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12月16日の日本の昔話
キツネとタニシ
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 「ちょこもち」 ちょこもち
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制作 : 妖精が導くおやすみ朗読チャンネル
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投稿者 ナレーター熊崎友香のぐっすりおやすみ朗読
【180分広告なし】まんが日本昔話集 大人も子どもも眠れる朗読 元NHKフリーアナ 読み聞かせ
むかしむかし、足の速いのがじまんのキツネがいました。
ある時、このキツネがタニシに言いました。
「ちょっと都(みやこ)まで、行って来たんじゃ」
キツネは足のおそいタニシを、いつもバカにしています。
「都までは遠いから、足のおそいタニシなんかには絶対に行けんところじゃな」
タニシはキツネがじまんばかりしているので、ちょっとからかってやろうと思いました。
「キツネさん、そんなに足が速いのなら、わたしと都まで競走(きょうそう)しませんか?」
「ギャハハハハハハー! タニシがどうやって、あんな遠くまで行けるんじゃい」
「キツネさんに行けるなら、わたしにだって行けます。だいたいキツネさんは、わたしよりはやく歩けるのですか?」
「なに! わしの方が速いに決まっとる!」
はじめはバカにしていたキツネも、だんだん怒ってきました。
「よーし、そんなに言うのなら、わしとどっちが早く都へ着くか競走じゃ!」
こうして、キツネとタニシの競走がはじまりました。
「よーい、ドン!」
キツネは、ドンドン歩きはじめました。
ふりかえって見ると、タニシはもう見えません。
「まったく、わしが勝つに決まっているのに。・・・ほら、もう見えなくなっちまった。バカバカしい」
キツネはバカらしくなって、ちょいとひと休みです。
すると、タニシの声がしました。
「おや? もう疲れたのかい? キツネさん、それではお先に行きますよ」
キツネは、ビックリ。
遠くヘおいてきたと思ったタニシが、すぐそばにいるではありませんか。
「おかしい。追いつかれるはずはないんじゃが」
キツネは不思議に思いながらも、また歩きはじめました。
そのうちに、山に夕日が沈みはじめました。
キツネはまたまた、バカバカしくなってきました。
「タニシなんかと早歩き競走したって、なんにもならんわ。わしが勝つに決まってるんだから。それに本当の事言うと、都なんか行った事もないし。・・・だいぶ、遠いんじゃろな」
キツネは立ち止まって、おしっこをしようとしました。
すると目の前に、タニシがいます。
「キツネさん、早くしないとおくれますよ。わたしについておいで」
「そんな、バカな!」
キツネは、信じられません。
でもタニシは、そこにいます。
キツネは気持ち悪くなって、むちゅうで走り出しました。
本当は、タニシはキツネの尻尾につかまってやって来たのでした。
そうとは知らないキツネは、負けたくないので必死で走り続けました。
そのうちに疲れて、フラフラです。
するとまた、タニシの声が。
「キツネさん、そんな事では、おいこしてしまいますよ」
おどろいたキツネは、またむちゅうで走り続けました。
そして都への道しるべまで来ると、とうとうへたりこんで、
「やっと着いた! タニシに、勝ったぞ! ・・・ふうっ、疲れた。そうとも、キツネがタニシに負けるはずはないんじゃ」
ホッとしたキツネの耳に、またタニシの声が。
「キツネさん!」
キツネはキョロキョロと、あたりを見回しました。
「ここですよ、キツネさん」
タニシが、都への道しるべの上にいます。
「おそいな。今着いたところかい? わたしはとっくに着いて、都見物をすませた後ですよ」
「そ、そんなばかな・・・」
それからというもの、キツネは足が速い事をじまんしなくなったそうです。
おしまい
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