉四六先生摎頭側側个頭家說明,講:
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「こうしてざるを濡らしてから粉を入れると、うまい具合に底の方の粉が固まって、ざるの目をふ
さいでくれるのです。それに今、ざるを良く洗ってきたから、ざるの目に詰まった分も乾かせばそのまま使えます」
「菜籃舞濕以後,摎麵粉放落去後堵好在籃底凝著,縫塞等,過後斯愛摎菜籃洗淨,黏在菜籃个麵粉曬燥又做得用。」
「なるほど」
「有影。」
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「では、粉をありがとうさんでした」
「該愛承蒙你个麵粉。」
そう言って帰ろうとする吉四六さんを、粉屋の主人があわてて引き止めました。
麵粉店頭家摎講煞愛轉个吉四六先生擋下來。
「ま、待ってくれ!麦の粉をざるいっぱい持って行かれては大損だ!野菜は倍の値段で買うから、粉を返してくれ」
「等,等一下!若係分你拿走兩籃淰淰个麵粉,該𠊎損失大了!用兩倍个價格買你个菜,麵粉還𠊎!」
吉四六さんは、心の中でニンマリ笑うと、
吉四六先生心肝肚偷笑,
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(それは助かった。こんなに重い粉を持って帰るのは、一苦労だからな)
(盡好,這恁重个麵粉當難㧡轉去。)
と、思いつつも、粉屋の主人には、いかにも仕方ないという顔で言いました。
想著恁樣,還係像形盡無法度樣,摎麵粉店頭家講:
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「やれやれ、それでは野菜が全部で五十文なので、倍の百文もらいますよ」
「好啦,好啦,無恁樣,菜錢總下五十文錢,所以算你雙倍價數一百文錢就好。」
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こうして吉四六さんは空のざるをかついで、ほくほく顔で帰って行きました。
吉四六先生㧡等空籃仔,開容笑面轉去屋下。
おしまい
煞咧
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